テレワークグッズ・ミニレビュー
第58回
外部ディスプレイが置けない会社なんて辞めてやる!! とフリーランスになった私が手に入れた約2900万ピクセルのディスプレイ環境
2023年1月20日 12:50
昔から、作業机の広さは、効率の良さだと思っている。
筆者は30年間、雑誌の編集者をしてきたのだが、広い机上に資料や校正紙を広げて仕事をしてきた。デスクトップも広ければ、多くの資料やスケジュールをしながら仕事をすることができる。
だから、PowerBook 2400cを使っていた頃から(Windowsで言えば95とか98の頃の話だ)、会社が提供してくれたWindows PCのディスプレイを使ったり、自ら購入したアップルのシネマディスプレイを使ったりしながら、なんとか複数ディスプレイ環境を確保してきた。写真を見てみると、使ってるPCはPowerBook G4、MacBook Pro……と移り変わっていくが、なんらかの外部ディスプレイを使ってることに変わりはない。
筆者の主な使い方は、メインディスプレイで原稿を書いて、サブディスプレイに資料を開くというもの。余裕があれば、メーラーやスケジュールもすぐに見られるようにしておく。
途中から、マウス、キーボードも別体のものを使うようにした。その方がディスプレイの位置とキーボードの位置を別に考えられるから、姿勢の自由度も増すからだ。
出版社勤めの頃は、何日も家に帰れずに、起きてる間はずっとデスクに向かっている……なんていうこともしばしば。一時は腰痛も患ったので、外部ディスプレイを使うことで、安楽な姿勢を作れるというのも重要なポイントだった。
テレワークが定着した昨今、INTERNET Watchの編集部員や外部スタッフも、それぞれのテレワーク環境を改善すべく工夫を凝らしている。この連載では、そんなスタッフが実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズのレビューをリレー形式で紹介。今回は、フリーランスになって理想的な仕事環境を整えたという村上タクタ氏のディスプレイ事情を紹介する。
外部ディスプレイがないから、会社を辞めた
今はフリーランスとなっているが、極論すると、会社を辞めた理由は「外部ディスプレイを使えなくなったから」だ。
ちょっと話を省略しすぎたが、オフィスがフリーアドレスになったのである。資料を置く場所もなければ、自分の外部ディスプレイを置くこともできない。どう考えても編集という仕事をしにくかったし、同時に経営者が我々の仕事を理解しているとも思えなくなった。
そこで思い切って会社を辞めてフリーランスになったわけだ。フリーランスになれば、すべての仕事環境を自分で整えることができる。やりたい放題である(笑)。
まずは、LGの27インチ5Kディスプレイを、自宅のワークスペースに置いた。
これは2016年にアップルがThunderboltケーブル1本でMacBook Proに接続することができる……と言って発売したものだ。MacBook Proの2016年モデルと一緒に買ったことを覚えている。会社に置いていたが、自分で買ったものだ。たしか、発売時の割引価格で9万7300円(税別)だったように思う。
ディスプレイに10万円は高価だと思われるかもしれないが、もうかれこれ7年使っているし、ケーブル1本で映像も電源も接続できるので便利。Thunderbolt接続のメリットを満喫できる。また、ディスプレイ側に3つのThunderboltポートが設けられており、ビデオ会議用のカメラやSSDなどをあらかじめ接続しておくハブとしても使える。
そして、せっかっくなので、自宅に余っていたLGの31.5インチも使うことにした。これは、建築学部に進んだ娘がCAD図面を書くために使っていたもの。5Kと4K、2台あるとかなり広大な画面を利用することができる。理想は正面と左右の3画面ディスプレイだが、残念ながら現時点では3台目を置く場所がない。また、ScanSnapやiPad、充電器など他の周辺機器を置くスペースも必要だから現状は外部ディスプレイは2画面で我慢することにしている。
なお、M1/M2搭載機では外部ディスプレイは1台しか接続することはできない。筆者がM1 Pro搭載のMacBook Pro 14インチを使っているのも複数の外部ディスプレイを接続したいからだ。
約2900万ピクセルの、広大な作業領域
27インチ5Kディスプレイと、31.5インチ4Kディスプレイを使えるのは幸せだが、2台横並びに置くと、使う側の私の姿勢にかなり無理が出てくる。普通にディスプレイを横に配置すると自分自身が横に移動しないとディスプレイ全体を見ることがでない。また、ディスプレイ位置が少し低く姿勢に合わないという問題もある。
そこで導入したのがエルゴトロンのデュアルモニターアームだ。VASAマウント対応のディスプレイであれば、もともと付いている脚を外すことで、ネジ4本でモニターアームに取り付けることができる。
これまた、ぜひオススメしたいアイテム。Amazon Basicなどの製品もあるが、軽い力で動いて、思った場所でピタリと止まるので、本物のエルゴトロンを買うことにした。
まず、デスクとイスの高さを合わせて、腰を痛めない理想の姿勢で座って、その状態で望ましい場所に自由にディスプレイの位置を合わせて配置することができる。人の状態は1日の間に少しずつ変わるものだから、ちょっと高い位置に配置したり、疲れて来たら目に近づけたりとディスプレイ位置を微調整することができる。この手軽に微調整することができるのが、疲れを大きく減らしてくれる。
ちなみに、MacBook Pro本体のディスプレイはあまり使っていないのだが、Touch ID(指紋認証)を使いたいので、ディスプレイを開いた状態で置いてある。また、デスク面に置くと、万が一コーヒーをこぼしたりすると悲劇が起こるので、バード電子のマックテーブルを使ってデスク面からは浮かせてある。バックアップが取ってあるとはいえ、大事なデータが入ってるメインマシンなので、リスクはなるべく低減しておきたいのだ。
ともあれ、これで、本体+5K+4Kで、3024×1964+5120×2880+3940×2160=約2900万ピクセルの広大な作業空間を得ることができる。大昔、640×480ピクセルのディスプレイで苦労していたことを考えると、本当にピクセル富豪になった気分で、実に快適だ。
解像度が上がった頃には、目の解像度が下がっていた
しかし、問題が皆無というわけではない。
自分の作業を客観的に見ると、悲しいことだが、次第に文字を大きく表示している自分がいる。若い時には、表示文字を小さくして、できるだけ多くの情報を摂取したいと思っていたのに、寄る年波には勝てず、こちらの目の処理能力が低下しているのだ。
まあ、この約2900万ピクセルのディスプレイが若い時に手元にあれば、どれほどの情報量を目にすることができただろうか? 若い時には手に入らず、手に入った時にはそれを生かすことができないなんて、なんとも人生を象徴するような話だ。
それはともかく、ディスプレイは広い方が作業効率は向上するので、人材不足が叫ばれる昨今、経営者のみなさんは、ぜひスタッフの方に大きいディスプレイを使わせてあげて欲しい。きっと投資した価格以上に、はるかに大きな作業効率の向上が得られ、社員満足度もきっと向上すると思う。