清水理史の「イニシャルB」
PCから回線までフル10Gbpsの接続はやっぱり速かった! 自宅インターネット環境を「auひかり ホーム10ギガ」に変更
2018年8月13日 06:00
auの個人向けFTTHサービスとして提供されている「auひかり ホーム」に、10Gbpsのメニューが追加されたのが2018年3月。当初、筆者宅はエリア外だったが、いつの間にかエリアに含まれていたため、今回、10Gbpsに変更してみた。その実力はどれほどのものなのだろうか?
1Gbps接続サービスからの移行の敷居は低い
2018年3月のサービス開始直後は、残念ながら筆者宅は対象エリア外で、ずいぶんとガックリしたものだが、それから数カ月、いつの間にか筆者宅が「auひかり ホーム10ギガ」のサービス提供エリアに含まれていた。
「My au(https://www.au.com/my-au/)」にログイン後、既存の「auひかり ホーム」の契約画面から、「高速サービス(10ギガまたは5ギガ)への速度変更」を申し込んだところ、週末を挟んで5日ほどで、ONUとホームゲートウェイが宅配便で到着。あっさりと従来の1Gbpsから10Gbpsのサービスへと移行することができた。
かつてはONUの交換に工事が必要で、光ファイバーを圧着する様子を眺めながら工事が完了するのをしばらく待つ時間が必要だったが、1Gbps接続サービスの普及前後から光ファイバーをコネクターで簡単にケーブル接続できるようになり、もはや工事も自分で済む時代となった。
工事と言っても、ONUとホームゲートウェイをつなぐだけと簡単だ。宅内に引き込まれた光ファイバー用のコネクターに、ONUから伸びる光ファイバーケーブルをカチッとはめ込み、続いてLANケーブルでONUとホームゲートウェイをつなぐだけと、手間はほとんど掛からなかった。
筆者宅の場合、ONUの設置場所がメタルラックの裏だったため、周囲のモノを片付けて、作業スペースを確保するのに1時間ほど時間がかかったが、接続自体は10分もあればできる簡単なもので、「ずいぶん敷居が下がったなぁ」としみじみ感心してしまった。
PCまでをフル10Gbpsでつなぐには
回線としての10Gbps導入の敷居は比較的低いが、実際に10Gbpsで通信を行うには、もう少し環境の整備が必要になる。
ONUとホームゲートウェイの間の接続は、同梱されるCAT6Aのケーブルを使ってつなげば10Gbpsで接続できるが、ホームゲートウェイから先は、同梱品だけではどうにもならない。
ホームゲートウェイの背面には4つのLANポートが搭載されているが、このうち上の3ポート(LAN1~LAN3)は1Gpbs接続となっており、10Gbpsで接続するには、少し離れた場所に配置されている「LAN 4 10G」と記載されたポートを利用する必要がある。
筆者宅はNASへの高速アクセス用に、すでに10GBASE-T環境を導入済みだったので、このポートとスイッチをCAT6Aケーブルでつなぐだけで済んだが、10GBASE-T環境がなければ、これを導入する必要がある。
「とりあえず」ということであれば、安くなってきた10GBASE-T対応のLANカード(ASUS XG-C100CやLR-LINK LREC6860BTなどは1万円前後で購入可能)をデスクトップPCのPCI Expressスロットに装着し、PCとホームゲートウェイをCAT6Aケーブルでつなげばいい。
ホームゲートウェイの10GBASE-Tポートは1つのみなので、1台しか10Gbpsのフルスピードは味わえないが、とりあえず1万円ちょっとの出費で、10GBASE-T環境を堪能できる。
複数台のPCを接続したり、NASなどのストレージもまとめて10Gbps接続にしたいのであれば、別途、10GBASE-T対応のスイッチが必要になる。現状、安く手に入るのはネットギアジャパンの「XS505M-100AJS」(Amazon.co.jpで実売4万6400円)だろう。
5ポートのスイッチだが、1ポートはSFP+なので、ホームゲートウェイ、NAS、PC×2などの構成を10GBASE-Tで接続することができる。このように、回線導入の手軽さと比べると、宅内LAN環境の整備の方が、手間も費用も掛かる印象だ。
なお、ここまでの説明は、デスクトップPCを利用する場合を想定したものだ。では、ノートPCやスマートフォンなどの無線LAN機器はどうするのかと言うと、ホームゲートウェイ「BL1000HW」に搭載されているIEEE 802.11axの無線LANを利用することになる。
BL1000HWのIEEE 802.11axは、2.4Gbpsの最大通信速度となっていて、これを利用することで1Gbps以上の速度でインターネットに接続できることになる。
しかしながら、IEEE 802.11axに対応したノートPCやスマートフォンは現時点では存在しないため、クライアント側の対応次第ではあるものの、IEEE 802.11acの866Mbpsなどでの接続が限界となる。
現状、10Gbpsでの接続を堪能したいのであれば、デスクトップPC(iMac Proなども含む)を選択するしかないだろう。
実質的には2倍速
では、通信速度の実力を検証してみよう。計測環境は、XG-C100Cを装着してJumbo Frameを9000に設定したPCと、ホームゲートウェイを、前述したスイッチのXS505M-100AJSを介して接続している。
Speedtest.netを利用した計測では、従来の1Gbps回線がダウンロード618.32Mbps、アップロード986.12Mbpsだったのに対して、10Gbps回線ではダウンロードが2200.95Mbps、アップロードが5063.96Mbpsとなった。
ダウンロードが2000Mbps前後というのが若干物足りない印象だが、アップロードは5000Mbps越えとなかなか速い。インターネット利用のほとんどのトラフィックがダウンロードであることを考えると、実質的には2倍速ほどと考えておくのが妥当と言えそうだ。
実際、Microsoftのウェブサイトから、Windows 10 Insider PreviewのISOファイル(4.5GB)をダウンロードしてみたところ、NURO光(回線は2GbpsだがPC接続は1Gbps)では100MB/sと1Gbpsの限界を示しているが、auひかり ホーム10ギガでは200MB/s越えを実現できており、ダウンロードの待ち時間もちょうど半分(NUROは約40秒でauひかり ホーム10ギガは約20秒)だった。
ちなみに、フレッツ光ネクストのPPPoE接続環境で同じダウンロードを行うと15Mbps前後で、完了までに5分以上もかかってしまった。この状況を見ると、10Gbps回線のメリットも見えてくる。
ただし、通常のウェブページの閲覧などでは、ページ表示の速度などはほとんど変わらない印象だ。普段の利用は、1Gbps回線とさほど同程度だが、ファイルのダウンロードなどで威力が発揮される印象だ。
IEEE 802.11axが楽しみ
以上、auひかり ホーム10ギガを実際に導入してみたが、PCやスイッチなどの環境を整える労力が必要なものの、回線そのものの実力は高いと言えそうだ。
個人的には、ホームゲートウェイに搭載されているIEEE 802.11axの実力も気になるところだが、クライアントの存在しない現状では、テストのしようがないので、機会を改めて検証したいところだ。どれくらいの速度が出るのか楽しみだ。