清水理史の「イニシャルB」

使ってる? 調べものが効率的にできる「Microsoft Edge」の便利機能7選

 本誌の読者の中には、Microsoft Edgeを長らく避けてきた人も少なくないかもしれない。しかし、最近のEdgeは、機能の進化が目覚ましい。

 先日もサイドバーが追加されたばかりだが、実際に使ってみると、意外に便利な機能が多数搭載されている。とはいえ、ただ機能を羅列しても便利そうに感じられないないので、今回は「ウェブでの調べもの」をする作業の流れに沿って、役立つEdgeの機能を紹介する。拡張機能や外部クラウドサービスなどを駆使しなくても、標準機能だけで作業が速く、楽になる。

作業の各工程で便利な機能が存在

 想定する作業の流れは、以下に示す7つのステップだ。仕事に関する調べものを個人所有のPCで行う想定で、最初にEdge上に仕事用の環境を用意する。検索して有用な情報がありそうなウェブページを見つけたら、テキストや画像を手元に「コレクション」として保存する。海外のウェブページは翻訳しながらコレクションしよう。

 コレクションは一時保存の場で、最終的に資料としてまとめる作業はOneNoteで行う。集まったコレクションをエクスポートし、さらに、OneNote上でウェブページの切り抜きや表を追加して資料としてまとめる、という流れだ。

●目次
  • STEP 1:プロファイルで仕事用環境を用意
  • STEP 2:サイドバーで検索しながらウェブページを開く
  • STEP 3:垂直タブバーでタブを見やすく表示
  • STEP 4:ウェブページをまとめてコレクションに保存
  • STEP 5:外国語の情報も翻訳しながらコレクション
  • STEP 6:コレクションをOneNoteにエクスポート
  • STEP 7:OneNoteに重要な表や画像を追加して仕上げ
今回取り上げるEdgeの主な機能とポイント

STEP 1:プロファイルで仕事用環境を用意

 まずは、仕事用の環境を用意しよう。Chromeでも可能だが、Edgeでもサインインするユーザーごとに「プロファイル」を切り替える機能が搭載されている。自宅のPCを、リモートワークのときだけ仕事用アカウントに切り替えて利用したい場合などに重宝する。

 家族とも共用するPCならWindowsにサインインするアカウントごと切り替える方が好ましいが(データフォルダーも分離できるため)、データを分離する必要がない個人所有のPCであれば、この機能でウェブブラウザーの作業環境のみ個人用と仕事用で切り替える方が簡単だ。

 たとえば、会社のOutlook.comやウェブ版Officeにアクセスしたいのに、シングルサインオンの関係で、個人用Microsoftアカウントで各種サービスが表示されてしまうようなケースでも、プロファイルを分けておけば、プロファイル1は個人用、プロファイル2は仕事用と、簡単に環境を切り替えることができる。

複数のウィンドウを同時に開いて、別々のプロファイルで使い分けられる

STEP 2:サイドバーで検索しながらウェブページを開く

 2022年10月27日にリリースされたEdgeバージョン107で、ウィンドウ右端に「サイドバー」が表示されるようになった。

▼参考
Microsoft Edge リリース スケジュール

 Edgeは、もともと画面の右側をお気に入りやコレクション、サイドバー検索、Edgeバーなどで活用することができたが、いよいよ標準機能として右端にバーが表示されるようになった。標準では[検索][Microsoft Office][Outlook]の3つのアイコンが並んでいるが、[+]をクリックすることで、さらに[ツール]や[ゲーム]を追加できる。

 この機能は、ウィンドウのメイン領域でウェブページを閲覧しながら、サイドバーを切り替えて検索したりメールをチェックしたりという、一種の「ながら」作業用の機能となる。

 サイドバーの検索は(機能的には従来のサイドバー検索と同じだが)、資料集めのときに重宝する。画面右側で検索を実行し、結果のリストから使えそうなページを[Crtl]キーを押しながらクリックしていくことで、どんどんタブで開くことができる。

 検索ページと結果ページの移動がなくなるだけでも、かなりの労力の削減につながるだろう。

 [ツール]では電卓や翻訳機能などを利用できる。調べものでも有用なので、ぜひ追加しておきたい。任意のウェブページも追加できるほか、YouTubeやGmail、各種音声ストリーミングサービスなども追加可能だ(環境により異なる)。詳細は以下の記事が詳しい。

▼参考
気になるWebサイトを横に並べて表示 ~「Microsoft Edge 107」のサイドバーは結構便利(窓の杜)

 WikipediaやYouTubeなどをサイドバー化しておくことで、サイドバーでこれらのコンテンツを検索し、そのままサイドバーで閲覧したり、その結果をタブで開いたりすることが簡単になる。

サイドバーで「ながら」作業が効率的になる

STEP 3:垂直タブバーでタブを見やすく表示

 「垂直タブバー」は、ウィンドウの左側にタブを垂直(縦並び)表示する機能だ。標準では、タブは画面上部に水平(横並び)表示される。これを垂直に表示することで、たくさんのタブを開いたときにも管理しやすくなる。

 資料を集めるときなどは、とりあえず関係ありそうなページを開いておいて、タブを行き来しながら情報を調べることが多いので、この機能を前述したサイドバー検索と組み合わせることで、Edgeがかなり強力なリサーチツールとなる。

多数のウェブページを表示するなら、垂直タブバーが圧倒的に便利だ

STEP 4:ウェブページをまとめてコレクションに保存

 タブに開いたウェブページを見ていき、有用な情報がありそうなページは次々に「コレクション」に追加していく。ウェブページ上を右クリックして表示されたメニューから[ページをコレクションに追加]を選択すると、追加できる。個人的には、Edgeの機能の中でもイチ押しと言っていい非常に便利な機能だ。

