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【ワイヤレスジャパン2003レポート】

経産省講演「情報家電のOSにはLinuxやTRONなどのオープンソースを利用すべき」

■URL
http://www.ric.co.jp/expo/wj2003/program.html#f
http://www.meti.go.jp/

 ワイヤレス関連イベント「ワイヤレスジャパン2003」が、7月16日より東京ビックサイトで開催されている。最終日となる18日には、経済産業省商務情報政策局情報通信機器課長の福田秀敬氏が「情報家電の市場化戦略『e-life』について」と題した講演を行なった。

●生産性が上がらない原因は上司が部下に“業務の定義”をできていないから


 福田氏はまず、基本戦略報告書「e-Lifeイニシアティブ」の概要を説明した。「e-Lifeイニシアティブ」は、放送や情報通信、家電メーカーおよび関連有力企業の経営トップを委員する経産省商務情報政策局長の私的研究会「情報家電の市場化戦略に関する研究会」が研究を進めて4月に発表したもの。

 戦略の目的には、情報家電の製品・サービスを今後3~5年程度を目安にした「具体的イメージの作成」や、「IT企業の国際競争力の回復・強化」などが挙げられている。この背景には、少子化や高齢化などの国民生活に直結する諸問題があるという。福田氏によると、現在多くの企業が年金を維持していくためには、営業利益率2%を維持しなければならず、このためには高齢化を見据えて「お金を持っている高齢者にも配慮して商売しなければならなくなるだろう」(同氏)との見解を示した。

 また、家電や情報通信ネットワーク技術の発展により、場所や時間の制約を受けない、物質的な豊かさを求める従来の価値観を変革する必要もあるという。具体的には、5年後の2007年までには国内の全世帯に情報家電が普及し、ネットワークに相互接続されることによって、生活様式の変革を起こすことが目標だという。

 一方、モバイル通信・機器の発展により、ユビキタスが実現しつつあるものの、生産性が思ったより向上しないのは、「上司が部下に明確な“業務の定義”をできていないからだ」(福田氏)とした。これは、上司が明確に業務を定義できていないために、本来モバイルでできる仕事でも「仕事をやっているという“出席点”をアピールするために、わざわざ机で仕事をしている部下がいる」(同氏)からだという。このように、せっかく発展したモバイル技術を活かせていないのが実情で、活用するためには現在よりも管理職の負担が大きくなるものの、“業務の定義”をすることが不可欠だと断言した。

経済産業省商務情報政策局情報通信機器課長の福田秀敬氏 情報家電の普及状況

●情報家電のOSにはLinuxやTRONを採用するようにメーカーに勧めている


 福田氏は、情報家電の普及には技術の共通化と標準化を推進しなければならないと強調した。まず行なわなければならないのは、「情報家電の通信方式やデータ形式などの基本構造」と「情報家電のOSやミドルウェアなどのプラットフォーム」の2点だという。「e-Lifeイニシアティブ」では、これら2つのテーマのうち、標準として推進すべき28項目をピックアップし、3年後までに達成すべき最優先事項として28項目のうち9項目、5年後までに達成すべき重要事項として19項目をリストアップしている。

 通信方式やデータ形式に対しては、まず「TCP/IPは重過ぎるため、これに代わる標準技術が必要だろう」とした。プラットフォームでは、「マイクロソフトとメーカー間にはマイクロソフトに偏った契約が存在する。したがって情報家電では、リアルタイム処理に優れるTRONや、基本がオープンソースであるLinuxを推奨している」(福田氏)と発言した。

 また、TRONやLinuxを推奨するもう1つの理由として、セキュリティの問題も挙げている。理由は、「PCなどのオフィスベースの製品では、バグもある程度寛容されるが、家電製品でのバグは致命的なイメージダウンを伴う。回収修理も行なわなければならず、コストも莫大」(福田氏)なためだと言う。これらの理由から、OSやミドルウェアの場合はある程度共通化し、「1種類のソフトが独占的に普及している」状況を抑える必要があるという見解をまとめた。

日本が高い競争力を維持している分野 日本の生産量シェアが低下している分野

●セキュリティ対策は、ベンダーだけでなくコンシューマーの理解も必要


 続いて福田氏は、「e-Lifeイニシアティブ」の目的の1つである「国内IT企業の国際競争力の回復・強化」についても見解を述べた。まず、昨今のIT産業の動向は、ソフトウェアを単体で売ることは難しく、ハードウェアとのセットで売るか、もしくは付加価値サービスを加えなればならないという。

 この際の付加価値サービスには、セキュリティの確保やネットワーク修理などを挙げている。具体的にセキュリティサービスでは、インフラやソフトウェアなど広範囲に及ぶが、最終的には「ベンダーがいくら努力したところで100%には成り得ない。ユーザーの意識向上も必要だ」とまとめた。付加価値サービスについては、ネットワーク技術の発展により、ネットワーク経由でのプリンタ修理などが既に技術的に可能だろうとの見解を示し、「このような高付加サービスを提供することが必要であり、これが競争力を高めることになる」(福田氏)と語った。

 最後に同氏は、「情報家電のマーケットを広げる」「国内IT企業の国際競争の競争力を高める」などの目的達成を目指しているが、「メーカー各社のビジネスモデルが微妙に違っているため、役所にできることには限界があるものの、努力していきたい」と締めくくった。

情報化に対する期待と不安 電機メーカーの売上高ランキング。福田氏は「DELL社に注目している。あの価格競争力は目を見張るものがある」と発言していた

(2003/7/18)

[Reported by otsu-j@impress.co.jp]

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