テレワークグッズ・ミニレビュー

第59回

Ankerの1万円弱のスピーカーフォンを使ったら、ハイブリッド会議の声が聞こえない問題がカンタンに解決

複数人でWeb会議に出席するときに便利なAnkerのスピーカーフォン「PowerConf S3」

 すっかりWeb会議は慣れたものだが、いまだに少しやっかいなのが、一部はリアル参加とオンラインの混ざったのハイブリッドミーティングだ。ミーティング参加者の内、何人かは出社している場合や、チームで取引先とのリモート会議に出る場合などだが、そこで問題となるのが、音がハウリングしてしまうこと。近くで複数のPCのマイクとスピーカーがオンになることで、ハウリングが起きてしまうわけだ。

 そこで1人のPCだけマイクとスピーカーをONにするわけだが、離れた席の人の声が途切れ途切れになったり、スピーカーの音も聞きとりにくかったりする。もちろんWeb会議システムの入った会議室もあるが、わが社の場合、会議室はだいたい予約がいっぱい。仕方がないので、出社しているメンバーも、わざわざ集まらず、各自がそこかしこからWeb会議に参加するというスタイルになっている。

 実は取材でも同じような悩みがある。最近はリアル取材も増えてきたが、そうは言っても一部はオンラインで参加というケースが多い。ただ、これもオンラインで参加する側からすると、声が聞き取りにくかったり、こちらがしゃべっても向こうでよく聞こえていなさそうだったりで、なかなかやりづらいのだ。

 そこで今回試してみたのが、Ankerの持ち運びできるコンパクトなスピーカーフォン「PowerConf S3」だ。実はちょうど筆者がリアル参加して、編集長がオンライン参加という取材があったので、いい機会だと投入してみたのだ。

 ちなみにAmazonでは2月1日まで1000円OFFクーポンも配布中。またアンカー・ダイレクト楽天市場店では1月28日1時59分まで10%OFFで販売している。

USBケーブルでPCに繋ぐだけ、いい感じに音を拾ってくれる

 ということで届いた製品をチェックしてみよう。サイズ感としてはちょうど12cmCDぐらいのサイズ。実際には円形ではないので、CDよりは大きいがCDケースよりは小さい。厚さについては、一般的な音楽CDのケースを3枚重ねた程度。

フットプリントは124×124mm、厚さは28mm、重さは約340g

 ネオプレン素材のトラベルポーチとUSBケーブルが付属する。ポーチは本体にジャストフィットするサイズ感だが、伸びる素材なので、付属のUSBケーブルも一緒にねじ込むことはできる。取材のときに持っていくのも苦にはならないサイズ感だ。

本体のほか、トラベルポーチとUSBケーブル(Type-A&Type-C)が付属
トラベルポーチは本体にジャストサイズ。USBケーブルを入れる用にはできていないが、入れられなくはない

 使い方はいたってカンタンだ。付属のUSBケーブル(Type-A&Type-C)でPCにつなげば、勝手に電源が入り、ヘッドセットと同じようにマイク、そしてスピーカーとしてPCに認識される。多くの場合は、ZoomなどのWeb会議ツールでも自動で認識されるはずだが、もしうまくいかなければ、各ツールの設定から「PowerConf S3」を選びなおせばいい。

 専用のアプリなども不要で、難しい設定はいらない。調整することと言えば、本体のボリュームボタンでスピーカーの音量を変えるぐらい。悪く言えば自由度はないとも言えるが、よく言えばなにも考えなくても、そこそこいい感じに調整してくれるわけだ。

 USB接続のほか、Bluetoothにも対応するのでスマホとの接続も可能だ。初めて電源をオンにしたときは自動でペアリングモードになるし、別の機器にペアリングしたいときは、本体のBluetoothボタンを押せば、ペアリングモードになる。ペアリングの仕方をうっかり忘れがちなので、専用ボタンがあるのはありがたい。

 本体には6700mAhのバッテリーも内蔵しており、Bluetooth接続にして完全ワイヤレス状態での利用も可能だ。さらに本体にあるUSB Type-Aポートは給電も可能になっていて、モバイルバッテリー代わりにもなる。

正面には電源ボタンとBluetoothボタン
背面にはUSBポートが2つ、Type-CがPCとの接続や充電用、Type-Aは給電用でモバイルバッテリー代わりになる。3.5mmのAUXアウト端子があって、外部スピーカーも接続可能
周囲には6つの穴があって、それぞれにマイクが内蔵され360度全方位の音を拾う
天面にはタッチパネル式のスイッチ。音量、ミュートのほか、電話着信時の応答/拒否、音楽の再生/停止といった操作もできる

 電源が入ると起動音がするのだが、実は最初に手に持って電源を入れたとき、この起動音を聞いて、ちょっと音が悪いかも……という印象だった。なんかこもったような低域が強すぎる音に感じたのだ。しかしこれは杞憂だった。

 実際の取材の現場で机の上に置いてみると、これがちょうどいい感じの音になる。手で持った状態だとこもった感じだったのが、硬いテーブルの上に置くと、音がいい感じに広がってくれて、滑舌よく明瞭に聞こえる。

 取材時はテーブルが口の字に配置された、それなりに広い会議室であったので、音量こそ少し大きくしたものの、声は聞き取りやすく、「本当にそこにいるように聞こえる」というのが、他の参加者の意見だった。

 マイクについても問題なさそうで、人によってはPowerConfから3~4m程離れている状況でしゃべっていたのだが、音量を最適化するオートゲインコントロールが効いていたのだろう、オンライン参加者にも、全員の声がよく聞こえていたとのこと。結果的にその日の取材はとても快適に終えることができた。

もっと高いモデルはもっといいのかもしれないが……

 ということで、取材の際には筆者自身もスピーカーの良さを確認できたものの、マイク、つまり相手側でどれぐらいの聞こえ方なのかについては、自身で聞くことができなかった。そこで後日編集部スタッフ数人に会議室に集まってもらって試してみた。

スタッフ2人に会議室に集まってもらい、リアル&リモートのハイブリット会議をやってみた

 部屋は定員6名の小さめの会議室。このサイズだとPowerConfをテーブルの真ん中に置けるので、参加者全員の声が均等に届けられる状況だ。

 この日は筆者がリモート参加の状態にしたかったので、他のスタッフのPCにPowerConfを繋いだ。そんな場合でも、USB接続であればケーブルを挿し替えるだけですぐに使うことができた。操作にむずかしいことはないので、会社の備品としてスタッフで使い回すのも容易だろう。

 ということで外から聞いてみると、なるほど確かに全員の声がよく聞こえる。

 ちなみに会議室では、PowerConfを繋いだPC以外はスピーカーもマイクもミュートにしている。カメラはそれぞれのPCの物を使っているので、会議室の誰がしゃべってもPoweConfを繋いだPCの人がしゃべっている形になる。もしZoomのスピーカービューにしていると、誰がしゃべってもPoweConfを繋いだPCの人がアップになってしまうので、その場合はギャラリービューに変更する必要があるだろう。

Google Meetでの様子。カメラはそれぞれのPCを使い、音声は1人のPCだけONにしてある

 そしてその音質だが、外から聞くと、「すごく音質がいい」というほどではなかった。決して聞き取れないとか聞こえないというレベルのものではないが、全体的にお風呂にいるようなこもった感じに聞こえる。

 また、あえてPowerConfと距離を開けて(1mぐらい)、小声でしゃべってもらうと、声がよく聞こえなくなる。あくまで推測だが、ノイズキャンセリングが働いていて、小声はノイズとしてカットされてしまうのかもしれない。

1mほどの距離でわざと小声でしゃべってみると、声が途切れがちに。おそらくノイズキャンセルが働いたのだろう

 あと面白いのは、本体には6方向にマイクが付いているのだが、どのマイクが音を拾っているか光って教えてくれるのだ。そのため、見た目でも今誰の声を拾っているのかが分かる。ただ、時々あらぬ方向が光るので、やはり部屋の反射音などにも反応してしまうのだろう。リバーブがかかったように聞こえているのはそういった影響もあるのかもしれない。

しゃべっている方向のLEDが光るので、視覚的に誰の声を拾っているのかがわかる

 ちなみに、自宅からWeb会議に参加するときにもPowerConfを使ってみたのだが、これまた快適だった。ヘッドセットもネックスピーカーもつけず、それでいて声もちゃんと届くのは便利過ぎる。ただし問題もあって、会議の声は隣の部屋の家族にも丸聞こえだった。

 ということで、音質に関して言えば、「上位のモデルならたぶんもっと音がいいのだろう」、と思わせる余地はあった。しかし1万円程度でハイブリッド会議がこれほど快適になるのであれば、コスパとしては十分過ぎると思う。

 すでに同様の製品を持っているなら別だが、PCの内蔵マイクで頑張っているなら、試してみる価値は十分にある。特に客先との会議などがある仕事なら、ビジネス成功のためにも導入の価値は大きいだろう。

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