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Slackが新・便利機能の提供をアナウンス、「App Home」「Modals」「Action」など、開発者向けイベント「Spec 2019」で

カレンダーの詳細確認、予定の変更、電話会議の開始などがSlackアプリだけで可能に

新しい「App Home」画面

 電子メールに代わる新しいコミュニケーションツール「Slack」を提供するSlack Technologies(以下、両方をあわせてSlack)は、同社の年次開発者向けイベント「Spec 2019」を10月22日・23日(米国太平洋時間)に米国カリフォルニア州サンフランシスコ市で開催している。Specは基本的には開発者向けのイベントにはなるが、それにあわせてユーザー向けの新機能を発表する場としても利用されており、今回のSpecでも注目の新機能が複数発表されている。

 今回発表されたのは、Slackがサードパーティに提供しているアプリケーション開発ツール「Block Kit」が強化され、新しい機能が利用できるようになったことだ。具体的には、Slackと連携できるサードパーティのアプリ(App)をSlack内に表示する機能「App Home」、ダイアログでワークフローのSlackへの実装を実現する「Modals」、一種のショートカット機能「Action」などの各機能である。新しいApp Homeでは、Google CalendarやOutlook Calendarのユーザー体験が改善され、それらのカレンダーをSlackアプリから操作することなどが可能になり、利便性が大きく向上する。

Appsの機能が増える「App Home」の拡張版、カレンダーの詳細などを見たり、調整したり可能に

Google Calendarの詳細を表示しているところ

 Slackは同社の年次イベントとしては2つのブランドを持っており、1つが現在サンフランシスコで行なわれている「Spec 2019」で、どちらかと言えばSlack向けのアプリケーションを開発する開発者向けのイベントとなっている。これに対して、今年4月に同じくサンフランシスコで行なわれた「Frontiers 2019」(別記事参照)は、どちらかと言えばマーケティング寄りのイベントで、技術的なセッションも存在するが、Slackを使ってどのようにワークフローを変えていくかといった、よりビジネス寄りの内容のセッションが多くなっている。

 そうした開発者向けのイベントとして行なわれている「Spec 2019」では、Slackの新しい機能に関していくつかの発表が行われた。具体的にはSlackがUIフレームワークの開発ツールとしてサードパーティに提供している「Block Kit」と呼ばれるUIフレームワークが強化され、「App Home」「Modals」「Action」の3つの機能が拡張された。

 App Homeは従来から用意されている、Slack内にサードパーティのAppがメッセージの形で情報を表示する機能の拡張となる。例えば、GoogleのGoogle Calendar、MicrosoftのOutlook Calendarなどが提供されており、それぞれの予定をメッセージの形で表示することができていた。

 今回アナウンスされた新しいApp Homeではそれが拡張され、「Join Zoom meeting(Zoomミーティングへの参加)」「View details(詳細表示)」「Change response(返答の変更)」「Delete event(予定の削除)」などのボタンが用意される。従来は単に予定が見えるだけだったり、コマンドベースでしか予定が変更ができなかったが、App HomeではGoogle Calendarに登録されている予定をSlackのアプリだけで確認したり、変更したり、電話会議に参加したりということが可能になる(従来はリンクをクリックするとウェブブラウザーやGoogle Calendarのアプリなどが開くようになっていた)。

Google Calendarアプリに電話会議への参加ボタンや予定の変更などのボタンが追加されている

 このApp Homeの機能により、SlackアプリをGoogle Calendarのクライアントアプリのように使ったりすることが可能になり、ユーザーの利便性は大きく向上することになる。Slackによれば、App Homeの新機能はオープンベータの提供が本日より開始され、来週に向けて徐々に適用される計画だ。また、Google Calendar、Outlook Calendar機能の対応も提供される予定だと説明された。

「Modals」「Action」機能も拡張され、より利便性が高まる

機能拡張された「Modals」。ダイアログの機能が強化された

 「Modals」は別名「Windows」という言葉がよく表しているように、別の小さなウィンドウで表示される機能。従来のバージョンでは、例えば精算機能では小さなダイアログが開いて数字などを入力することができていた。拡張されたModalsでは、より高機能なダイアログを開くことができ、ワークフローにあわせて複数の階層を作っていくことが可能になり、ウェブブラウザーの画面を呼び出さなくても複雑な精算の申請ができるようにすることが可能になる。拡張されたModalsは本日よりすべてのユーザー、開発者に対して提供される。

階層を深くしたりできる
アンケート機能もより高度に

 「Action」機能は従来から提供されている一種のショートカットで、現行バージョンでもSlackのメッセージをタスクに変換するなどの機能を活用できていた。拡張されたActionでは、Slackメッセージだけでなく、ピンされたチャンネルメッセージや検索結果などさまざまなSlackの利用シーンでAction機能が利用できるようになる。Slackによれば、このActionの拡張機能は来年の早い時期に提供開始される予定だ。

「Action」がSlackのあちこちから利用できるようになった

「ワークフロービルダー」は全有料ユーザーに提供開始

 このほか、エンタープライズ向けの機能として、ユーザーへの説明などが充実した新しいパーミッション設定機能などの提供、Slack社による認定開発者の制度を設けることでエンタープライズがアプリケーションの外注をやりやすくする仕組み、4月のFrontiers 2019で年内提供と発表された「ワークフロービルダー」が全有料ユーザーに対して提供開始されたことなどが明らかにされた。