地図と位置情報
「衛星測位・位置情報展2017」9月15日まで開催中、「みちびき」関連製品を各社が出展
2017年9月14日 06:00
GNSS(全地球航法衛星システム)や屋内測位技術などをテーマにした展示会「衛星測位・位置情報展(SATEX)2017」が9月13日から15日まで、東京ビッグサイト(東京都江東区)にて開催されている。今年で3回目の開催となるイベントで、測位機器メーカーや、位置情報を活用したソリューションなどを提供する企業が出展するほか、位置情報関連の講演も多数行われている。
今年は準天頂衛星「みちびき」の打ち上げが3機連続で行われる年であり、来年度からはみちびきの4機体制が始まることから、みちびき対応の製品の出展が目立った。
小峰無線電機、マルチGNSSアンテナ「QZシリーズ」
各種コネクタやアンテナを提供する小峰無線電機株式会社は、みちびきの4機体制スタートを見据えて、みちびきを含めた複数の信号に対応するマルチGNSSアンテナ「QZシリーズ」を今年に入って相次いで発売している。GNSSの信号にはL1/L2/L5/L6などさまざまな信号があるが、QZシリーズでは、L1とL2に対応した「QZG12a」、L1とL5信号に対応した「QZG15a」など、全8種のラインアップとなっている。
アンテナの筐体は3種類が用意されており、底面から回り込む電波を遮断して精度を向上させる「マルチパス対応」モデルの「QZS12b」なども開発中で、こちらの試作品も出展されている。
ソフトバンク、IMES対応のマルチGNSS端末プロトタイプ
みちびきに加えて、屋内測位技術「IMES(Indoor MEssaging System)に対応したマルチGNSS端末のプロトタイプを、ソフトバンク株式会社が展示。同製品は、LTE回線によって位置情報などを送信するGNSSトラッカーとして利用可能で、屋内外シームレスな測位を実現している。みちびきで誤差1m以下の高精度測位を実現するL1-S信号にも対応予定。日立ソリューションズと連携してすでにいくつかの企業に提供中で、来年度からの正式販売を予定している。
マゼランシステムズジャパン、「次世代多周波マルチGNSS受信機ボード」
マゼランシステムズジャパン株式会社は、GPSやQZSS、GLONASSなどに対応した「次世代多周波マルチGNSS受信機ボード」を展示。みちびきを含む多周波に対応したマルチGNSS受信機の試作ボードだ。みちびきのL6信号にも対応しており、単独でセンチメートル級の高精度測位が可能。
パナソニック、RTK-GNSS機能搭載の「TOUGHPAD」
GPSのL1信号に補正データを組み合わせることで、誤差10cm程度の高精度測位が可能なRTK-GNSS(リアルタイムキネマティック)機能を搭載したビジネス用タブレット「TOUGHPAD」を、パナソニック株式会社が展示。7型の「TOUGHPAD FZ-M1」と、10.1型の「FZ-G1」を展示するとともに、通常のDGPS(ディファレンシャルGPS)とRTK-GNSSで測位精度がどの程度違うのかを紹介する動画デモも展示している。
日建リース工業、カゴ台車にGPSトラッカー搭載
こちらはSATEXではなく、併催イベント「フードディストリビューション2017」に出展した企業だが、SATEXの展示ブースのすぐ近くで日建リース工業株式会社が展示をしている。物流パレットに搭載する独自開発のGPSトラッカー「Transeeker」を展示しており、今夏からは物流パレットだけではなく、カゴ台車や六輪カートへの搭載も開始している。六輪カートには底部に、カゴ台車には上部のパイプにぶら下げるようにしてGPSを設置する。GPSトラッカーには温度センサーや加速度センサーも内蔵しており、位置はウェブアプリの地図上で確認できる。
本連載「地図と位置情報」では、INTERNET Watchの長寿連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」からの派生シリーズとして、暮らしやビジネスあるいは災害対策をはじめとした公共サービスなどにおけるGISや位置情報技術の利活用事例、それらを支えるGPS/GNSSやビーコン、Wi-Fi、音波や地磁気による測位技術の最新動向など、「地図と位置情報」をテーマにした記事を不定期掲載でお届けしています。