読めば身に付くネットリテラシー
「日本の詐欺レポート2024」から見る、注意すべきネット詐欺トップ3
手口を知っていれば回避可能!
2024年12月6日 11:50
迷惑電話・ネット詐欺対策アプリ「Whoscall」を提供する台湾のGogolook社は、グローバル詐欺対策連盟(GASA)およびオランダのScamAdviser社と共同で「日本詐欺レポート2024」を発表しました。
同レポートによると、日本人の約7割が、少なくとも月に1回以上、詐欺に遭遇していることが分かったそうです。しかも、毎日接触しているという人も2割を超えたとのことで、もう当たり前に遭遇する状況になっています。2023年と比べ、詐欺との遭遇頻度は8%増加しているそうです。同社は、犯罪者たちが生成AIを利用することで詐欺の件数が増加していると推測しています。
最も多く発生している詐欺は「個人情報の盗用」でした。Amazonや楽天、ネットバンク、クレジットカード、JRなど、ネットサービスや企業を装ってアカウント情報を盗み出そうとするフィッシング詐欺は後を絶ちません。自分がそのサービスのアカウントを持っていなければ引っ掛からないので大丈夫と思うかもしれませんが、詐欺師もユーザー数の多いサービスを騙ってくるので油断できません。
口座が凍結される、支払いの承認が必要、自動退会処理を行う、会員資格を一時凍結する――などと焦らせ、正常な判断をさせないようにして、偽サイトにアカウント情報を入力させようとします。盗み出したIDとパスワード、クレジットカード情報などはダークウェブで秘密裏に売買され、不正利用されます。
盗まれたアカウント情報が銀行や暗号通貨交換業者のものであれば預金を勝手に送金されてしまいますし、SNSであれば乗っ取られてしまいます。オンラインゲームのアカウントであれば、アイテムを売り払われる可能性があります。クレジットカード情報なら、そのままショッピングに使われることでしょう。
2番目に多いのが「投資詐欺」です。被害金額が大きい詐欺で、さまざまなパターンが存在します。最近は「ロマンス詐欺」と組み合わさることも多く、男女問わず被害が広まっています。現在、我々NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)に寄せられる相談の中で最も件数が多く、また、被害が深刻な詐欺です。
3番目が「前払い金詐欺」です。ちょっと聞きなれない手口ですが、先に金銭を受け取り、商品やサービスを提供しない、という手口全般を指しています。例えば、宝くじに当選したとして手数料を要求したり、遺産相続の対象となったので税金を支払うように言ってきたりします。ビジネスの提案をしてくることもありますが、全て何らかの名目でお金を要求してきます。
どこかの国の王子を名乗る人物が、大金を国外に移動させるための助けを求め、手伝ってくれたら大きな報酬を約束する、という「ナイジェリア王子詐欺」もその1つです。
最低でも、これら3つの詐欺――個人情報の盗用(フィッシング詐欺)、投資詐欺、前払い金詐欺の手口を知り、引っ掛からないようにしておきましょう。
詐欺で接触してくる手段として最も多いのは「テキストメッセージ/SMS」、次いで「メール」です。最近は、SNSの広告からの被害も増加しているので注意しましょう。
また、日本の詐欺被害者のうち2割が、最初の接触から騙されて支払いに至るまで数分以内だったことが分かりました。数日以内まで含めると半数近くになります。焦ってすぐに応じてしまわずに、とにかく家族や警察などに相談することが重要です。
詐欺による損失を補償するべき主体についてのアンケート結果もありました。「詐欺師が使用したオンラインプラットフォーム」や「詐欺師が使用したウェブサイトのプロバイダー/ホスト」との回答が、それぞれ4割に上りました。これは当然かと思います。
ただ、「自分が利用した銀行、支払い方法、または仮想通貨取引所」「政府」「警察」と考えている人も多いという結果になりました。
「誰も補償してくれない」と考える人は13%にとどまり、犯罪の被害に遭ったのだから誰かが何とかしてくれるはず、と考えている人が多いことが伺えます。実際、我々のところに相談してきた人と話すと、ネット詐欺に遭い、期待していたところが何もしてくれず困り果てた、と言う人がとても多いです。
ネット詐欺師が悪いことには間違いありませんが、詐欺に遭ってしまうと被害回復は難しい、もしくは不可能ということが多々あります。ネット詐欺に遭わないために、しっかりとしたネットリテラシーを身に付けましょう。
※「フィッシング詐欺」「投資詐欺」などの具体的な手口の事例については、ぜひ下記の関連記事も参考に。
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。
※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと