テレワークグッズ・ミニレビュー

第48回

シガーソケットでノートPCを充電したい!! 車内で仕事するのに高出力のUSB PD充電器を探してみた

USB PD(Power Delivery)対応カーチャージャー、サンワサプライ CAR-CHR77PD

 コロナ禍になってテレワークが当たり前になったが、筆者の場合、テレワーク場所としてクルマの中を活用している。テレワークではWeb会議が多くなったが、仕事柄、発売前の製品の情報を扱うようなこともあって、秘密保持の観点からも周囲には気を使う。イヤホンをしていれば相手の声を聞かれる可能性は下がるが、自分の声を漏らさないことは難しい。そこで、その問題を回避する手軽な密室が「クルマの中」というわけだ。

 クルマの中で仕事をした人なら分かると思うが、長時間仕事をするために必要になってくるのが電源だ。そこで、クルマのシガーソケット(アクセサリーソケット)からノートPCへの充電可能なカーチャージャーを探してみた。

 実はUSB PD充電可能なカーチャージャーはたくさんあるものの、ノートPCが充電できるほどの出力を持ったモデルは意外と少ないのだ。そんな中から見つけだしたのが、今回紹介するUSB PD(Power Delivery)対応カーチャージャー、サンワサプライ「CAR-CHR77PD」だ。

テレワークが定着した昨今、INTERNET Watchの編集部員や外部スタッフも、それぞれのテレワーク環境を改善すべく工夫を凝らしている。この連載では、そんなスタッフが実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズのレビューをリレー形式で紹介。今回は、軽バンの車内を仕事部屋として活用している正田氏が車内で使えるPD充電器をレビューする。

長時間のミーティングに必要なのは電源と回線

 クルマの中で長時間Web会議をする場合に必要になるのは、電源と安定した通信回線。通信については最近はスマートフォンの大容量データプランも手頃になっているため、そうしたものを選べば長時間の会議もテザリングでだいたい対応できる。

 ところが電源に関しては、Web会議を何本もこなしていき、1日何時間もクルマにこもって仕事をするとなると、ノートPCの内蔵バッテリー以外の電源も必要になってくる。

 クルマでノートPCに電源を供給する方法はいくつかあるが、一昔前なら、AC100Vに変換するインバーターを使い、さらにACアダプターを使う方法があった。しかし、DCからAC、ACからDCと何度も変換してロスがあるほか、インバーターの方式によってはちゃんと動かない機器もあって、簡単にはいかない。出力できる容量にもよるが、インバーター自体もそれなりの大きさ、重さがあって、自分のクルマなら置きっぱなしにもできるが、カーシェア等に使うために持ち歩くのはつらい。最近のクルマには、標準でコンセント装備のものもあるが、まだ少数派だ。

 そこで、USB PD対応のカーチャージャーなら、小さく軽く、持ち運びも簡単。しかも、何度も電源を変換するロスも少ない。最近のノートPCでは、USB PD充電に対応する機種が増えていて、このカーチャージャーとUSB PD対応のケーブルがあれば使うことができる。

ノートPCに電源は必要、できればスマートフォンも充電したい

 今回購入した製品では1mのケーブルが付属していたが、自分の使い方に合わせて長さや太さ、色、柔らかさなど、好みに合わせて市販のものを選ぶのでもよいだろう。ケーブル選びについては以前にレビューしているので関連記事を参照いただきたいが、前席にシガーソケットがあるクルマで、後部座席で作業するような使い方では、付属の1mケーブルでは長さが足りなかった。なので、あわせて長めのケーブルを購入しておくのがよいだろう。

12VのクルマでもノートPCが充電できるサンワサプライのCAR-CHR77PD

 今回購入したサンワサプライのCAR-CHR77PDの場合、本体が約38gと軽量ながら、一般的にノートPCで要求される20Vの出力に対応している。一般的な12V車とトラックなどの24V車に対応するが、昇圧回路が入っているため、12V車で利用した場合であっても、20V 2.25Aで45Wの出力が可能となる。標準添付の電源アダプターが45WタイプのノートPCならだいたい使えると思っていいだろう。

Type-Cのポートと通常のUSB Type-Aのポートがあり、ノートPCもその他の機器も充電できる

 中には45Wを超える電力を要求するノートPCもあるが、標準装備の電源アダプターが60Wだとしても、45WのPD充電器をつないだ場合には、45Wなりの速度ではあるが、ちゃんと充電してくれるケースが多いようだ。ただし、絶対大丈夫とは断言できないので、各自で確認してほしい。

Type-Cのケーブルも1本付属する。長さは1mのもので後部座席での利用には少し短い

 ちなみにCAR-CHR77PDの出力は「57W」と記載されているが、ノートPCなどにはUSB PDに最大45W、そして、一般的なUSBポートで5V 2.4Aで12W、合計57Wという意味となる。ノートPCに57Wの電力が供給できるわけではないので注意が必要だ。

