読めば身に付くネットリテラシー

あなたも騙される!?

ネット詐欺に引っかかりやすい人 5つのタイプ~まずは自分の“油断ポイント”を知ろう

ネット詐欺に引っかかりやすい「過信タイプ」「権威盲信タイプ」「思考停止タイプ」「信じ込み過ぎタイプ」「お得飛びつきタイプ」という5つのタイプについて解説します

 スマホやパソコンが手放せない現代において、ネット詐欺の被害は年々深刻化しています。警察庁のまとめによると、2024年の特殊詐欺被害額は約721億5000万円、SNS型投資・ロマンス詐欺被害額は約1268億円、合計で2000億円近くとなり、過去最悪を記録しました。

 私たちNPO法人デジタルリテラシー向上機構(DLIS)に相談してくる被害者に話を聞くと、「私に限って大丈夫だと思っていた」「普段から詐欺に注意していた」「リアル(対面)では絶対に騙されることがない」と考えている人が多いことが分かります。今回は、どんな人がネット詐欺に引っかかりやすいのか、5つのタイプを挙げて、その特徴を解説します。

 ネット詐欺は、こうした引っ掛かりやすいタイプの人がつい油断してしまっているポイントを突いてきます。巧妙化するネット詐欺の手口に対抗するためには、まずは自分の“油断ポイント”を知ることが大切です。以下、自分にもあてはまるところがないか、ぜひチェックしながら読み進めてみてください。

1. 過信タイプ:自分だけは大丈夫と思い込む

 ネット上の詐欺ニュースを見聞きしても「自分は大丈夫」「ネット詐欺は見分けられる」と過信する人は要注意です。このタイプは、ある程度成功して何事にも自信を持っている人に多く、ネット詐欺に対しても自分は騙されないという根拠のない自信を持っているので、最新情報をチェックしたり、対策を学んだりしない傾向があります。

 また、小さな問題が起きても「こんなことは正常の範囲内」と思い込んでしまう“正常性バイアス”と呼ばれる思考の特徴があり、大ごとになるまで被害を自覚できません。

自分は大丈夫と思っている人ほど、落とし穴に落ちやすいので注意しましょう

2. 権威盲信タイプ:公式らしさに弱い

 銀行や警察、税務署など公的機関や大手企業は、その信頼感や権威性、広い意味でのブランド力の象徴としてロゴなどの視覚的シンボルを持っていますが、そのシンボルを見ただけで安心してしまい、「偽物かも?」という思考をスキップしてしまう人がいます。こうした人は、少々違和感のある詐欺の要求に対しても、きちんと確認せずにそのまま手続きを進めてしまうケースが多いようです。詐欺師は本物そっくりの偽サイトやメールを作り込み、「至急ご確認を」と緊急性を煽って相手を追い詰めます。見た目だけで信用せず、必ず別のルートで真偽を確認する必要があります。

 また、このタイプの人は“他人のお墨付き”にも弱いため、「第三者に頼まれた」のような言い方をされると、簡単に信じてしまう傾向があります。例えば、最初は弁護士を名乗って「息子さんから依頼された。追って警察から連絡がある」と伝え、その後、警察を名乗る電話をかけると、ころっと信じてしまうのです。もちろん、どちらも詐欺師です。

銀行や警察を名乗ったからといって、即信じないようにしましょう

3. 思考停止タイプ:焦ると判断力が鈍る

 メールやDMに「今すぐ対応しないとアカウント停止」「未払い料金があります」など緊急を要する文言が書いてあると焦ってしまうタイプです。イレギュラーなシチュエーションに遭遇するとフリーズしてしまい、動揺して深呼吸を忘れがちです。恐怖や不安を煽ることで論理的思考を遮断し、反射的に指示に従わせるのが典型的な手口です。大切なのは、一度立ち止まり、時間をとって情報源を再確認することです。

 そもそもあまり考えない、という人もいます。忙しい合間に届いたメールやSNS広告のリンクを、深く考えずに開いてしまう衝動性も、詐欺被害を招く大きな要因となります。フィッシングサイトへの誘導やマルウェア感染など、リンク1つで詐欺被害が始まる場合も多いのです。メールやSNSのリンクを安易に開いてしまわずに、公式サイトや検索エンジンからあらためてアクセスする習慣をつけましょう。

ネット詐欺は焦らせてくるものだと理解して落ち着きましょう

4. 信じ込み過ぎタイプ:一度信頼したら疑わない

 ネット上で使い始めたサービスや親切に接してくれた人を一度「大丈夫」と認識すると、そのあとに浮上した違和感を無意識にかき消してしまう人がいます。一般に優しくて親切で、人の悪意に鈍感な人が、このタイプに当てはまる可能性があります。ちょっとした違和感もスルーせず、なりすましている偽物である可能性、本人であっても“偽りの優しさ”である可能性を考えなくてはなりません。

 このタイプの人は、偽の投資サイトや出会い系サイト、有料チャットサービスをはじめ、国際ロマンス詐欺にも引っかかりやすいので注意が必要です。特に、「あなたは特別だ」「才能がある」といったお世辞に弱い人は、警戒心を容易に解かれてしまいます。投資詐欺やロマンス詐欺では初期に“ラブボミング(love bombing)“と呼ばれる過剰なベタ褒めを行い、短期間で依存状態にします。気持ちが落ち込んでいるときなどには、そんな言葉に気持ちが高揚してしまうことがあるかもしれませんが、冷静さを保つことが大切です。

 「申し訳ない」「断ったら嫌われそう」という気持ちから、怪しい提案でもノーと言えずに応じてしまう人も多いようです。特にロマンス詐欺では同情心や罪悪感を巧みに刺激し、断る隙を与えません。自分の身を守るためには、対人関係より安全を優先し、異常を感じたら毅然と拒否することが重要です。

ネットで優しい言葉をかけてくる人がいい人とは限りません

5. お得飛びつきタイプ:うまい話への弱さ

 普段から、お金が欲しい、何か美味しい話がないか……と目を血走らせていると「必ず儲かる」とか「限定○名様」などの甘い言葉に心を奪われやすくなります。ネット詐欺の甘い言葉にも、冷静さを失って判断を誤ってしまうのです。

 人気アイテムが格安で売られているのを見つけた、売り切れたはずのチケットが手に入ると言われた、確実に儲かるといった、あり得ないほど美味しい話は、現実ではあり得ません。ほとんど全てネット詐欺です。被害者に話を聞くと、「ワンチャンあると思ったとか」「話半分でもいい」と言うのですが、可能性は最初からゼロです。

儲け話に飛びつく人はかえってお金を失うので注意しましょう

 ネット詐欺に遭わないためには、自分は騙されないという慢心を捨て、日頃から慎重すぎるように行動するくらいがちょうど良い時代です。今回紹介した5つのタイプの“特徴あるある”に心当たりがあれば、自分の行動パターンを見直すとともに、ネット詐欺に関するニュースなど最新の情報を常にチェックしてください。必要に応じて、家族や友人にも共有することも重要です。

 そして、騙されたかもしれない、ネット詐欺の被害に遭っかもしれないと思ったときは、警察相談専用窓口(#9110)や消費者ホットライン(188)に相談してください。正しいリテラシーを身に付け、ネット詐欺を回避し、安心安全にネットを活用しましょう。

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。

※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと