【法律】
オープンソースには法的問題あり~独大学Spindler教授が指摘
■URL
http://www.vsi.de/inhalte/aktuell/studie_final.pdf (独文)
Linuxなどのオープンソース技術の利用は、経済的な理由などからその普及が急拡大しているが、市販のオープンソースソフトウェアを安易に利用することに問題がある可能性を指摘する研究内容を独ゲッティンゲン大学のGerald Spindler教授(経済法)が発表した。
教授が発表したのは、「オープンソースソフトウェアの法的問題(Rechtsfragen der Open Source Software)」という題の論文で、独ソフトウェア業連合(VSI)の要請を受けて作成したもの。論文では、GPL(Gnu General Public License)が主な問題であると指摘している。GPLは、コピーレフト(著作権法“コピーライト”に対する考え方で、公での引用や改変、内部情報とその利用物の再配布を、抜け道なく可能にすることを義務付けたライセンス)の形態で、UNIX互換のデスクトップ環境を全てフリーソフトウェアで実装するプロジェクト。
GPLでの最大の問題点は、法的責任の所在だ。オープンソースソフトウェアは、事実上、世界中に散らばった複数、それもかなりの多数の開発者が開発に関与しており、著作権を放棄しているとはいえ、独法律の解釈で開発者に存在する「欠陥によって生じた損害」などの法的責任が免れるわけではない。コピーレフトの考えでは、 著作権保持者はそのコピー(複製物)の受取人に対して取り消しを許可しない形態で許諾し、販売を含む再配布を許可し、改変されることも可能とする必要がある。
逆に、コピーレフトを利用する側では、このライセンスのものをコピーや変更、再配布する場合この許諾をそのまま適用し、それを明確に示す義務がある。しかし、損害に対する法的責任に関する概念は存在しない。従って、独法の解釈では、GPLソフトウェアで発生した損害に対して、法的に責任を問える相手が事実上存在しないことになると指摘されている。この点については、独の現行法がそもそもオープンソースの存在を前提としておらず、改正されるべきとの意見が出ているようだ。
(2003/7/7)
[Reported by Gana Hiyoshi]
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