テレワークグッズ・ミニレビュー
第93回
やっぱりAnkerはスゴかった!! 車内でもPCを充電できる、65W以上のPD対応カーチャージャー2種をテスト
2024年2月9日 12:12
テレワークが普及したおかげで、打ち合わせもオンラインが増えた。結果的にどこでもミーティングに出られるようになり、外回りの多い営業職などでは、客先への移動の合間に、駐車場の車内から会議に出ている、なんていう人もいるだろう。となると欲しくなってくるのが、車内でのPCの充電環境だ。
筆者も元Car Watchのスタッフだったこともあって、昔からクルマでの移動は多く、いつでもPCなどを充電できるように、愛車にはDC/ACインバーターを常備していた。しかし今時のPCはUSB PD充電できる。となると、今さらインバーターを出してACアダプターを出してコンセントを挿して、というのも面倒。iPhoneなどPD充電できる機材はほかにもあるし、車内にPD環境を整えたくなる。
ということで今回は、アクセサリーソケット(シガーソケット)に挿して使えるPD対応のカーチャージャーを探してみた。
意外と少ない!? ノートPCが充電できるPD対応カーチャージャー
条件はいくつかあるが、車内で充電したいのはノートPCだけでない。オンライン会議では、通信に必要なモバイルルーター(あるいはテザリング用スマホ)も欠かせないからだ。となると2ポート以上あり、かつ2ポート使っていてもPCに充電できるものがほしい。
また、車内は夏にはかなり高温になり、冬には氷点下になることもあるので、できるだけ信頼できるブランドのもの。そして車内は狭いので、できるだけコンパクトなものが望ましい。
そんな条件で探してみると、選択肢は意外にも多くなかった。PD対応の充電器は大小さまざまなものが登場しているが、カーチャージャーはというと、PD対応でも20Wや30W程度までの製品が多く、PCを充電できるような容量のものは数えるほどしかない。そんな中で気になったのが、国内企業でカー用品メーカーとしては名の知れた多摩電子工業の「PD65W カーチャージャーC+A(TKP147UCK)」と、おなじみAnkerの「Anker 535 Car Charger (67W) with USB-C & USB-C ケーブル」だ。
多摩電子工業 PD65W カーチャージャーC+A(TKP147UCK)
多摩電子工業のカーチャージャーC+Aは、とにかくコンパクトなのが魅力。それでいてUSB Type-C×1とType-A×1の計2ポートを持ち、USB Type-Cが最大65W、Type-Aが最大18Wの出力が可能とある。Amazonの製品ページでは2ポート同時に使った場合の出力の表記が見つけられなかったが、商品説明のところに「2ポートでスマホやタブレット・ノートパソコンが2台同時充電可能」とあるので、おそらく45W+18Wとかなのだろう(と、このときは思っていた……。詳しくは後述)。また、口コミを見ていると結構熱くなるというコメントもある。本体が金属のようなので、それだけ放熱できているという事だとは思うが、昔のシガーソケットと違って今どきのアクセサリーソケットは耐熱ではないので、長く使う上では気になる点だ。
とにかく小さいカーチャージャーC+A、Ankerも3ポートにしては小型か?
ということで届いた製品を見てみよう。
まず多摩電子工業のカーチャージャーC+Aは、やはりとにかく小さい。これ以上小さいとアクセサリーソケット内に埋もれてしまって抜けなくなるようなサイズだ。素材はアルミ合金製で、見た目のわりにはずっしり感がある。
それと比較するとAnker 535 Car Chargerは大きく感じる。アクセサリーソケットは奥まったところにあったりするので、周囲に干渉しないかが心配だ。なお、製品名から分かるとおりこの製品にはUSB Type-Cケーブルが付属する。ケーブルの長さは1m、ただ100W対応なのか60W対応なのかは表記が見つけられない。
では実際に装着してみよう。
筆者のマツダ アテンザは2箇所アクセサリーソケットがあって、1つはセンターパネル下側で、昔なら灰皿があった位置。もう1つがセンターコンソールの収納スペースの中だ。どちらもシガーソケットではないので、耐熱性ではない(と思う)。
多摩電子工業のカーチャージャーC+Aは、当然だがどちらのソケットにも全く問題なく装着できる。5mmほど飛び出しているが、これぐらい飛び出していないと抜くのが大変だ。センターパネル下のアクセサリーソケットは奥まったところにあるので、ちょっと抜くのが大変だった。そしてアテンザの場合、カーチャージャーC+Aを挿したままでもアクセサリーソケットのフタを概ね閉じることができた(ちょっとだけぶつかる感じ)。
クルマのACCをONにすると、ポートのフチの部分がうっすらと青く光って、夜間でもポートが確認しやすくなっている。それでいてほんのりとした明るさなので、視界に入ってまぶしいということもない。さすがはカー用品を作り慣れているメーカーという印象だ。
一方のAnker 535 Car Chargerだが、特にセンターパネル下側は奥まったところにあって、周囲に干渉しないかサイズ的に心配だったのだが、挿してみたら問題なかった。といっても結構ギリギリではあったので、よくぞこのサイズに抑えてくれたという感じだ。
こちらはACC ONで通電すると、外周のリング部分が青く光る。決してまぶしさを感じるようなものではないが、特に夜間だと存在感はある。全体的にムラのない光り方など、作りのよさは、さすがはAnkerという感じではあるのだが、個人的にはそんなに主張して欲しいものでもないので、カーチャージャーC+Aのようにポートだけがほんのり光る方が好みではある。
カーチャージャーC+Aを検証!!ノートPCとスマホを同時に充電でき……ない!??