57Wと書いてある下には、USB PDが45W、一般的なUSB TypeーAが5V 2.4Aの12Wとなり、57Wは合計の最大出力

CAR-CHR77PD以外のカーチャージャーでは、出力電圧に注意

 CAR-CHR77PDについては昇圧回路が入っていてふつうの12Vのクルマでも20Vの出力が可能だが、ほかのUSB PD対応の自動車用電源アダプターを選ぶ場合に注意してほしいのが、入力電圧と出力電圧の関係だ。

パッケージにも記載があるが、CAR-CHR77PD本体に書いてある出力電圧と最大電流の一覧。ノートPCに使うには必要な出力を確認する。ちなみに筆者のノートPCは20Vの出力がないと充電してくれない

 スペック上では20V 2.25Aで45Wの出力が可能となっていても、20Vの出力は“電源が24Vのクルマにつないだ場合”という注釈のある製品があるのだ。つまり電圧の昇圧回路を内部に持っていないためで、そのような製品は、一般的な12Vのクルマで使った場合に5Vや9Vの出力しか出ないことになり、20Vを要求されるノートPCを充電できない可能性もある。

 中には5Vや9Vといった低い電圧で充電できるノートPCもあるにはあるが、そうは言っても低速充電となってしまう。ノートPCの電源を切っている時であれば問題ないだろうが、使いながらだと充電が間に合わなくなる可能性があるわけだ。

 また、よくあるケースとして、合計出力としては最大50Wとなっていても1ポートでの最大出力は30Wということもあるので、商品説明やレビューはよく確認したい。

 USB PDで45W以上の出力を持つカーチャージャーは、探してみてもCAR-CHR77PD以外にはあまり種類が多くない。海外通販サイトまで視野を広げれば、価格も安く、種類も少しは増えるが、そうした製品の中には前述の24V限定のようなものも混じっているため注意してほしい。

 これはPD充電器全般に言えることだが、ノートPCで使う場合には、仕様をよく確認して、自分が使うノートPCに必要な仕様を満たしていることを十分に確認してほしい。

実際にクルマで使ってみた

 クルマのシガーソケットに接続して使ってみると、仕様どおりに充電ができた。ノートPCの充電がほとんどない状態から使い始めてみたが、文章を打ったりウェブサイトを見たりなど、ノートPCを仕事で使いながらも、充電が進んでいった。

クルマのシガーソケットに挿し、USBテスターでノートPCを充電中の電圧を見ると20V出力が出ている。電流は約1.5Aで約30Wで出力中

 念のため、USBチェッカーで電圧や電流を測ってみたが20Vがきちんと出ていた。また、長時間の利用となると、ノートPCだけでなくテザリングをするならスマホやモバイルルータの充電も必要となるが、もう1つのポートで同時に充電が可能だ。

 中には2つ目のポートを使うとメインのポートの電圧が制限されてしまうといった充電器もあるが、CAR-CHR77PDはそうならず、ノートPCにはPDで20Vで供給し、同時にもうひとつのポートは5Vで安定的に電気を供給していた。

2ポートあり、ノートPCとスマホを同時充電可能。スマホをつないでも、ノートPC側の電圧や電流に変化はなかった

アイドリングでの充電はNG(地域によるけど)

 クルマのシガーソケットからPCの充電が手軽にできることはわかったが、充電のため、停車していながら長時間にわたってエンジンを回しておくことはおすすめしない。騒音や排ガスで周囲の迷惑となるのはもちろん、現在は地域の条例として明確にアイドリングが禁止されているところも多い。

 テレワークの途中に外食するために移動したり、途中、気分転換に景色のよい場所に移動したりなど、そうした走行中の充電がのぞましいだろう。また、クルマのバッテリーの劣化具合やクルマの仕組みにもよるが、少しの時間であれば、エンジンをかけずに「ACCオン」の状態でバッテリーから充電することも考えたい。

 今どきだと、PCのバッテリーが切れたらなにも仕事ができないという人も少なくないだろう。そうしたケースでは、移動中のわずかな時間であっても充電できる状況があるかどうかで安心感がまるで違うハズだ。

 さらに最近は多くの電子機器がUSB充電に対応しているので、2台目の充電が可能なUSB TypeーAポートを備えているのも大きいだろう。仕事以外でも、ドライブ中に家族のスマホを充電するといったことも普通にできるだろうし、あるいは家が停電した、なんていう場合にもきっと役立つはずだ。

 仕事でクルマを使う機会が多い人はもちろん、そうでない人でも、クルマを持っている全員にオススメしたい製品と言えるだろう。