読めば身に付くネットリテラシー
メールで国勢調査の回答を依頼することは「絶対にありません」。届いたらそれは詐欺、即ゴミ箱へ!
2025年10月3日 06:00
令和7年(2025年)の国勢調査が9月20日から始まりました。国勢調査は5年に一度、日本国内に住む全ての人と世帯を対象として、人口や世帯の実態を把握するために実施される重要な統計調査です。今回が22回目で、調査結果は選挙区の区割りや社会福祉施策、防災計画、行政基礎データとして幅広く利用されます。
国勢調査は、国勢調査員が調査書類を世帯に実地配布します。各世帯は大きな封筒に入った書類に記入し、提出します。ただし、2015年からはインターネットでも回答できるようになり、現在は調査書類に同封されているQRコードを読み込むことで簡単に回答サイトにログインできるようになりました。
さて、このように多くの人が関係するイベントには、詐欺が付き物です。特に「国勢調査」という名目なら、いくらでも個人情報を入力させられると、詐欺師は当然考えるでしょう。
以下が、最近出回っている詐欺メールの例です。
【国勢調査 2025】ご協力のお願い(回答者に記念品をご用意)
平素より、統計行政にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
総務省では、2025 年 10 月に実施される「国勢調査」に向けて、全国すべての方を対象とした調査へのご協力をお願いしております。
本調査は、国内に居住するすべての方を対象とした重要な統計調査であり、人口・世帯に関する基礎的な情報を把握するために実施されます。
調査結果は、医療・福祉・防災・教育など、さまざまな行政施策の基礎資料として幅広く活用されます。
【提出期限】
(※メール受信日が記載されています)
回答すれば記念品がもらえると偽ったり、提出期限を当日にして焦らせたりするなど、詐欺サイトに誘導させようとする罠が仕掛けられています。URLを開いてしまうと、詐欺サイトが表示されますが、本物の回答サイトをコピーしている場合は見分けがつきません。
本物の国勢調査で回答する項目に加え、詐欺サイトでは年収や預貯金額、銀行口座の暗証番号、クレジットカード番号なども聞いてきます。それらの情報を入力してしまうと、ネット詐欺や不正利用などに悪用される可能性があります。
総務省統計局は、注意喚起文書にて「国勢調査では、国勢調査員が実地に調査書類を世帯に配布するため、メールにより調査への回答を依頼することは絶対にありません」と断言しています。国勢調査の回答を依頼してくるメールは詐欺確定だと覚えておきましょう。
ネットだけでなく、電話をかけてきて、収入などを聞いてくることもあるそうです。「国勢調査に協力しないとブラックリストに載る」や「電話が使えなくなる」などと脅して、聞き出そうとします。もちろん、国勢調査では電話で金銭を要求したり、資産状況を聞き出そうとしたりすることはありません。
もし、国勢調査の依頼に関して不審に思うようなことがあれば、居住する市区町村の国勢調査担当や、消費者ホットライン「188(いやや!)」、最寄りの警察署または警察相談専用電話「#9110」などに相談しましょう。
この手の詐欺は、事例を知っているだけで回避できます。しかし、「最近はネットからでも回答できるんだ」という知識で止まっていると、詐欺メールにころっと引っ掛かってしまいます。自衛のためには日々、ネットリテラシーを向上させる必要があります。また、ご両親など、デジタルに詳しくない人には情報を共有してあげてください。
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。
※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと