テレワークグッズ・ミニレビュー

第93回

やっぱりAnkerはスゴかった!! 車内でもPCを充電できる、65W以上のPD対応カーチャージャー2種をテスト

ノートPCを充電できるUSB PD対応カーチャージャーと車内で便利なUSBケーブルを探してみた

 テレワークが普及したおかげで、打ち合わせもオンラインが増えた。結果的にどこでもミーティングに出られるようになり、外回りの多い営業職などでは、客先への移動の合間に、駐車場の車内から会議に出ている、なんていう人もいるだろう。となると欲しくなってくるのが、車内でのPCの充電環境だ。

 筆者も元Car Watchのスタッフだったこともあって、昔からクルマでの移動は多く、いつでもPCなどを充電できるように、愛車にはDC/ACインバーターを常備していた。しかし今時のPCはUSB PD充電できる。となると、今さらインバーターを出してACアダプターを出してコンセントを挿して、というのも面倒。iPhoneなどPD充電できる機材はほかにもあるし、車内にPD環境を整えたくなる。

 ということで今回は、アクセサリーソケット(シガーソケット)に挿して使えるPD対応のカーチャージャーを探してみた。

意外と少ない!? ノートPCが充電できるPD対応カーチャージャー

 条件はいくつかあるが、車内で充電したいのはノートPCだけでない。オンライン会議では、通信に必要なモバイルルーター(あるいはテザリング用スマホ)も欠かせないからだ。となると2ポート以上あり、かつ2ポート使っていてもPCに充電できるものがほしい。

 また、車内は夏にはかなり高温になり、冬には氷点下になることもあるので、できるだけ信頼できるブランドのもの。そして車内は狭いので、できるだけコンパクトなものが望ましい。

 そんな条件で探してみると、選択肢は意外にも多くなかった。PD対応の充電器は大小さまざまなものが登場しているが、カーチャージャーはというと、PD対応でも20Wや30W程度までの製品が多く、PCを充電できるような容量のものは数えるほどしかない。そんな中で気になったのが、国内企業でカー用品メーカーとしては名の知れた多摩電子工業の「PD65W カーチャージャーC+A(TKP147UCK)」と、おなじみAnkerの「Anker 535 Car Charger (67W) with USB-C & USB-C ケーブル」だ。

多摩電子工業 PD65W カーチャージャーC+A(TKP147UCK)

とにかくコンパクトな多摩電子工業の「PD65W カーチャージャーC+A(TKP147UCK)」

 多摩電子工業のカーチャージャーC+Aは、とにかくコンパクトなのが魅力。それでいてUSB Type-C×1とType-A×1の計2ポートを持ち、USB Type-Cが最大65W、Type-Aが最大18Wの出力が可能とある。Amazonの製品ページでは2ポート同時に使った場合の出力の表記が見つけられなかったが、商品説明のところに「2ポートでスマホやタブレット・ノートパソコンが2台同時充電可能」とあるので、おそらく45W+18Wとかなのだろう(と、このときは思っていた……。詳しくは後述)。また、口コミを見ていると結構熱くなるというコメントもある。本体が金属のようなので、それだけ放熱できているという事だとは思うが、昔のシガーソケットと違って今どきのアクセサリーソケットは耐熱ではないので、長く使う上では気になる点だ。

Anker 535 Car Charger (67W) with USB-C & USB-C ケーブル

最大67W出力が可能な「Anker 535 Car Charger (67W) with USB-C & USB-C ケーブル」

 Anker 535 Car Chargerは、USB Type-C×2とType-A×1の計3ポートあって、最大67Wの出力が可能。多摩電子工業のカーチャージャーC+Aと比べると大きいが、こちらは3ポートあるし、ActiveShield 2.0という、独自の温度管理と接続端末の保護システムを持っているというところで、つなぎっぱなしで使うような使い方でも安心感がある。

 どちらもそれぞれ良さそうな製品なので、2つとも購入してみることにした。

とにかく小さいカーチャージャーC+A、Ankerも3ポートにしては小型か?