では実際にに出力の様子を確認してみたい。ここからは撮影の都合もあって、クルマから外したカーバッテリーにアクセサリーソケットをつなぎ、そこにカーチャージャーをつなぐ形で検証している。
最初に多摩電子工業のカーチャージャーC+AにノートPCをつなぐ。すると出力は65Wの表示。問題なくノートPCを充電できているのが分かる。
続いて2ポート同時利用の場合をチェックすべく、Type-Aポートにも充電ケーブルを挿すと……、あれ? ノートPCの充電が止まってしまった。なぜだ? もう一度ノートPCだけをつなぐと充電はできているが、再びType-Aに挿すと止まってしまう。初期不良かと思ったが、よくよくパッケージを見たら謎が解けた。なんと2ポート同時使用の場合、合計最大出力5V 4.8Aになるとある。え~、5VじゃPC充電できないじゃん!!
ううむ、思い返してみれば、最大65Wの2ポートなら45W+18Wとかだろうと思い込んで、ちゃんと調べなかったのがよくなかった。後で見たら、オフィシャルサイトの製品ページにはちゃんと記載があった。痛恨のミス、お恥ずかしい限りだ。
まぁでも、考え方を変えてみれば、普段は超小型のUSBカーチャージャーとしてスマホなど2台の充電に使えて、いざというときにはノートPCの充電もできるカーチャージャーだと思えば悪くないのかもしれない。どうしてもノートPCとスマホの両方を充電したいときは、ノートPCのUSBポートにスマホをつなげばいい。
うむ、そう考えるとなんか結構いい製品な気がしてきた。実際のところ、車内でノートPCを充電する頻度は、そこまで多くはないし、普段はもっぱらスマホなどの充電で5Vでも事足りる。となると、普段はコンパクトで主張のしない影の存在でありながら、スマホなどを2台同時に充電でき、それでいて、いざという時にはノートPCだって充電できる、というのは、結構いい製品コンセプトな気がする! うむ、そういうことにしよう!
さすがはAnker、3ポート使ってもPCへ45W給電できる
さて、気を取り直して、次はAnker 535 Car Chargerを検証する。
こちらは1ポートでノートPCに接続すると、67Wでの充電ができた。ちなみにこのとき付属のケーブルを使ってテストしたので、付属ケーブルは100Wまでは対応している模様だ。
そのままもう1つのType-Cポートに、65W充電が可能なモバイルバッテリーをつないでみると、ノートPCの充電が45Wに変わった。モバイルバッテリー側は、出力表示付きのUSBケーブルで見るとPD16Wとの表示。Ankerの説明ではType-Cを2ポート利用の場合、最大で45W+20Wとあるので、間違いなさそうだ。
さらにType-Aポートにもつないで3ポート同時使用にすると、ノートPCが45W、Type-Cでモバイルバッテリーを充電しているケーブルの表示からPDの文字が消えて11Wの表示に、さらにType-Aポートの出力が約5.8Wとなった。オフィシャルだと3ポート同時では45W+9W+9Wになるとあるので、11W出ているのは謎だが、いずれにしろどの組み合わせでもノートPC分は45Wが確保され、しっかりと充電できるので、車内でノートPCを充電する頻度が高い人にもオススメできる製品といえそうだ。
発熱はどうだ? 1時間PCをつないでみた
最後に熱の状況を確認するため、ノートPCのみを接続した状態で1時間使ってみた。
PCは負荷の状況によっても消費電力が変わるので、あくまで一例であることはご了承いただきたいが、1時間ファイルのコピーをやらせっぱなしにしておいてみたものの、熱くなるという口コミのあった多摩電子工業のカーチャージャーC+Aも、そこまですごい熱いということにはならなかった。イメージとしては熱くなったカイロぐらいだろうか。確かに熱くはなるが、不安になるほどではない、という感じだ。
一方のAnker 535 Car Chargerはさらに温度が低く、触るとほんのり温かいというレベルだった。もちろんもっと負荷の高い作業をさせれば、さらに熱くなる可能性はあるが、筆者が試した限りでは、どちらも熱はそれほど気にしなくてもよさそうという印象だった。
と言うわけで、アテンザの場合(たぶん最近のマツダ車なら同じか?)、装着したままフタができるカーチャージャーC+Aというのもなかなか魅力ではあったが、PD対応カーチャージャーとしての能力で見れば、Ankerはさすがという感じだ。
3ポートあって出力も高く、実際に手にした作りのよさも好印象。広く万人にオススメしやすいカーチャージャーだと思う。
それと今回の記事中に登場している、充電のワット数を表示できるUSBケーブルなど、面白そうなUSBケーブルをいくつか買ってみている。今回一緒に紹介しようと思っていたのだが、すでにだいぶ長くなったので、それらはまた別の機会に紹介したい。
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