テレワークグッズ・ミニレビュー
第46回
たくさん歩く人におすすめのPCバッグ「ハロルル」、普通のカジュアルブランドとは一味違う性能を語らせてほしい
2022年9月9日 11:00
よくあるオシャレバッグと思いきや、PCバッグへの注力がすごい
今回は、PCバッグブランドとして「ハロルル(Hellolulu)」を紹介したい。香港発のカジュアルバッグブランドで、女性にも男性にも使えるデザインの製品を発売している。
一般的なカジュアルブランドと少々違うのは、2005年にブランドがデビューしてかなり早いころからPCバッグを出しており、「PCをラクに、安全に持ち歩く」ことに関して、強い意識を持って作り続けられている(と感じられる)点だ。現在のラインアップではリュックタイプの製品がさまざまなサイズでそろっており、「PCを持ってたくさん歩きたい」という人に、老若男女を問わずおすすめできる。
筆者が初めてECサイトでハロルルのPCバッグを見かけたのは、2006年ごろのこと。当時、仕事で使うノートPCの多くは2kg以上あり、PCを持ち歩く必要がある人は、よく腰が痛いとか肩が痛いとか言っていた。PC周辺機器ブランドなどがPCバッグを発売していたが、デザイン的には選択肢が少なく、特に女性には、なかなか気に入ったデザインのものがなくて……といった話を聞いた覚えもある。
そうした時代に、ハロルルは、15インチのノートPCに対応したショルダーバッグタイプのPCバッグを発売していた。それは結局買わなかったのだが、普通のオシャレバッグブランドのような顔をしながらかなり大型のPCが入るバッグまで出しているのは、かなり変わっているなと思い、名前を覚えていた。
テレワークが定着した昨今、INTERNET Watchの編集部員も、それぞれのテレワーク環境を改善すべく工夫を凝らしている。この連載では、そんなスタッフが実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズのレビューをリレー形式で紹介。今回は、自宅から外へ移動してもスムーズに仕事をするために欠かせないPCバッグについて紹介する。
子ども連れで歩き回るため、リュックタイプのPCバッグが欲しかった
出版業界や近い業界でよく見られるパターンだと思うが、制作職はアウトドア用などのゴツいバッグ、営業職はビジネス用のシュッとしたバッグを持つ人が多い。それらとは少し違う路線で使いやすいPCバッグはないかなと、いつも探していた。
できるだけ多く歩くことを心がけているので、普段使いのバッグは軽く、長時間歩いても負担にならないものがいい。また、子どもが小さいころは幼稚園の送り迎えなどで一緒に行動し、肩車をしたり背負ったりすることもあったので、両手をフリーにできるバッグを選ぶようにしていた。
両手がフリーになるうえ、両肩で均等に荷物の重さを負担できるリュックタイプが、自分にはベストだと考えている。というわけで、ハロルルでリュックタイプのPCバッグを出さないかなとチェックしていて、「Tate(テート)」を買ったのが、5年ほど前のことだ。
以来、ずっと満足して使い続けてきたが、さすがに5年もすると、布地が少し色褪せてきた。そこで最近、新モデルの「Kell(ケル)」に買い替えたのだった。
Tateの前にも、一眼レフカメラと交換レンズ1、2本が入るカメラバッグ(最近のラインアップからはカメラバッグがなくなってしまった)をけっこう長く使い、小型のバッグも数種類使っていて、ハロルルの製品は非常に質がいいと感じていた。
小さな子どもを連れながら、引っ張ったり落としたり下敷きにしたりとかなり雑に使っていても、バッグが傷んだり中の物が壊れたりした経験がない。PCもカメラも「必要な人は日常的に持ち運ばなければならない重たい精密機器」だという点で共通するが、そうしたものを持ち歩く人の負担を軽減し、気持ちよく出歩けるようにすることを、とても真剣に考えているブランドなのだと思う。
軽くて丈夫で、使い手にも中身にもやさしい
TateとKellに共通する機能面の特徴として、「軽くて頑丈」「体に負担がかかりにくい」「十分なクッション性」の3点が挙げられる。
両製品の素材はポリエステル(Kellではリサイクルポリエステルも採用)で、非常に軽い。また、なめらかで傷が付きにくく、汚れは落としやすいし、ある程度の撥水性もある。肩ひもを連結する留め具などはプラスチック製で、これも軽量化に貢献しているだろう。製品によっては、ファスナーもプラスチック製のものがある。
つくりも頑丈だ。バッグを2、3年も使い続けているとファスナーや肩ひもなどが痛んでくることもあるが、Tateほかハロルルのバッグでは、パーツの破損や縫い目のほつれなどを経験したことがない。
体への負担のかかりにくさは、肩ひも部分を見ていただくと端的に伝わると思う。カジュアルなバッグでは肩ひもが細くて、短い時間使っただけで肩が痛くなる製品もある。しかし、PCなど重いものを持ち運ぶことを想定して作られたTateやKellの肩ひもは、幅が広く、柔らかくて、体にダメージを与えにくい作りになっている。