 ということで届いた製品を見てみよう。

 まず多摩電子工業のカーチャージャーC+Aは、やはりとにかく小さい。これ以上小さいとアクセサリーソケット内に埋もれてしまって抜けなくなるようなサイズだ。素材はアルミ合金製で、見た目のわりにはずっしり感がある。

 それと比較するとAnker 535 Car Chargerは大きく感じる。アクセサリーソケットは奥まったところにあったりするので、周囲に干渉しないかが心配だ。なお、製品名から分かるとおりこの製品にはUSB Type-Cケーブルが付属する。ケーブルの長さは1m、ただ100W対応なのか60W対応なのかは表記が見つけられない。

 では実際に装着してみよう。

 筆者のマツダ アテンザは2箇所アクセサリーソケットがあって、1つはセンターパネル下側で、昔なら灰皿があった位置。もう1つがセンターコンソールの収納スペースの中だ。どちらもシガーソケットではないので、耐熱性ではない(と思う)。

センターパネル下のアクセサリーソケット。フタを閉じた状態。奥まったところにあるので、大きいカーチャージャーだと入らなそう
センターコンソール内のアクセサリーソケット、こちらはフタを開けた状態

 多摩電子工業のカーチャージャーC+Aは、当然だがどちらのソケットにも全く問題なく装着できる。5mmほど飛び出しているが、これぐらい飛び出していないと抜くのが大変だ。センターパネル下のアクセサリーソケットは奥まったところにあるので、ちょっと抜くのが大変だった。そしてアテンザの場合、カーチャージャーC+Aを挿したままでもアクセサリーソケットのフタを概ね閉じることができた(ちょっとだけぶつかる感じ)。

 クルマのACCをONにすると、ポートのフチの部分がうっすらと青く光って、夜間でもポートが確認しやすくなっている。それでいてほんのりとした明るさなので、視界に入ってまぶしいということもない。さすがはカー用品を作り慣れているメーカーという印象だ。

センターパネル下に挿した状態。5mm程度しか飛び出していないので、抜くのもちょっと大変
各ポートのフチが光る仕様。夜間でもポートの位置が分かりやすい
センターコンソールもまったく問題なく挿せる
アテンザの場合、装着したままフタが閉じられてしまった。ただしフタの形状はクルマによっても異なるので参考まで

 一方のAnker 535 Car Chargerだが、特にセンターパネル下側は奥まったところにあって、周囲に干渉しないかサイズ的に心配だったのだが、挿してみたら問題なかった。といっても結構ギリギリではあったので、よくぞこのサイズに抑えてくれたという感じだ。

 こちらはACC ONで通電すると、外周のリング部分が青く光る。決してまぶしさを感じるようなものではないが、特に夜間だと存在感はある。全体的にムラのない光り方など、作りのよさは、さすがはAnkerという感じではあるのだが、個人的にはそんなに主張して欲しいものでもないので、カーチャージャーC+Aのようにポートだけがほんのり光る方が好みではある。

センターパネル下に装着した状態
よく見るとフタの付け根にぶつかりそう。これ以上大きかったらダメだったかも
センターコンソール内も装着できた
外周のリング部分が光る仕様。光のムラもなくさすがだが、機能的にはポートのフチが光る方が便利
双方のサイズを比較。並べると多摩電子工業のカーチャージャーC+Aの小ささが際立つ
今まで使っていたQC3.0対応最大40WのカーチャージャーとAnker 535 Car Chargerを比較してみる。67Wで3ポートながらひと回りぐらいしか差はない

カーチャージャーC+Aを検証!!ノートPCとスマホを同時に充電でき……ない!??

 では実際にに出力の様子を確認してみたい。ここからは撮影の都合もあって、クルマから外したカーバッテリーにアクセサリーソケットをつなぎ、そこにカーチャージャーをつなぐ形で検証している。

 最初に多摩電子工業のカーチャージャーC+AにノートPCをつなぐ。すると出力は65Wの表示。問題なくノートPCを充電できているのが分かる。

まずはType-Cの1ポートにノートPCを接続。すると65Wでの接続ができていることが確認できた

 続いて2ポート同時利用の場合をチェックすべく、Type-Aポートにも充電ケーブルを挿すと……、あれ? ノートPCの充電が止まってしまった。なぜだ? もう一度ノートPCだけをつなぐと充電はできているが、再びType-Aに挿すと止まってしまう。初期不良かと思ったが、よくよくパッケージを見たら謎が解けた。なんと2ポート同時使用の場合、合計最大出力5V 4.8Aになるとある。え~、5VじゃPC充電できないじゃん!!

