中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2021/1/7~1/14]

CES 2021 On Demand:クルマ、ロボット、ホームフィットネス、ヘルスケアなどが話題に ほか

eHrach/Shutterstock.com

1. CES 2021 On Demand:クルマ、ロボット、ホームフィットネス、ヘルスケアなどが話題に

 今年のCESは新型コロナウイルス感染症対策として、全てオンデマンドでの開催となった。これまで参加するには1週間から10日の出張となり、時間的にも、経済的にもそれなりの負担があったが、オンラインとなったことで、より気軽に参加できるきっかけにもなったと思われる。

 CESはその年のデジタルテクノロジーのトレンドを把握する上で重要な展示会となっている。そうした意味で、今年のキーワードとなっているのはクルマ、ロボット、ホームフィットネス、ヘルスケアのようだ。クルマについては地上を走行するものだけでなく、GMの「空飛ぶクルマ」も含まれる(日経XTECH)。また、昨年に続き、ソニーがプロトタイプEVセダン「VISION-S」の技術紹介や走行シーン動画を公開したことが話題となっている(TechCrunch日本版)。

 また、ソニーは「Airpeak」というAIロボティクス領域におけるドローンについても機体を公開した(CNET Japan)。2021年春には事業開始を計画しているとしている。

 そのほか、ホームフィットネスも話題のキーワードだと報じられている(TechCrunch日本版)。新型コロナウイルス感染症の収束も見えないところから、スポーツジムではなく、自宅でも利用できるサービスとしてのフィットネスは新たな市場として注目をされそうだ。

ニュースソース

  • [CES 2021]100万画像学習、SamsungがAIロボット掃除機[日経XTECH
  • [CES 2021]GMが「空飛ぶクルマ」披露 FCAは米新興支援[日経XTECH
  • [CES 2021]GMバーラCEO「EVの変曲点」 商用EV発表[日経XTECH
  • 8コのキューブにタッチディスプレイを搭載したキューブパズル的ゲーム機「WOWCube」がCES 2021に出展 事前予約受付を開始[ガジェット通信
  • Airpeakの機体を初公開[ソニー
  • CES 2021について[ソニー
  • CES 2021の人気カテゴリーは「ホームフィットネス」[TechCrunch日本版
  • CES2021はバーチャル開催へ:注目の分野とスピーカーたち/Gary Shapiro氏インタビュー[The Bridge
  • Intel、Core/Pentium/CeleronからXeonまで新製品を一挙公開 - CES 2021[マイナビニュース
  • IT見本市「CES」オンラインで開幕 日本勢は出展に二の足[ITmedia
  • LGが巻取りスマホ披露、伸びてタブレット大に:CES 2021[Engadget日本版
  • ソニー、CESでの注目は車とドローン--「3Rテクノロジー」一挙に披露[CNET Japan
  • ソニー「CES 2021」のプレスイベント、最新コンテンツ制作環境を紹介[ケータイWatch
  • ソニーがビデオカメラ搭載ドローンAirPeakをCESで披露[TechCrunch日本版
  • ソニーがプロトタイプEVセダン「VISION-S」の技術紹介や走行シーン動画を公開[TechCrunch日本版
  • パナソニック、CES 2021に専用サイト--最新空調システムから進化したVRグラスまで[CNET Japan
  • 開催近づく「CES 2021」、オンラインで会いたいロボットたち[CNET Japan
  • 日本のベンチャー企業、米IT見本市「CES」に続々出展[ITmedia
  • 非侵襲な血糖値測定ウェアラブル、日本のスタートアップが開発中。CES 2021に出展[Engadget日本版

2. トランプ大統領がさまざまなオンラインサービスから締め出される

 一般紙誌でも大きな話題として報じられているように、連邦議会議事堂乱入事件をトランプ大統領自身が煽ったとして批判を浴びている。

 その結果、トランプ大統領はさまざまなインターネットのメディアサービスから締め出されている状況になっている。Twitter、Facebookはもちろんのこと、YouTubeもアカウントをブロックしている。また、暴力的なコメントであふれていたとされるParlerというアプリはアップルやグーグルのアプリストアからも排除された。
このように、大統領が主に使用してきたSNSでの発言は封じられることになっただけでなく、決済サービスStripeからも締め出され、支援者からの寄付金を引き出せないという状況になっているとも報じられている。

 このように、大統領就任以来、記者会見や演説だけでなく、自らSNSを通じてメッセージを発信し続けてきたが、大統領選落選とともに、支持者離れは加速をし、ついには世界に、そして支持者に対して直接的にメッセージを伝えることができるプラットフォームからも厳しい対応をされてしまう結果となった。

