週刊Slack情報局

「Slack」が使い勝手を改善、UIを大幅アップデート

「進む」「戻る」ボタンや電子メールライクな「作成」ボタンの追加など

新機能を搭載した新しいSlackクライアント。ソフトウェアとしてのバージョンは、バージョン「4」のままになる。新しく追加された「トップナビゲーションバー」にはウェブブラウザーと同じような「戻る」「進む」ボタンが追加されている(出典:Slack Technologies)

 コミュニケーションツール「Slack」を提供する米Slack Technologiesは18日(米国時間)に公式ブログを公開し、Slackの最新アップデートの内容を明らかにした。今回発表されたのは主にUI関連のアップデートで、新たにアプリケーションの一番上に設置される「トップナビゲーションバー」、アカウント名の横に追加される「作成ボタン」(電子メールクライアントの新規メール作成のようなボタン)、さらには新しいUIカラーの追加などの新機能がある。

 新機能は、アプリケーションのアップデートなどにより同日より利用することが可能になる。

ブラウザーのような「進む」「戻る」ボタンを含む「トップナビゲーションバー」や電子メールライクな「作成」ボタンが追加される

 Slack Technologiesが提供するSlackは、電子メールなどに変わる新しいコミュニケーションツールとして注目を集めている。従来の電子メールが1対1のコミュニケーションを基本にしているのに対して、Slackのような新世代のコミュニケーションツールは、1対1はもちろんのこと、チーム全体、会社全体、さらには社外の人も含めて柔軟にやりとりができるようになることがメリットで、生産性向上のために導入する企業が増えている。

 Slack Technologiesは定期的に機能をアップデートしており、最近では春と秋にそれぞれ機能アップデートが提供されるのが恒例になっている。昨年の秋のアップデートでは「App Home」「Modals」「Action」などの機能が追加されたほか(2019年10月23日付記事参照)、昨年の春にはOffice 365やG Suiteのカレンダーや電子メールと接続するアプリが追加されるなどのアップデートが行われている(2019年4月25日付記事参照)。こうしたアップデートの度にSlackのクライアント・アプリケーションの使い勝手は改善されている。

 今回のアップデートでも複数の機能が追加されている。大きな強化点としては「トップナビゲーションバー」「作成ボタンの追加」「より機能が増えたサイドバー」「サイドバーへのセクションの追加」「ショートカットボタンの追加」などが挙げられる。

 トップナビゲーションバーは、Slackアプリケーションの最上段に新しく追加されたバーで、ウェブブラウザーの「戻る」「進む」と同じ機能を持つ矢印ボタン、さらには検索ボックスなどが用意されている。この新しい戻る・進むボタンにより、複数のチャネルを簡単に行ったり来たりすることができる。従来はコマンドラインやキーボードショートカットでこれらの機能を実現できていたが、UI上にボタンとして用意されたことで誰でも見た目で分かりやすい操作が可能になる。

 アカウント情報の右側に新しく用意される「作成ボタン」(英語では「Composed Button」)は、電子メールクライアントなどで用意されている「新しい電子メールの作成」ボタンと同じようなものだと考えると理解しやすい。これにより、望みのチャンネルへの投稿などをこのボタンから行える。これまでの電子メールクライアント(例えばOutlookなど)に慣れ親しんでいるユーザーがSlackを使い始めてもすぐに慣れることが可能になるだろう。

「作成ボタン」(Composed Button)は、電子メールクライアントの「新しい電子メール作成」と同じような機能を持つボタン(出典:Slack Technologies)

サイドバーは階層化により表示を整理、カスタマイズ可能なセクションの追加も

 今回のアップデートでは、サイドバーの拡張も行われている。サイドバー自体はSlackに古くからある機能だが、チャンネル数などが増えてくると、必要なコンテンツが探しにくいなどの課題はあった。そこで、サイドバーの一番上に、さまざまな情報へのショートカットとでも言うべきツールが追加される。

 例えば「People(人)」をクリックし、さらにその中から目的の人を選ぶと、その人が最近書き込んだチャンネルが表示されるといった操作が可能になる。これまでサイドバーにずらずらと表示されていた情報がまとめて階層化して表示されるため、目的の相手やチャンネルをより探しやすくなる。どんなメニューがここに表示されるかはSlackアプリケーションにより自動で決定される。

 特に大企業などでは多くのチャンネルがあり、サイドバーに多くのチャンネルが表示されている状態になっているが、この新しい階層表示の追加により探しやすくなることはメリットと言える。

サイドバーに追加される新しいメニュー(出典:Slack Technologies)

 サイドバーへのセクションの追加では、有料プランのユーザーが、サイドバー内に用意されるカスタマイズ可能なセクションにチャンネル、ダイレクトメッセージ、アプリを独自に整理することができる。これによりサイドバーをより使いやすくカスタマイズすることができるようになる。

 また、それにあわせて新しいUIカラーが追加されるとSlack Technologiesは説明しているが、原稿執筆時点ではどんなカラーが追加されるかはまだ明らかになっていない。

サイドバーにカスタマイズ可能なセクションが追加される(出典:Slack Technologies)

 アプリへのショートカットボタンとしは、ウィンドウやタブを切り替える必要なく、アプリの操作を開始することが可能になる。Slackアプリ自体、ワークフロービルダー、Appsなどに対してショートカットは有効になり、アプリなどの左に表示されるアイコンをクリックすることで即座にアプリに切り替えることができる。これにより、例えば電話会議の予定があり、電話会議用のアプリへのショートカットボタンがあれば、予定表からそれを押すだけで電話会議のアプリを起動したりが可能になる。

アプリへのショートカットボタン(出典:Slack Technologies)

 Slack Technologiesによれば、これらのアップデートは、クライアント・アプリケーションのアップデートなどのかたちでユーザーに提供され、一部機能を除けば、有料プラン・無料プランに関係なく3月18日より随時利用することができる。

【お詫びと訂正 2010年4月1日 14:55】
 記事初出時、「大企業向けの有料プラン(Enterprise Grid)などでは企業の管理者により新機能のロールアウトが管理できる」といった記述がありましたが、これは誤りです。お詫びして訂正いたします。当初、Slack Technologiesよりそのような説明がありましたが、実際には、管理者側で新機能のロールアウトを制御できない仕様であることが取材後に判明したため、該当箇所を記事本文から削除しました。

一般企業でも利用が広がっているビジネスコミュニケーションツール「Slack」。Slack Technologiesの日本法人であるSlack Japanはこのツールのことを“ビジネスコラボレーションハブ”と表現しており、あらゆるコミュニケーションやツールを一元化するものと位置付けている。本連載「週刊Slack情報局」では、その新機能・アップデート内容などを中心にSlackに関する情報をできるだけ毎週お届けしていく。