テレワークグッズ・ミニレビュー
第96回
薄型のPD充電器が欲しい!! 壁コンセントに挿してもジャマにならないUSB PD充電器を探してみた
2024年4月19日 12:06
ちょうど今日からAmazon「スマイルSALE」が始まった(4月19日~22日実施中)。INTERNET WatchではAmazonのセール情報をしばしば扱っているが、セール情報をチェックしていると、どんどん新しいPD充電器が登場していて、物欲まみれの筆者はついつい気になってしまう。
でもって、これ小さいなー、とか、こっちも良さそうだなー、などと製品スペックを比べているのだが、いざ買おうかと思うと、そうはならなかった。
なぜかといえば、確かに小さい、小さくなっているのだが、薄くないのだ。体積としては小さくても、縦にも横にも同じぐらい厚い。ずんぐりむっくりしたデザインは、カバンの中に入れておくのにも収まりがよろしくない。
理由はもう1つあって、充電器のプラグの刃が出る面に対して、反対の面にUSBポートを持つ製品がほとんどなのだ。それだと実際に使うときに、コンセントから充電器がニョキっと生えたようになって、さらにその先端からUSBケーブルのコネクターが生えるような“長い”形になる。
これがデスク上に電源タップがあるような状況なら問題ないが、直接壁コンセントに挿して使おうと思うと、壁から何cmものスペースが必要になって勝手が悪い。オフィスのフリーアドレスの中には、足下の壁コンセントから電源を取るような席もあるが、そうした席だとうっかり蹴っ飛ばしそうになる。
これは自宅で使う場合でも同様だ。今やスマホにモバイルバッテリーと急速充電できるものが増えているし、スマートリモコンのようにUSBで給電するものも多い。そうするとリビングや寝室、脱衣所など、電源タップを置いていないような場所でもPD充電器やUSB充電器は必須。にもかかわらずUSB充電器はどれも壁からニョキッと生えるタイプばかりなのだ。
かつてのガラケーの充電器はよかった。薄くて、しかも壁コンセントに挿したときにプラグに対して直角方向、つまりケーブルが下に向かって伸びる。USB充電器も出たてのころはこのタイプが多くあった気がするが、PD充電器だと、コンセントからUSBケーブルまでが真っ直ぐになるタイプがほとんどなのだ。海外では薄型充電器のニーズはないのだろうか?
やっと見つけた! 薄型のPD充電器3モデル
などと思っていたら、Amazonセール記事の中で見つけてしまった。それがエレコムの「EC-AC07シリーズ」だ。薄型17mmで直角挿しができながら、USB PD対応のType-Cポートを1つとUSB Type-Aポート2つの3ポートを持つ。なので、USB Type-C、Micro USB、Lightningの3種のケーブルを同時につないでおくことも可能だ。3ポートの合計最大出力は42Wとなっている。
さらに探してみると見つかったのが、CIOの「NovaPort SLIM DUO 67W」。こちらはUSB Type-Cポートが2つで、単ポートでは最大67W、2ポート合計で最大65Wの出力が可能。つまりPCのメイン充電器としても使える十分な性能がある。それでいて、厚さはなんと14mm! そして幅は47mm、高さ85mmとエレコムのEC-AC07シリーズよりもコンパクトなのだ。
同シリーズにはもう1つ45Wのモデルもあるのだが、サイズとしてはそこまで変わらず、厚さで1mm、幅で3mm、高さで12.5mm、重さで5gほどの差にとどまる。もちろんできるだけコンパクトなものが欲しい人はそちらを選んでも良いと思う。
ちなみに前回の個性派USBケーブルレビューでも登場したCIOは日本の企業だ。ユーザーの声を積極的に集めて実際に形にしているという面白い会社で、このNovaPort SLIM DUOもユーザーからの声「薄いのが欲しい」という声で作った製品なのだとか。CIOは現在Amazonで最大50%OFFのスマイルSALE中なので、お得に手に入れるチャンスでもある。
最後は、AOHIというブランドの「Magcube 40W」だ。厚さは22.5mmとエレコムの17mmには及ばないが、幅49mm、高さ44mmとフットプリントが小さい。ポートはUSB Type-C×2となるが、Lightningケーブルをつなぐ必要がない人とか、寝室で夫婦2台のスマホを充電したいなんていうシチュエーションにも良さそうだ。
ちなみに充電器はできるだけ信頼できるものを選びたいと思っているが、このAOHIというブランド、調べたところ、充電器の世界シェア15%とかいう結構大きな企業だった。前回のUSBケーブルもそうだったが、製品の仕上がりもかなりレベルが高く、あくまで筆者の感想だが、ちゃんとしていそうではある。
薄さが際立つCIO、使い勝手のエレコム、AOHIは高級感がスゴい!