ニュースソース

  • アマゾン、アップル、グーグルが「Parler」を締め出し--暴力的コンテンツを懸念[CNET Japan
  • トランプ大統領がオンライン決済のStripeからも追い出され寄付金受け取り不可に[TechCrunch日本版
  • 遅ればせながらYouTubeもトランプ大統領への措置を決定、公式チャンネルへの新規投稿を1週間禁止[TechCrunch日本版
  • FacebookとInstagramがトランプ大統領のアカウントを「少なくとも政権交代が完了」までブロック[TechCrunch日本版
  • Twitter、トランプ米大統領のアカウントを永久停止[ケータイWatch
  • オンライン決済のStripe、トランプ陣営ウェブサイトの決済処理を停止か[CNET Japan

3.KDDIが安価なサービスメニューを発表――3社横並びの様相に

 昨年末、NTTドコモとソフトバンクがメインブランドでの安価な料金プランを発表したのに対し、KDDIは見かけ上は安くても、実際にはいくつもの条件が重ならないとその価格にはならないとされる料金プランを発表したことで、市場からは厳しい目が向けられていた。KDDIの高橋誠社長も「12月に発表したAmazonさんと提携したプランは、(NTTドコモのahamoの直後で)タイミングがよくなく、お客さまからお叱りの声をたくさんいただいた」と述べている。しかし、今回は両社に対抗できる料金プランを発表した。

 新プランは20GBで月額2480円のオンライン専用ブランド「povo」という名称だ。使いたい機能をトッピングして追加する仕組みとなっている。そのため、一見すると他社のプランよりも500円ほど安価に見えるが、これには音声通話料金が含まれていないということなど、分かりにくいという声もあるが、話あったかのような完全横並びというわけではないプランを示したという意味では意味があったと思う。さらに、各社のプラン間、各社間でのMNP転出手数料の廃止などもあり、今春以降に顧客の「大移動」がどのように起こるかは大変に興味深い。

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4. 2020年のダウンロード数トップは「COCOA」

 App Annie Japanが2020年のモバイル市場に関する包括的なレポート「モバイル市場年鑑 2021」を発表した(ITmedia)。

 それによると、世界では「新型コロナウイルスの感染拡大を受けたオンラインへの急速な移行に伴い、モバイルアプリのダウンロード数が過去最高となる約2180億件を記録」し、「消費支出額は約1430億ドル、1人あたりの1日の平均モバイル利用時間は4.2時間で、いずれも2019年の同期間から20%増加している」という。そのうち、「日本のモバイルアプリのダウンロード数は年間約26億件、消費支出額は約200億ドル、1人あたりの1日の平均モバイル利用時間は2019年の3.3時間から3.7時間へと増加」していると指摘している。いずれも、ステイホーム、ロックダウンによる巣ごもりで、消費がスマートフォン上に向かったということが数字として明らかになっている。

 さらに、日本の非ゲームアプリのダウンロードランキングの1位には厚生労働省が公式提供する新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」が、さらにはビデオ会議ツール「Zoom」、デリバリーサービス「UberEATS」などもランクインしていることも2020年のコロナ禍を象徴している。

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  • 2020年のダウンロード数トップは「COCOA」 App Annieの「モバイル市場年鑑2021」から[ITmedia

5. 世界のPC出荷が大きく成長

 市場調査会社の大手2社であるガートナーとIDCはそれぞれ2020年のPC出荷台数の動向について発表をした。

 ガートナーによれば、2020年のパソコン出荷台数は2億7500万台と対前年同期比4.8%の増加を記録し、過去10年間の最高の成長率だとしている。同社では「消費者の需要は2019年まで携帯電話(スマートフォン)が牽引していたが、パンデミックによりこの役割がパソコンに移った」とコメントをしている。

 また、IDCでは2020年通期でのパソコン出荷台数を3億260万台としていて、対前年同期比で13.1%増加したとしている。さらに、PC市場が年間でこれほどの伸びを示したのは2010年以来だとコメントをしている。

 両社が発表している調査においてはPCの定義や調査方法に違いはあるとみられるが、「この10年で最大の成長を遂げた」としているところには違いがない。そして、その要因が新型コロナウイルス感染拡大によるリモートワークや遠隔教育などのためのニーズが高まったことだということも共通している。

 コロナ禍はデジタル機器の利用スタイルに変化を起こし、世界的なデジタル機器の消費トレンドにも変化を与えている。いまだ出口の見えないこのパンデミックのなか、今後もデジタルデバイスのニーズが変化し続ける可能性があり、PCの製造や周辺での関連する産業にも影響を大きく与えるとみられる。

ニュースソース

  • 2020年のパソコン出荷台数は2億7,500万台。過去10年間で最高の成長率~Gartner調べ[PC Watch
  • 世界のPC出荷、この10年で最大の伸び--2020年に13.1%増[CNET Japan

中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。