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首都圏の鉄道・バスの“動き”を丸ごと可視化した4次元地図「HEAVY 4D TOKYO」がスゴイ!
2018年5月24日 06:00
首都圏のさまざまな公共交通機関のデータを利用したアプリケーションやアイデアを募集するコンテスト「東京公共交通オープンデータチャレンジ」の受賞結果が発表された。鉄道やバス、航空会社など数多くの公共交通のデータが提供された今回のコンテストでは、鉄道の情報を可視化するアプリや路線図アプリ、経路探索アプリとさまざまな受賞作品が生まれたが、中でも次世代の地図コンテンツとして注目されるのが、準最優秀賞を受賞した「HEAVY 4D TOKYO」だ。
HEAVY 4D TOKYOは、オギクボ開発株式会社が開発した作品。首都圏の鉄道やバスの“動き”を3D地図上に表示するというもので、PCやスマートフォンのウェブブラウザー(WebGLが有効なGoogle Chrome)上で見ることができる。地図上で動く公共交通はすべて時刻表のデータ通りに動いており、鉄道もバスも四角い箱の移動で表現されている。
鉄道については、中央線はオレンジ、総武線は黄色と、色で路線が分かるようになっており、箱の数で編成の編成両数を表現している。また、それぞれの列車には、行き先や「普通」「通勤特別快速」といった列車種別の情報も動きに追従して表示される。
一方、バスは会社ごとに赤色または青色、緑色などの色で描かれており、「荻12」などの系統と「武蔵関駅」「東京医大病院前」など行き先の情報が表示される。
地図データはOpenStreetMapを使用しており、建造物の3D表示・非表示を選べる。また、鉄道の駅の構内図も掲載されており、プラットホームや階段、出口の位置などが細かく描かれている。上部の時刻表示をクリックすると地図上に再現する時刻を変更することが可能で、時間の経過を止めたり、逆回転させたりすることもできる。
開発元であるオギクボ開発の川島和澄氏は、以前、東京駅の列車の運行状況を可視化するアプリ「Tokyo|Ogiqvo(トウキョウ オギクボ)」を提供するなど、3D地図に列車やバスの位置を融合させたこのような地図を、時間軸を操作できる“4次元地図(4D地図)”として提案してきた(2016年3月3日付関連記事『東京駅を発着する列車の動きを3D地図上に表示するアプリ「Tokyo|Ogiqvo」』参照)。
今回のHEAVY 4D TOKYOは、その現時点での集大成とも言えるもので、1つの駅に絞らず、幅広いエリアでシームレスに鉄道やバスの動きを可視化させることに取り組んだ。エリアが広いため、スクロールは少し重いものの、Tokyo|Ogiqvoのように駅を行き交う鉄道の動きを眺めるだけでなく、特定の車両の移動に合わせて地図をスクロールさせながらどんどん行き先を追っていけるのは本当に面白い。
また、都心エリアでバスの動きを見ると、東京という街において、いかに多くのバスが行き交っているかがよく分かる。家や会社など、身近なエリアでのバスの動きを見ると、「こんなところへ行くバスも走っていたのか」などと、きっと新しい発見があるだろう。
オギクボ開発の発表によると、従来の交通情報は駅・バス停の所在や路線図、時刻表などの情報が個別に提供されていたが、これらの情報を有機的に結び付けて、現実世界に忠実な動作を再現することで、より短時間に的確な情報伝達が可能になると考えた結果、このような“4D地図”を開発したという。
首都圏のさまざまなエリアで、列車やバスが今、どのような動きをしているかを一覧できるこのHEAVY 4D TOKYOの無償公開は、5月25日まで。鉄道やバスが好きな人はぜひチェックしてみてほしい。