ということでエレコム、CIO、AOHIの3製品とも買ってみたので、まずはそれぞれの大きさや細部の作りを見比べてみたい。
サイズ感は写真のとおりだ。フットプリントではAOHIの小ささが際立つが、注目すべきはCIOの小ささだろう。なにしろ、67Wという出力がありながら、42Wのエレコムより小さいのだ。
それぞれの寸法を比較すると以下のとおり。いずれもACプラグは折りたたんだ寸法だ。
エレコム | CIO | AOHI | |
厚さ | 17mm | 14mm | 22.5mm |
高さ | 83mm | 85mm | 44mm |
幅 | 59mm | 47mm | 49mm |
重さ | 95g | 95g | 80g |
なお、エレコムとCIOでは高さが2mm違うことになっているが、実際にはCIOの折りたたんだ刃が少し飛び出る分ぐらいで、ほぼ変わらない。
サイズ以外で見ていくと、特徴的な違いはプラグだ。
エレコムは、折りたたみ式のプラグが180度開く形になっている。プラグとポートが直角になる挿し方に加えて、垂直になる形でも使うことができる。例えばデスクの上にコンセントの口がある場合も使いやすいし、差し込み口が縦に並ぶ電源タップでも、隣りの口をふさがずに使える。ちょっとした違いだが、いろいろな状況で使うモバイル利用としては、頼もしい存在と言えるだろう。
プラグの刃を畳んだときに、刃先が内側にくるのも他の2種とは異なる。折りたたみ時にちょっとだけ刃先が飛び出ることもなく、結果的に前出のCIOとの寸法の差にもつながる。
また、プラグにトラッキング防止が付いているのもエレコムだけだ。モバイル用として使うならそれほど問題無いが、自宅でコンセントに挿したままといった使い方だと、ほこりも積もりやすく、トラッキング防止があるのは安心感が高い。
エレコムと比較すると、残りの2種はプラグは少々残念。
特にプラグが華奢に感じたのがCIOだ。プラグを開いたとき、多少はロックされるものの、軽い力で動いてしまう。また、2本の刃の一体感も弱くて、コンセントに挿した状態で本体をねじるとクニャクニャと動いてしまう。似たような傾向はAOHIにもあるが、こちらは本体が小さい分、気になりにくい印象だ。
そして見た目だが、質感で言えば、AOHIがもっとも高級感がある。ポートのフチには銀色のメッキパーツの様なもので装飾され、本体側面も指が引っかかりやすいように凹型になっている。さらに「PD」の文字もエンボスで記されていて、金型からしてお金がかかっていそうだ。
しかもコンセントに挿した状態では、外側のパーツのつなぎ目が見えないようなデザインになっている。充電の状態を知らせるLEDランプが内蔵されるが、その光り方もキレイだ。ほかの2製品の質感が低いわけではないが、AOHIのそれは、素人目に見ても、樹脂成形のレベルも金属加工のレベルも高く、まるで自社の技術レベルを見せつけんばかりの仕上がりだ。惜しむらくはトラッキング防止プラグではないこと。日本以外では需要がないのだろうか?
