明日からテレワーク! 最低限チェックしたいNAS&ルーター安心・便利設定
NAS編 第3回
複数あるNASのリモートアクセス機能2
2020年4月6日 11:02
NASをテレワークで活用する前に、NASのリモートアクセス機能をおさらいする回の続きです。
「明日からテレワーク! 最低限チェックしたいNAS安心・便利設定」一覧
NASには、本体に保存されているデータを社外からも参照できるようにする機能が、いくつか搭載されています。機種によって違いはありますが、実際にNASをテレワークに活用する場合は、これら機能のうち、どれを有効にするかを確認する必要があります。前回に引き続き、それぞれのメリット・デメリットを見ていきます。
NASのリモートアクセス機能
3.同期機能の利用
最近のNASには、「OneDrive」や「Dropbox」のような同期ソリューションが搭載されています(QNAPの場合は「Qsync」という名称です)。
この機能を利用すると、NAS上の特定のフォルダーと、PC上の特定のフォルダーのデータが、常に同じ状態になるように同期されることになります。
チームフォルダーなど、複数のユーザーで共有するフォルダーも同期できるため、テレワークでの共同作業にも活用できます。
ただし、残念ながらOneDriveなどのクラウドサービスほど高機能ではない(ドキュメントなどの既存フォルダーを同期できなかったり、ファイルオンデマンドのような機能がない場合がある)上に、クライアント用アプリからNASに接続するために、1.や2.の方式を併用する必要があります。
この方法のメリットは次の通りです。
- データが常に同期される
- モバイルアプリでの利用も簡単
しかし、次のようなデメリットがあります。
- 接続に1.や2.の方法を併用する必要がある
- 一般的なクラウドストレージサービスに比べて機能が劣る
4.VPNサーバー
VPNサーバーも伝統的なNASへのリモートアクセス方法の1つです。ユーザーが利用するPCやスマートフォンなどの端末とNASの間で暗号化された接続を確立することで、インターネットを介したリモートアクセスでも安全にNASのデータを参照できます。
この方法のいいところは、NASの全ての機能を利用できることです。1~3の方法は、ファイル共有のみ、同期のみといったように、サービスごとに利用できる機能がある程度限られていますが、VPNは、つながってしまえばオフィスのLANとほぼ同じ状態で作業できます。
エクスプローラーから共有フォルダーを開いたり、ウェブブラウザーで管理画面にアクセスしたりと、ほぼ全ての機能を利用できます。
ただし、これまでの候補に比べると設定が難しく、端末側の接続設定も必要になるため、敷居が高いのが難点となります。
また、VPNは処理に負荷もかかります。NASの性能によっては、あまり多くのセッションを用意できないこともあります(ほとんどのNASは標準設定で同時5接続)。全社員が一斉に使えるようにするには、高いハードウェア性能が必要です。
この方法のメリットは次の通りです。
- オフィスのLANと同じようにNASを利用できる
- NASのほぼ全ての機能をリモートでも使える
- NAS以外のオフィス内のリソースにもアクセスできる
しかし、次のようなデメリットがあります。
- 設定の難易度が他の方法に比べて高い
- 全社員が利用するためのセッションを確保できない場合がある
このように、NASのデータを社外から利用する方法は大きく4つありますが、それぞれに特徴があります。
基本的には、2.の方法が確実性が高く、短期間での運用開始が可能ですが、「中間サーバーを経由する」という点が社内のセキュリティ基準やガバナンス規定などに抵触しないかを検討する必要があるでしょう。