バッグのクッション性に関しては、PCを入れる部分の周囲にけっこうな厚みのクッションが入れられ、リュックの底面にもクッションが入っている。耐衝撃などをうたっているわけではないものの、よほど乱暴に扱わない限り、中のPCにダメージを与えることはないだろうと思われる。
カジュアルなバッグは生地が薄が薄いものが多く、PCを入れた状態で無造作に床に置くと「ゴン!」と音がして衝撃を与えたりするので、安全に持ち歩くにはインナーケースを使うことになる。しかし、ハロルルのPCバッグではこうした心配がなく、インナーケースも不要だ。
なお、クッションの厚さのためか、ハロルルのPCバッグには丸みがあってモコッとした印象を与える製品が多い。前述のかつて使っていたカメラバッグも、他社のナイロン製カメラバッグと比べて感覚的には1.5倍ぐらい肉厚な感じで、厚みがあってやわらかいクッションでカメラやレンズを「包み込む」ような使用感だった。
2、3日の旅行や出張にも使えそうな大型リュック「Kell」
さて、新しく買ったKellを見てみよう。16インチまでのPCを収納できる大型の製品で、サイズは29×18×44cmで15Lの容量。2、3日ぐらいの旅行や出張にも十分使えそうだ。キャリーバッグと組み合わせて、飛行機での旅での利用も想定されている。
3気室の構造で、一番大きな気室は背中側から開いて、PCのほかカメラなどの機材や着替えなど、大きなモノを入れられる。必要があれば大きく180°開くこともでき、中身を整理しやすい。
2つ目の気室は反対側にあり、上と(背負った状態で)右の2辺のファスナーの一方を開ける、または両方を開けてカバーをめくることでアクセスできる。いくつかポケットがあり、ノートとペン、本、モバイルバッテリー、飲み物のペットボトルなど、ひんぱんに取り出すものをけっこう多く入れられる。
3つ目の気室は上のファスナーからアクセスできる小さなポケットで、たいていのスマートフォンは入ると思うが、文庫本を入れるには小さい。小物入れとして利用でき、キーチェーン(布製のひもとプラスチック製のフックだが)も付いている。男性の多くは鍵をポケットに入れて出歩くのであまり使わないだろうが、女性には、このキーチェーンが重宝すると思われる。
リュックとして背負う、または縦/横にして手に持つ、の3通りの持ち方ができる。両方の肩ひもを結ぶベルトが付属していて、これを締めると背中に密着して、重い荷物を入れていても疲れにくい。あと、ショルダーバッグとして肩に掛けるためのひもも付属していたが、このひもはごく一般的な、荷物が多いときには肩が痛くなりそうなもので、少々残念だった。
重量は950g(代理店であるbonicoのウェブサイトによる)とのことで、大きさのわりにはかなり軽く感じられる。3つの気室の役割が明確で整理しやすく、使いやすさも文句なしだ。ただ、日々の仕事などに使うには、さすがにちょっと大きいかも……という感はある。
よりコンパクトな「Tate」も現役、13インチPC対応の製品も
PCが入るリュックでは、Kellよりも一回り小さく、筆者がこれまで使ってきたTateも現役で、15インチまでのPCを持ち歩ける。また、さらに一回り小さくて13インチまでのPCを収納できる「Jesse(ジェシー)」と「Mini Carter(ミニ・カーター)」もある。
いずれも大まかな構造は共通のようで、2気室で中央の大きな気室の背中側にノートPCを収納できるポケットがある。小さなもう1つの気室にはキーチェーンが付いている。
これら3製品は左右にポケットが付いているのも便利で、ドリンクホルダーにもなるし、スマートフォンなどを入れておくこともできる(Mini CarterとJesseは使ったことがなくポケットのサイズ感が不明だが、Tateのポケットには600mlのペットボトルも入る)。長く歩くときにはドリンクホルダーがありがたい。
シンプルなパーツ構成と、意外に落ち着いた配色もハロルルの特徴
ハロルルの製品デザインの面では、「シンプルなパーツ構成」と「意外と落ち着いた配色」の2点を特徴として挙げたい。
「充電ケーブルやヘッドホンケーブルを通す穴」のような凝ったギミックはないが、各パーツの役割は明確で、どんな人にも使いこなしやすいだろう。また、パーツ構成はシンプルでも、のっぺりとした印象にはなっていない点、少々の遊び心を感じるデザインも気に入っている。
最近の製品は白や黒といった無難な色が多いようだが、以前は、派手な色の製品も多かった。ウェブサイトで商品を見ていると赤やピンクなどの製品もあるが、筆者がいくつか買った(自分用以外に、妻へのプレゼント用に買ったこともある)派手めの色の製品は、どれも原色そのままではない中間色で、意外と落ち着いた、大人っぽい感じだった。といいつつ、自分用には冒険せずに超無難な色を選んでしまいがちだが……。
このブランドの一番の難点は、国内で製品の実物を見られる場所が非常に少ないことだ。筆者が知る範囲では、LOFTの一部店舗でしか見られない。充実したバッグ売り場を備えた大型店舗には置かれている可能性が高いと思うので、近所にLOFTがある方はチェックしていただければと思う。
筆者はときどき有楽町のLOFTに見に行っていたが、ここ半年ほどは訪れていない。オンラインでは、bonico(アルコインターナショナル)が日本総代理店として取り扱っている。