 多数のタブを開いて調べものをしていても、そのままウェブブラウザーを閉じると、せっかく調べ出したウェブページが消えてしまう。お気に入りに追加しておくのも手だが、コレクションの方が一覧性が高く、ウェブページだけでなくテキストや画像、動画も保存でき、さらに見出しやメモを加えて整理することもできて、使い勝手がいい。

 多数のウェブページを1つずつ追加していくのは手間だが、垂直タブバーを右クリックして[全てのタブをコレクションに追加する]を選択することで、まとめてコレクションに追加できる(水平表示のタブの場合でも同様)。この機能も便利だ。

全てのタブをまとめてコレクションに追加し、後でさらに精査する、といった使い方もできる

 コレクションは追加後にドラッグして並べ替えもできる。また、メモを見出しのように活用して、グループ分けしたり、それぞれのコレクションの重要な情報をメモで見えるようにしたりもできる。

 さらに、ページの中にある特に重要な情報を抜き出してコレクションに追加することもできる。たとえば、記事の中の特定のテキストであれば、範囲指定後、右クリックして[コレクションに追加]を選ぶことで、そのテキスト部分だけをコレクションに追加できる。

 同様に、ウェブページの動画(YouTubeのリンク)や画像などもコレクションに保存できる。知りたい情報に関して、「ウェブ」という大きな枠組みだけでなく、その中の特に重要な情報を抜き出してコレクションできるわけだ。

見出しやメモ、選択範囲だけコレクションする機能なども活用したい

STEP 5:外国語の情報も翻訳しながらコレクション

 外国語のウェブサイトは、翻訳したうえで資料化したいものだ。ウェブブラウザーの翻訳機能は、もはや特別な機能ではなくなりつつあるが、もちろんEdgeでも標準で利用できる。

 外国語のウェブサイトを表示したとき自動的に表示されるダイアログボックスから、またはウェブページを右クリックして[日本語に翻訳]をクリックすると、ページ全体を翻訳できる。一部を選択しての翻訳も可能だ。

 また、先述したとおり、サイドバーの[ツール]に単語や文を入力して翻訳することもできる。

 便利なのは、翻訳した状態のウェブページ全体、または選択したテキストをコレクションに追加できることだ。筆者は、英語のリリースや中国語のスペックシートを調べることもあるが、必要な情報を手軽に日本語でコレクションしておけるので、非常に助かっている。

翻訳機能が標準で使えるのはもちろん、翻訳した内容をコレクションしておけるのが便利だ

STEP 6:コレクションをOneNoteにエクスポート

 ここまでの作業で、ウェブページからの資料をコレクションに集められた。これを、編集の自由度が高いOneNoteにエクスポートして、資料として整えておきたい。この作業もEdgeのみで可能だ。

 コレクションは、送信機能によってExcel、Word、OneNoteにエクスポートできる。ウェブ版OneNoteを利用していれば、ウィンドウ右側のコレクションからメイン領域のノートにエクスポートした状態になる。ここで、抜き出した情報を並べたり、自分なりの考えを追記したりして、資料として完成させていこう。

コレクションの送信機能でOneNoteにエクスポートする

STEP 7:OneNoteに重要な表や画像を追加して仕上げ

 ウェブページから重要な情報を取り出す機能として、Edgeは、ウェブページの選択部分の(HTMLなどの)構造をそのままコピーする「Web選択」と、選択部分を画像としてコピーする「Webキャプチャ」という、2つのコピー機能も持っている。

 コレクションでは、これらでコピーした情報をそのまま貼り付けることはできないので、OneNoteにエクスポートしたあとで使おう。

 Web選択は、ウェブページで右クリックして[Web選択]を選択するか、ショートカットキー[Ctrl]+[Shift]+[X]により起動する。ウェブページの構造を保ち、テキストやリンクなどの情報をそのままコピーできるため、後でテキストをコピーしたり、リンク先を表示したりできて使い勝手がいい。ウェブページの表などをコピーするときに使いたい。

 Webキャプチャは、同様に右クリックして[Webキャプチャ]を選択するか、ショートカットキー[Ctrl]+[Shift]+[S]により起動する。画像単体であればコレクションに保存できるが、複数の画像やテキストを含む、ページの一部分をそのままの見た目で保存しておきたい場合に役立つ。

 この2つのショートカットキーは、ぜひ覚えておいてほしい機能だ。

Web選択の画面
Webキャプチャの画面。選択後に[キャプチャをマークアップ]で書き込みをしたり、[検索]でBingの画像検索を利用したりもできる

Edgeだけで調べものが完結する

 以上、ウェブでの調べものを例に、プロファイル、サイドバー、垂直タブバー、コレクション、翻訳、エクスポート(送信)、Web選択およびWebキャプチャと、Edgeの便利な7つの機能を紹介した。

 Edgeのウィンドウ内だけで、検索からウェブページの収集、整理、編集と、調べものをして資料を仕上げるまでのプロセスが完結できる。これ以外にも紹介したい機能はたくさんあるのだが、今回の機能だけでも、かなり作業が効率化するはずだ。

 もちろん、似たような作業環境は、別のブラウザーも実現できる。しかし、Edgeは拡張機能などを追加することなく、標準でここまでできるのがありがたい。

 しばらくEdgeを使っていなかった人も、一度、このブラウザーを見直してみてはどうだろうか?

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 11」ほか多数の著書がある。