先月30日、米国内での携帯電話事業参入の意志を表明したGoogleは、同時にGoogleモバイルの正式版を発表。さらにiPhone/iPod touch専用UIも公開し、モバイルに関して積極的な動きを見せました。一方でヤフーは「なりすましメール」受信拒否や自殺予防など、安全性の確保や安心感の醸成に向けた取り組みが見られました。
このように各社に活発な動きがあった先週は、ニュースが豊富な1週間となりました。他にも、マイクロソフトはVista/OfficeのSP1について情報を公開。楽天は「楽天ギフト」を開始しています。そんな中から、今週の解説はIPAのファイル交換ソフトへの注意喚起です。これからの冬休み、ファイル交換ソフトに興味本位で手を出したりすることのないよう、この注意を思い出してください。
◆ヤフーとeBayが業務提携、オークション市場創出目指す
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/12/04/17731.html
12月4日、ヤフーと米eBayは、インターネットオークションの新市場創出に向けて業務提携を発表(発表会の様子はこちら)。同日、eBay公認のオークションサイト「セカイモン」をオープンしたが、アクセス集中のためいったんサービスを停止した。今後も、Yahoo!オークション上でのセカイモン展開、eBayからYahoo!オークションの商品を購入できるサイトの開設を予定している。
◆「それでも使い続けますか?」IPAがファイル交換ソフト利用に注意喚起
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/12/04/17741.html
12月4日、IPAは、「Winny」や「Share」などのファイル交換ソフトを介した情報漏洩に関する相談が相当数寄せられているとして、注意を呼びかけた。同時に情報セキュリティに関する意識調査の報告書の公表も行なっており、「フィッシング詐欺」や「ワンクリック詐欺」の認知が高まる一方、「スピア型攻撃」や「ボット」については知らない人が約6割だとした。
◆通信・放送の法制を一本化、総務省が研究会の最終報告書を公表
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/12/06/17777.html
12月6日、総務省は2006年より開催してきた「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」の最終報告書を発表。通信・放送に関わる現行法制を一本化し、伝送インフラ、プラットフォーム、コンテンツといったレイヤー構造の法体系にすることを提言。インターネットコンテンツでもテレビ放送のように影響力の大きいものについては、表現の自由を確保する一方で、公共の福祉のための規律・規制が必要とした。
◆Windows Vista SP1のリリース候補版が公開、来週には一般公開も
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/12/06/17769.html
米MicrosoftはWindows Vista SP1 RC版をTechNet、MSDNのユーザー向けに公開。今週以降には一般ユーザーもダウンロード可能にするとしている。7日には日本のマイクロソフトが説明会を開催。「exFAT」などVista SP1の新機能や、「Office 2007 SP1」の提供予定について説明した。
◆H.264に正式対応の「Flash Player 9 Update 3」が公開
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/12/04/17737.html
12月4日、米Adobe Systemsは、ワンセグや次世代光ディスクにも採用されている動画圧縮規格「H.264」を正式にサポートした「Flash Player 9 Update 3」を公開。同時にH.264をサポートし、コンテンツ保護機能「PTMPE」を採用した配信側のサーバー製品「Flash Media Server 3」も公開した。
● 「それでも使い続けますか?」IPAが警告するファイル交換ソフトの危険
12月4日、情報処理推進機構(IPA)は11月分のコンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況について発表。最初のトピックで、ファイル交換ソフトを介した情報漏洩に関する相談が毎月相当数寄せられているとして、「ファイル共有ソフト、それでもまだ使い続けますか?」と呼びかけました。11月の相談件数911件のうち、ファイル交換ソフト「Winny」に関するものは31件で、前月の11件から約3倍に増えたとのことです。
ファイル交換ソフト上でのウイルスは「お宝画像」「個人情報」など興味を引く単語を含むファイル名で出回っており、これを迂闊にもダウンロードしてしまうことによってウイルスに感染するとIPAは指摘しています。そして、自分のPC内にある画像や個人情報が漏洩してしまうと同時に、ウイルスもさらに広まっていくわけです。
IPAでは、ファイルの拡張子を表示させることで見た目を偽装したファイルを見抜く方法や、ファイルのプロパティを参照して「ファイルの種類」を確認する方法など、典型的な怪しいファイルの見分け方についても説明しています。また、ウイルス対策ソフトによるチェックも重要ですが、ウイルスは日々新種が作成されており、チェックしてウイルスが検知されなかったからといって安全とは限りません。
ネットエージェントの調査によると、夏休みや年末年始など長期休暇には「Winny」や「Share」などファイル共有ソフトのノード数(利用PC数)が増加します。特に、今年の夏休み期間には「Share」のノード数が過去最高になったとのことです。
ファイル交換ソフトの利用には情報漏洩など多くの危険があり、しかも、一度漏洩してしまった情報は取り戻せません。それでもまだファイル共有ソフトで「お宝」を探すのでしょうか。IPAでは、いくら注意をしても、ファイル共有ソフトを利用し続ける限りは情報漏洩事故は無くならないとして、「ファイル共有ソフトを使用しないで下さい」と呼びかけています。
関連情報
■URL
Winny流出の傾向と対策
http://internet.watch.impress.co.jp/static/column/winny/2007/12/05/
Winny流出事件2006
http://internet.watch.impress.co.jp/static/index/2006/12/18/
2007/12/10 12:46
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小林祐一郎 プログラマ、編集者、Webディレクター等を経て、ライター・編集者として活動。興味のあるテーマは「人はどうすればネットで“いい思い”ができるのか」 。ごく普通の人の生活に、IT技術やネットのコミュニケーションツールがどんな影響を与え、どう活用できるのかを研究している。近著「Web2.0超入門講座」(インプレス) |
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