PCは充電できる? いろいろ充電してみた
ということでいろいろとつないでみた。
まずはエレコム。これはUSB Type-Cポートが1つとUSB Type-Aポートが2つあって、合計最大出力は42Wとあるが、1ポートのみの接続で42W出るのかというとそうではない。イメージとしては最大30Wの1ポートPD充電器と最大12Wの2ポートUSB充電器が一体になっている感じだ。なので、Type-Cポートは常に最大30W。全ポート使おうが単ポートだろうがPDは最大30Wで変わらない。一方のType-Aは合計最大12W(5V/2.4A)で、2ポートつないだ場合は自動で振り分けられる。
PDが最大30Wというと、PCを充電するのにはちょっと心許ないが、20Vでの出力が可能なので、筆者の使っているThinkPadでは充電することができた。PCの充電をメインに考えるならもう少し出力があると安心だが、いざというときには充電できてよかったと思えるはずだ。
とはいえ、やはりPC充電用というよりはスマホなどの充電向けというのが現実的だと思う。その点、3つのポートがあるので、USB Type-C、Micro USB、Lightningの3本のケーブルをつないでおけば、家のいろいろなものをまとめて充電できそうだ。筆者宅の場合、リビングのチェストの上がそういったスペースなのだが、充電器が薄型なので、チェスト裏のコンセントを使っても、チェストを壁に寄せることができた。
次にCIOだが、こちらはUSB Type-Cポートを2口持つ。単ポート利用時の最大出力は67Wだから、PCを充電するのにも全く問題ない。2ポート同時の場合は合計で最大65W。45W+20Wとかになるのかと思ったらそうでもなく、CIO独自の制御技術「NovaIntelligence」が、接続した端末を判断して自動で調整してくれるそうだ。
実際にPCをつないでみたところ、1ポートでは確かに67Wでの接続となった。
そこで、もう1つ、PD65Wでの充電が可能なモバイルバッテリーをつないだところ、PCとの接続が30Wになった。モバイルバッテリー側では28Wでの充電が行われていたので、おそらく接続としてはどちらも30Wの接続が行われたのだと思う。
次にモバイルバッテリーの代わりに、PD充電非対応のLEDライトをつないでみると、PCが45Wでの接続になった。おそらくLEDライト側は5V/2Aの接続になっていると思われる。
これであれば、普段仕事の持ち歩き用として使っても頼りになりそうだ。しかもそれでいて、厚さはわずか14mm。プラグを折りたためば、名刺入れを一回り小さくしたようなサイズ感なので、しまう場所にも困らない。いくら小さくてもずんぐりむっくりした形だとカバンのなかで収まりが悪かったりするが、これなら問題なさそうだ。
ただし、エレコムの180度開くプラグを知ってしまうと、CIOもそれならよかったのに、とは思ってしまう。
最後はAOHI。こちらもUSB Type-Cポートが2つ。1ポート利用時は最大40W、2ポート利用時も合計で最大40W。こちらも出力最適化PI技術によって、接続したデバイスに応じて出力を自動でいい感じに振り分けてくれるという。それとLEDランプが内蔵されていて、急速充電時は黄色、普通充電時は青、充電停止時は緑に点灯する。
1ポートにPCをつないでみると、40Wの充電が確立された。
さらにもう1ポートに65W急速充電可能なモバイルバッテリーをつないでみると、PCが30Wになり、モバイルバッテリーはPD充電ではなく普通のUSB充電になった。おそらくだが、PCの充電には最低でも30Wが必要だったので、このようなことになったのだと思われる。
こちらも40Wということで、PCも充電はできるが、それをメインで考えるより、スマホ2台とか、スマホとタブレットの充電用で、たまにPCも充電する、ぐらいの使い方が合っている気がする。ほかの2製品と比べると厚みは多少ある(と言っても22.5mm)が、幅49mm、高さ44mmとフットプリントではほかの2製品より小さく、存在感も小さい。デザイン的にも安そうに見えないので、例えば職場のデスクの上や、あるいは寝室など、目に見える場所でも見えない場所でもどこでも使い勝手が良さそうだ。
PC充電メインならCIO、家で使うならエレコムの3ポートもうれしい
ということで3製品を試してみたが、PC充電用としては容量の問題もあって、やはりCIOが一番安心できる。先にも書いたが名刺入れより小さいぐらいなので、仕事用のカバンの中に常駐させておくのにもとても勝手が良い。
ただ残念なのはプラグだ。エレコムの180度開くプラグは場所を選ばず使えてとても便利。CIOがエレコムのプラグを手に入れたら最強だろう。
エレコムは3ポートあるので、自宅の壁コンセントにつないで使うと、スペース的にもとても便利だ。チェストの裏のコンセントにあるUSB充電器を置き換えてみたが、これまで2つだった充電器が1つになり、しかも薄くなったので、チェストをより壁に寄せておくことができた。
ただ、180度開くプラグは持ち運び用としても勝手がいいので、PC充電にも安心なPD45Wに対応してくれればもっとうれしいのだが。
AOHIは前回のUSBケーブルもそうだったが、製品の見た目のクオリティが無駄に高くて、所有した満足度はとても高い。性能的にとがった部分はないが、スマホなど2台をそれぞれ20Wで急速充電したいというような使い方にちょうどいい。ただ、これも、あとひと声で45W出力があったら、仕事の持ち運び用としても使いやすかっただろう。
ただ、記事執筆時点で確認したところ、AOHIのMagcube 40Wが在庫切れになってしまっていた。AOHIのほかの製品はまだ売っているので、再入荷されることに期待したい。
ということで、筆者と同様に薄型のPD充電器が欲しいと思っている人は、購入の参考にしていただければ幸いだ。特にCIOは今Amazonでセール中なので、お得に手に入れるチャンスだ。
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