中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2023/10/5~10/11]

イスラエルとハマスの戦闘に関して、SNSに拡散される偽情報 ほか

eHrach/Shutterstock.com

1. 日本は健全なAI発展にどう貢献すべきなのか

 10月8日から12日まで、国連主催の「インターネットガバナンスフォーラム2023(IGF2023)」が京都市で開催された。

 この会合に岸田総理大臣が登壇し、急速に普及する生成AIについて、「リスクを軽減しながら恩恵を最大化するため、開発者が守るべき国際的な指針や行動規範を、この秋にも、G7=主要7か国として策定する」という考えを示した(NHK)。これに対し、米国のIT企業の代表者らも「規制への対応や安全性の確保などで協力していく意向」を示した。

 こうした動きを受け、鈴木総務大臣は記者団に対して、「G7以外の各国のほか、IT大手のグーグルやメタなどからも『広島AIプロセス』への賛同が表明され、大変有意義だった。国際社会全体が安心・安全で信頼できる生成AIの恩恵を享受し、さらなる経済成長や生活環境の改善を実現できるよう、国際的なルールづくりをけん引していきたい」と述べた(NHK)。

 米国ではAIが著作物を学習することの是非、映画業界ではAIによって仕事が代替されてしまったり、報酬に影響が及んだりすることについて盛んに議論がされている。EUでは、デジタル・サービス法で、偽情報の拡散に対する厳しい規制などが行われていて、日本で推進をしている機運とは温度差もあるように感じる。もちろん、AIのリーディングカンパニーの多くが米国に存在していることを考えると、日本が実効性のあるリーダーシップを握ることはそう簡単なことではなさそうだ。

ニュースソース

  • 岸田首相 生成AI開発者向けの国際的指針など 秋にもG7で策定へ[NHK
  • 生成AI共通ルール作りへ 米IT企業が安全性確保など協力の意向[NHK

2. イスラエルとハマスの戦闘に関して、SNSに拡散される偽情報

 BBCニュースが報じたところによれば、欧州連合(EU)のティエリー・ブルトン欧州委員が「パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルとの戦闘をめぐり、ソーシャルメディア『X』(旧ツイッター)で「偽情報」が拡散されていると警告。Xを所有する米資産家イーロン・マスク氏に対策を講じるよう要請」したということだ(BBC)。

 偽情報の具体的な事例について、NHKが報じている(NHK)。「パレスチナの戦士がイスラエルのヘリコプターを撃墜した」「パラシュートでイスラエルに降下するパレスチナの兵士たち」「イスラエルの子どもたちがハマスに誘拐され、おりに閉じ込められている」などは、いずれも偽情報だとされている。そもそもミリタリーゲームの一場面だったり、他の場所での訓練映像だったりするものが、画像の説明を付けてSNSに投稿されるだけで、あっという間に拡散される。

 有事にはこうした情報戦が行われることは想定されていた事態だが、かなり巧妙であり、うっかりすると信じてしまうというのは分からなくはない。

 こうした行為を抑止するのはプラットフォーマーの役割だろうが、ファクトとの見分けをするのはそう簡単ではなさそうだ。ユーザーとしても、普段から、疑う目を養って、自衛するしかないのか。

ニュースソース

  • 「X」での偽情報対策を要請、イスラエルとハマスの戦闘めぐり EUがマスク氏に[BBC
  • 「SNSなどで偽動画が拡散 ハマスとイスラエルの衝突」[NHK

3. 国産量子コンピュータ初号機の愛称は「叡」

 理化学研究所は、今年3月27日に稼働を始めた国産超伝導量子コンピュータの初号機の愛称を「叡」(えい、英語表記は“A”)に決定した(ITmedia)。これは4月7日から5月31日にかけて公募したもので、3781件の応募があった中から選ばれた。理研によれば「『叡』は聡明さを表し、量子コンピュータの情報処理における卓越性・先進性を表す」という理由で選ばれたという。

ニュースソース

  • 国産量子コンピュータ初号機、愛称は「叡」に 英語表記は“A” 理研が発表[ITmedia

4. SNS有料化プランのトレンド

 GIZMODEが、SNSの有料化トレンドについて書いている(Gizmode)。先頃、ウォールストリートジャーナル紙は、米国メタが欧州ユーザー向けに月額17ドルの広告なし版InstagramとFacebookを計画していると報じたが、有料化計画はメタに限った話ではなく、他のSNSでも有料化の計画があるというのだ。まず、TikTokは有料プランを検討していることがリークされていることを取り上げている。すでに、すでに有料化プランを出しているXでは、月額8ドル(約1200円)、YouTubeの広告なし有料プレミアムプランは月額1180円、Snapchatの有料プラン(日本未展開)は月額4ドル(約600円)である。

 すなわち、記事の見出しにあるように「快適に使いたかったらお金払ってね」というわけだ。アドテクノロジーが進歩しても、興味のない広告表示の多さにうんざりしている利用者も一定数がいるので、広告を閲覧する以外の選択肢があることは健康的なことだろう。ただ、全てのサービスに料金を払い続けられるわけではないので、利用者によるメディアの選別も進むのではないだろうか。

ニュースソース

  • 快適に使いたかったらお金払ってね。SNSは有料の時代へ[Gizmode

5. 【イベントカレンダー】ジャパンモビリティショー

 日本自動車工業会は、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー)」を10月26日から11月5日まで(一般公開は10月28日から)開催する(Impress Watch)。これまで、「東京モーターショー」とされていた展示会だが、「自動車業界以外のコンテンツも盛り込み、幅広い集客を見込む」という趣旨から改名された。

 新型電気自動車やバッテリーなどの車両の基本的な技術はもちろんのこと、ネットワーク、センシング、AIなどのソフトウェア制御などの話題も注目される。さらには、車内エンターテインメントへの取り組みを進める企業の出展も期待されるところだ。

ニュースソース


    「ジャパンモビリティショー、10月26日開催 未来のモビリティからグルメまで」[Impress Watch
中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。