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【使いこなし編】第223回

Amazonのサウンドバー「Fire TV Soundbar Plus」でテレビのサウンドをアップグレード!

 テレビをもっとイイ音で楽しみたいと考えるとき、手軽に導入できるのが「サウンドバー」と呼ばれる製品だ。薄型大画面テレビの手前に置くことが想定された細長い形状の製品で、薄型化で迫力ある音声出力が難しくなっているテレビに代わって、重低音などを出力する。

 もちろん、マルチチャンネル対応のAVアンプ+複数のスピーカーといった、より本格的なオーディオ機材もあるが、費用面も設置スペースも非常にリーズナブルで、擬似的なサラウンドも楽しめるのが特徴だ。配線もシンプルで扱いやすい。

 そんなサウンドバーが、Amazonの「Fire TV」ブランドから、「Fire TV Soundbar Plus」として2024年12月に発売された。今回からは、この使いこなしを実践していく。

Amazonのサウンドバー「Fire TV Soundbar Plus」
同梱品は、専用リモコン、壁掛け用の専用ブラケットとネジ類、ハイスピードHDMI 2.0ケーブル、AC電源ケーブル、単4電池2本
クイックスタートガイドと壁面取り付け用の実寸ガイドが付属する
専用リモコン(右)は、Fire TVリモコン「Alexa対応音声認識リモコン Pro」(左)に似ている

ストリーミングプレイヤー機能は非搭載、全ての音を出力できる

 Amazonブランドで、かつ「Fire TV」とネーミングされているが、Fire TV Soundbar Plus自体に動画コンテンツの再生などができるストリーミングプレイヤー機能は備わっていない。また、Amazonの製品ながらAlexaによる音声操作にも対応していない。「Fire TV」のファミリーとして、連携して使いやすく設計された製品だと考えておこう。

 そのため、ストリーミングプレイヤーとしては別途Fire TVファミリーを組み合わせる必要となる。ちなみに、AmazonではFire TV StickやCubeなどとのセット販売も行われている。

 なお、おそらく、Fire TV Soundbar Plusの購入を検討する人は、すでにFire TVシリーズのユーザーではあると思われるが、使用にあたって別のFire TVファミリーが必須なわけではない。Fire TV Soundbar Plusをテレビに接続するだけで利用でき、設定も付属リモコンで可能だ。この連載では以前に実践した「Fire TV Cube」を連携させて使い勝手を見てみることにする。

 別の音声出力の実践として、これまでの連載で、Fire TVファミリーのストリーミングプレイヤーにEchoシリーズ2台をシアタースピーカーとして連携させて活用してみたこともあった。この場合、Echoからから出力されるのはFire TVで再生したコンテンツの音声だけで、テレビ自体が発する音、例えばテレビのチューナーを使って見ている番組の音声などはテレビからのみ出る。

 一方で、Fire TV Soundbar Plusの場合、ARC/eARC対応HDMI入力を使ってテレビと接続するため、テレビの音声出力がから出力されるサウンドは全てFire TV Soundbar Plusから出力されるようになる。

 また、両者の違いには、ケーブルを使うためテレビの近くにしか置けないFire TV Soundbar Plusに対し、Wi-Fi接続のEchoシリーズは、設置場所の制限がないこともある。チューナーレステレビでコンテンツは全てFire TVファミリーで再生するなら、Echoシリーズも便利でオススメだ。視聴スタイルや家にある機材との兼ね合いで、サウンドバーが最善かどうかを検討するといいだろう。

上面中央に操作ボタンがある。Echoに似ているが、Alexaデバイスではない
Echoシリーズと似たファブリックを使ったデザイン
背面にARC/eARC対応HDMI入力、角形光デジタル入力、USB Type-Aポート、ACコンセント入力

50インチのテレビにベストマッチのサイズ

 サイズは942×131×64mm(幅×奥行×高さ)。幅はやや広めで、50インチのチューナーレステレビの下に置いてみたが、ちょうどいいサイズ感になった。これ以下の画面サイズだと、サウンドバーの方がやや大きめに感じてしまうだろう。壁掛けにも対応できるように、金具やアンカー、ネジも付属している。

50インチのチューナーレステレビの下に置いてみた。ちょうどいいサイズ感だが、テレビの脚の間に入らず、前に出すかたちになった

 スピーカーはフロント3chで、背面側からサブウーファーの音が出る3.1chとなっている。そのため、背面はピッタリとふさがず、空間が取れるように設置するといい。

 フロントの3chにはツイーターが付いているので、高音も明瞭に出る。スピーカー部分は、Echoシリーズと共通のデザインで、ファブリック地で囲われており、角はラウンドしていてインテリアになじむ。

 背面には、ARC/eARC対応HDMI入力、角形光デジタル入力、USB Type-Aポート(現状使用しない)、AC入力がある。電源はACケーブル直刺しでACアダプターは使わない。このHDMI入力でテレビと接続すると、配信サービスなどの対応コンテンツでDolby Atmos、DTS:X、DTS Virtual:Xのサラウンドも楽しむことができる。

 付属の専用リモコンは、4つのサウンドモード(EQ)やバスとトレブル調整、ダイアログエンハンサー、サラウンドの設定などが可能だ。設定は単体でもできるが、FireTVの設定画面にて統合して操作することもできる。ここがFire TVシリーズである利点だ。

 以後の連載ではここを詳しく見ていくようにしよう。ちなみに、音声ガイダンスと前面LEDを使ってもセッティングを行える。

以前連載で使用したEcho Studioとのサイズ比較。同時に使用することはできない
普段は消えていて存在も分からないが、音量などを設定すると前面LEDが点灯する

エントリークラスの価格で高い満足感

 さて、肝心の音質だが、テレビ内蔵のスピーカーよりも数段上の音質を体感できることは確実だ。音楽の鑑賞にも十分に耐えるサウンドといえる。サウンドバーの価格として見ると、エントリークラスになると思うが、かなり上質だと感じた。

 Echoシリーズと比較すると、Echo Dot2台を使ったステレオペアよりも断然迫力がある。だたし、低音の量に関してはEcho Studioステレオペアの方が上だ。また、Echo Studioだと部屋内に自由な配置が可能なので、少し離して配置し、部屋の中を音で満たすこともできる。よって、ライブ音楽鑑賞ではEchoシリーズに分がある。

 対してFire TV Soundbar Plusは、中央にもスピーカーがあるので、人の話し声が格段に聞き取りやすく、ダラダラとバラエティ番組を見続けても、低音も多すぎないので聞き疲れがない、バランスのいいサウンドだと言える。ド迫力の低音は期待せず、とにかくテレビの音を手軽にアップグレードして、Fire TVのコンテンツだけでなく、放送波やゲームなどまんべんなくテレビをイイ音で楽しみたいという人に向いている。

 サラウンド対応ではあるが、後からイネーブルドスピーカー(天井に反射させるなどして立体音響をより感じるためのスピーカー)を追加したりもできないし、低音を補強したいときにサブウーファーを追加することもできないので、すでにFire TVストリーミングデバイスを楽しんでいる人で、深く考えずにFire TVのコンテンツのサウンドを手軽にアップグレードしたいというニーズに合わせたモデルと言える。

 次回からは、これまでの連載で使用したTCLのチューナーレステレビ「50P63J」と「Fire TV Cube」を組み合わせて、セッティングから実践していきたい。

今回の教訓(ポイント)

Amazon「Fire TV Soundbar Plus」は、コスパ良好なサウンドバー
ただし、Fire TVとAlexa機能は付いていないので注意する

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。