ノートPCを充電したままもう1つのType-Aポートで充電を始めようとしたら、なぜかPCの方の充電が止まってしまった
なんと、2ポート同時だと5Vで合計4.8Aまでだとか。5VではPCの充電は難しい……
PC以外を2ポートつないでみた状態。11Wと約6.5W、どちらも5VなのでPDではなく普通のUSB充電器だ

 ううむ、思い返してみれば、最大65Wの2ポートなら45W+18Wとかだろうと思い込んで、ちゃんと調べなかったのがよくなかった。後で見たら、オフィシャルサイトの製品ページにはちゃんと記載があった。痛恨のミス、お恥ずかしい限りだ。

 まぁでも、考え方を変えてみれば、普段は超小型のUSBカーチャージャーとしてスマホなど2台の充電に使えて、いざというときにはノートPCの充電もできるカーチャージャーだと思えば悪くないのかもしれない。どうしてもノートPCとスマホの両方を充電したいときは、ノートPCのUSBポートにスマホをつなげばいい。

 うむ、そう考えるとなんか結構いい製品な気がしてきた。実際のところ、車内でノートPCを充電する頻度は、そこまで多くはないし、普段はもっぱらスマホなどの充電で5Vでも事足りる。となると、普段はコンパクトで主張のしない影の存在でありながら、スマホなどを2台同時に充電でき、それでいて、いざという時にはノートPCだって充電できる、というのは、結構いい製品コンセプトな気がする! うむ、そういうことにしよう!

さすがはAnker、3ポート使ってもPCへ45W給電できる

 さて、気を取り直して、次はAnker 535 Car Chargerを検証する。

 こちらは1ポートでノートPCに接続すると、67Wでの充電ができた。ちなみにこのとき付属のケーブルを使ってテストしたので、付属ケーブルは100Wまでは対応している模様だ。

まずは1ポートのみでノートPCに接続すると67Wでの接続が確認できた。付属のケーブルも100Wまで対応のようだ

 そのままもう1つのType-Cポートに、65W充電が可能なモバイルバッテリーをつないでみると、ノートPCの充電が45Wに変わった。モバイルバッテリー側は、出力表示付きのUSBケーブルで見るとPD16Wとの表示。Ankerの説明ではType-Cを2ポート利用の場合、最大で45W+20Wとあるので、間違いなさそうだ。

ノートPCに加えてPD充電に対応したモバイルバッテリーをつないでみると、PCが45Wの接続になり、モバイルバッテリーがPD接続で16Wの充電ができていた

 さらにType-Aポートにもつないで3ポート同時使用にすると、ノートPCが45W、Type-Cでモバイルバッテリーを充電しているケーブルの表示からPDの文字が消えて11Wの表示に、さらにType-Aポートの出力が約5.8Wとなった。オフィシャルだと3ポート同時では45W+9W+9Wになるとあるので、11W出ているのは謎だが、いずれにしろどの組み合わせでもノートPC分は45Wが確保され、しっかりと充電できるので、車内でノートPCを充電する頻度が高い人にもオススメできる製品といえそうだ。

3ポートすべてつないでみてもPCへは45Wで接続できている。残りの2ポートはどちらも5Vの出力になっている模様

発熱はどうだ? 1時間PCをつないでみた

 最後に熱の状況を確認するため、ノートPCのみを接続した状態で1時間使ってみた。

 PCは負荷の状況によっても消費電力が変わるので、あくまで一例であることはご了承いただきたいが、1時間ファイルのコピーをやらせっぱなしにしておいてみたものの、熱くなるという口コミのあった多摩電子工業のカーチャージャーC+Aも、そこまですごい熱いということにはならなかった。イメージとしては熱くなったカイロぐらいだろうか。確かに熱くはなるが、不安になるほどではない、という感じだ。

 一方のAnker 535 Car Chargerはさらに温度が低く、触るとほんのり温かいというレベルだった。もちろんもっと負荷の高い作業をさせれば、さらに熱くなる可能性はあるが、筆者が試した限りでは、どちらも熱はそれほど気にしなくてもよさそうという印象だった。

 と言うわけで、アテンザの場合(たぶん最近のマツダ車なら同じか?)、装着したままフタができるカーチャージャーC+Aというのもなかなか魅力ではあったが、PD対応カーチャージャーとしての能力で見れば、Ankerはさすがという感じだ。

 3ポートあって出力も高く、実際に手にした作りのよさも好印象。広く万人にオススメしやすいカーチャージャーだと思う。

 それと今回の記事中に登場している、充電のワット数を表示できるUSBケーブルなど、面白そうなUSBケーブルをいくつか買ってみている。今回一緒に紹介しようと思っていたのだが、すでにだいぶ長くなったので、それらはまた別の機会に紹介したい。

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