地図と位置情報

【令和6年能登半島地震】被災状況などを可視化した地図情報サイトまとめ

最新の航空写真、建物被害推定、道路の通行実績データ、避難所・支援物資拠点の情報などを提供

 令和6年能登半島地震の災害対応および被災地支援を目的として、国土地理院や航空測量会社がいち早く被災地の航空写真を公開したほか、G空間情報センターや防災科学技術研究所が住家被害情報などを可視化した地図情報サイトを公開している。各サイトの概要は以下の通り。

【記事更新 2024年1月9日 18:30】
 LINEヤフー株式会社が提供を開始した「災害マップ」の情報を追記しました。

G空間情報センター リアルタイム災害情報:令和6年能登半島地震

https://www.geospatial.jp/disaster-info/

G空間情報センター リアルタイム災害情報:令和6年能登半島地震

 一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会(AIGID)が運用するG空間情報センターでは、航空測量会社による被災地の航空写真(斜め撮影)のほか、住家被害情報、自動車の通行実績情報、ハザードマップ、色別標高図(地理院タイル)などを集約して地図情報として提供している。

 住家被害情報はNational Network for Emergency Mapping(N2EM)のボランティアメンバーが収集した情報で、住居ごとの被害状況などがまとめられている。通行実績情報はパイオニア株式会社の提供によるもので、2023年12月31日から1日ごとの通行実績情報を見られる。ハザードマップは国土地理院が提供する「重ねるハザードマップ」をもとにしており、津波浸水想定や土砂災害警戒区域、地すべり危険箇所などを確認できる。

防災クロスビュー:令和6年能登半島地震

https://xview.bosai.go.jp/view/index.html?appid=41a77b3dcf3846029206b86107877780

防災クロスビュー:令和6年能登半島地震

 国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研)が提供するサイトで、SIP4D(基盤的防災情報流通ネットワーク)などで共有された災害対応に必要な情報を集約し、統合的に発信している。建物被害推定や斜面崩壊・体積分布、津波浸水推定、携帯電話の通信状況、住家被害状況、断水戸数・給水支援、災害関連法適用状況、災害廃棄物量推定、震源分布などさまざまな情報を地図上に可視化できる。

Yahoo!防災速報

https://emg.yahoo.co.jp/

 LINEヤフー株式会社は1月6日、「Yahoo!天気・災害」のウェブページおよび「Yahoo!防災速報」アプリにて提供している「災害マップ」機能に、令和6年能登半島地震の支援情報を追加した。追加した情報は、石川・富山・新潟3県の避難所、給水所、入浴・シャワー、トイレ、支援物資拠点、通行止めの情報。3県が
現在地となるユーザーであれば周辺状況の投稿も行える。

LINEヤフー株式会社が提供する「災害マップ」

国土地理院 令和6年(2024年)能登半島地震に関する情報

https://www.gsi.go.jp/BOUSAI/20240101_noto_earthquake.html

地理院地図

 国土地理院は1月1日、令和6年能登半島地震の災害関連情報のウェブページを開設。1月4日現在、「『だいち2号』観測データの解析による地殻変動(1月2日発表)」や電子基準点による地殻変動の観測データ、震源断層モデルなどを公開している。

 また、ウェブ地図サービス「地理院地図」において、被災地の空中写真(垂直写真および正射画像)や、斜面崩壊箇所および土砂堆積箇所の範囲について判読した「斜面崩壊・堆積分布データ」、だいち2号のSAR解析結果などを公開している。

能登半島地震フォトグラメトリ・マップ

https://ion.cesium.com/stories/viewer/?id=a4bbf02c-dd2e-4a16-9556-6543ace0b96d

 東京大学・渡邉英徳研究室による、被災地の3Dマップに空中写真や衛星画像をマッピングしたコンテンツで、土砂崩れが起きている箇所などを確認できる。

読売新聞社 令和6年能登半島地震被災状況マップ

https://storymaps.arcgis.com/stories/f9dc1fce8ce3421d92b97a8bf2e697b1

 読売新聞のカメラマンや記者が現地で撮影した写真を見られるコンテンツで、東京大学・渡邉英徳研究室が学術指導を行っている。写真に連動して3Dマップ上で撮影位置が表示される。

株式会社パスコ 災害緊急撮影 2024年1月 令和6年能登半島地震

https://corp.pasco.co.jp/disaster/earthquake/20240102.html

 パスコは1月2日に航空機による被災地の緊急撮影を行い、航空写真および標定図を公開している。また、概況把握を目的に高分解能光学衛星「Pléiades Neo」および中分解能光学衛星「SPOT」、合成開口レーダー衛星「TerraSAR-X」による観測を実施し、その結果を公開している。

国際航業株式会社 令和6年能登半島地震

https://www.kkc.co.jp/disaster/2024/01/令和6年能登半島地震/

 国際航業は1月2日に被災地の緊急撮影を行い、その判読結果を公開している。、写真上で「建物倒壊」「崩壊」「液状化」「亀裂」などが起きた地点がそれぞれ色別に掲載されている。また、このページに掲載されたもの以外の航空写真を、同社が提供する「Bois/防災情報提供サービス」の無償版サイトにて公開している。

朝日航洋株式会社 令和6年能登半島地震による被害状況等の航空写真

https://www.aeroasahi.co.jp/news/649/

アジア航測株式会社 「令和6年能登半島地震」被害状況

https://www.ajiko.co.jp/news_detail/1439

 朝日航洋とアジア航測は1月2日に共同で被災地の緊急撮影を行い、両社のウェブサイト上で、斜面崩壊が起きている場所や津波による被害が起きた場所などを中心に公開している。地図上で撮影場所や撮影方向を確認することもできる。

中日本航空株式会社/株式会社ナカノアイシステム 令和6年能登半島地震 斜め写真撮影

https://www.nnk.co.jp/research/disaster/d202401.html#prettyPhoto

 中日本航空とナカノアイシステムは1月2日に共同で緊急撮影を行い、斜め写真および撮影場所を地図上で確認できる標定図を公開している。

気象庁「令和6年能登半島地震の関連情報」

https://www.jma.go.jp/jma/menu/20240101_noto_jishin.html

 地震の発生状況や被災地の気象状況などを集約して公開している。地震情報や推計震度分布図、長周期地震動に関する観測情報などを地図上で確認できる。

推計震度分布
片岡 義明

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。