テレワークグッズ・ミニレビュー

第123回

新幹線の中でもマルチディスプレイや大画面で仕事ができる!! ARグラスのXREAL Oneはモバイルワークでも便利だった

XREALが1月に発表した「XREAL One」(実勢価格6万9800円)

 デスクワークでのPC作業を効率化させるために、最も重要なものはディスプレイだと考えている。CPU性能や大容量メモリなども大切だが、広いディスプレイやデュアルディスプレイ環境に慣れると、シングルディスプレイでの作業はどうしても効率が下がってしまう。

 自宅事務所は4KディスプレイとフルHDディスプレイを組み合わせたデュアルディスプレイ環境で仕事をしているため、非常に効率的だ。

 ただ、困るのがノートPCを持ち出して作業するときだ。もちろん仕事柄、モバイルディスプレイも何枚も持っていて、出張先のホテルなどでは活用しているが、空き時間のカフェや、新幹線の中などでは場所を取ってしまい、モバイルディスプレイであってもなかなか利用することができない。

 そこで筆者が最近注目しているのが、ARグラスだ。「Meta Quest」シリーズのようなVRゴーグルではなく、サングラス型のスマートグラスとも言われる製品で、「フラットプリズム」を利用して、目の前にPCやスマートフォンの画面を映し出してくれる。

見た目はややごつめのサングラスといった印象

 今回、ARグラスの最新モデル「XREAL One」をお借りすることができたので、短期間ではあるが、リモートワークで活用してみた。

目の前に画面が表示できる「XREAL One」とは?

 そもそも、XREAL Oneは、目の前の空間に映像を映し出すことができるAR(拡張現実)グラスにカテゴライズされる製品だ。サングラスのように装着して、スマートフォンやPCを接続すると、ディスプレイが認識されて画面が表示できる。

 グラス部分にはソニー製0.68型マイクロOLEDが内蔵されており、左右それぞれに解像度1920×1080ドットの映像が表示できる。視野角は50度で、最大輝度は600ニト。リフレッシュレートは最高120Hzに対応しており、動画なども滑らかに表現できる。

レンズの内側の上部にディスプレイを搭載しており、それを斜めに映し出す仕組み

 これまで、ARグラスは、「300インチの大画面が目の前に!」といった宣伝文句でPRされることが多く、NetflixやAmazonプライムビデオなどの動画を見るためのデバイスという印象が強かった。その割に、投影される映像に距離を感じるため、イマイチ迫力もなかった。

 しかし、最新のXREAL Oneは大きく進化している。最も大きいのが、自社開発の空間コンピューティングチップ「XREAL X1」を搭載したことにより、単体で、頭の回転や傾きなどの動きを認識できる「3DoF」に対応。画面の位置を固定することも、頭の動きに合わせて追従させることもできるのだ。

2024年12月に開催された発表会で展示された空間コンピューティングチップ「XREAL X1」

 従来モデルではこの「3DoF」を利用するために外付けのアダプターが必要だったが、XREAL Oneではそれが不要になり、使いやすくなったのだ。

ノートPCのディスプレイとして使う

 XREAL Oneの使い方は非常に簡単だった。付属のUSB Type-CケーブルをXREAL Oneのテンプル(ツル)の先に接続。反対側をノートPCのDP Alt Modeに対応したUSB Type-C端子に接続するだけでいい。PCがディスプレイを認識して画面が表示される。

付属のUSBケーブルをテンプルに接続。 スマートフォンやPCと接続して使うため、バッテリーなどは内蔵していない

 表示できる画面サイズは最大367インチ。ただしこれは表示距離を10m先に設定した場合での換算値なので、実際には1m先に40インチぐらいのサイズと考えるとイメージしやすいはずだ。

設定メニューから表示サイズなどが設定できる。ただし、大きくしすぎるとフレームからはみ出してしまう

 Windows PCに接続した場合、初期設定では、ディスプレイが「複製」になっており、同じ画面が表示される。1画面で使う場合はそのままでもいいが、「XREAL One」をデュアルディスプレイとして使う場合はディスプレイ設定から「表示画面を拡張する」を選ぶ。すると、「XREAL One」が別のディスプレイとして認識される。

Windowsの「システム>ディスプレイ」から表示画面を設定する

 デュアルディスプレイとして使うなら、「XREAL One」のテンプルにあるボタンを押して、ノートPCのディスプレイと干渉しない位置に画面の表示を固定する。

 これで、実際にはノートPCしかない環境でも、目の前にはもう1枚のディスプレイも表示でき、PC作業が効率的に進められるというわけだ

右テンプルにあるXボタンをタップして操作。2回タップするとメニューが表示できる。
グラス内に表示できる設定メニュー。画面サイズや表示距離(スマートフォン接続時のみ)などが設定できる

 注意したいのは視野角が50度しかないため、ディスプレイ表示をノートPCの横に固定すると画面の端が切れること。このため、目だけではなく、首ごと動かす必要がある。横の画面をチラッと見るような使い方はできないが、しばらく使っていたら慣れることができた。

グラスの中でワイド画面にもできる

 そしてもう1つ面白いのが、ノートPCと接続した場合、32:9のウルトラワイド表示ができることだ。「ウルトラワイドスクリーンモード」に設定すると3840×1080ドットの横長画面で表示できる。

表示メニューから「ワイドスクリーンモード」をオンにする

 このワイドスクリーンなら、フルHDディスプレイを2枚並べたような使い方ができる。ノートPCのディスプレイと組み合わせる使い方とワイドスクリーンモードは業務内容や仕様環境によって使い分けるのがよさそうだ。

電車移動がシアターになる

 もちろん、「XREAL One」は仕事以外にも使える。スマートフォンと接続して大画面で動画を視聴したり、ゲームを楽しんだりすることもできる。ただし、ゲームの場合、大画面を生かせるのは横表示に限られる点に注意。また、画面上にコントローラーが表示されるゲームは少しやりにくかった。

長い電車移動の時間もXREAL Oneがあれば大画面で仕事ができる

 なお、3msの超低遅延に対応しており、Nintendo Switch(別途XREAL Hubが必要)やPlayStation 5などの家庭用ゲーム機のアクションゲームなども楽しめる。

 XREAL Oneはテンプル部にBOSE製のスピーカーを搭載しているため、別途ヘッドホンを使わなくても高音質で音楽や迫力のサウンドが楽しめるのも魅力だ。ノイズキャンセリング機能も搭載しており、周辺の騒音は気にならない。遠距離ノイズキャンセリング機能によって音漏れを低減するSpatial Sound Field 3.0も搭載しているが、密閉式ではないので音漏れは発生する。電車の中など公共機関で使うときは注意が必要だ。

テンプル部にBOSE製のサウンドシステムを内蔵している

 XREAL Oneの調光レンズは3段階に明るさが調整できる。最も明るいクリアモードなら、装着したまま周辺の環境が見える。ノートPCのディスプレイと併用する場合はこの状態で使うことで、投影した画面とノートPCの画面が同時に見られる。

レンズの明るさ設定の画面。クリアモードなら周辺もハッキリ見える

 動画視聴などを行う場合は一番暗くなるシアターモードがベスト。映画館のように暗闇に映像が浮かび上がってるような体験ができる。

 XREAL Oneの本体質量は約82gで、やや大きめのサングラスといった印象。AppleのVision ProやMeta Quest 3と比べると、普段使いをしても違和感はない。メガネユーザーは内側に度付きレンズの取り付けができる。

ディスプレイ部の前に補助レンズが取り付けられる仕組み。近視でも使える

 本体価格は6万9800円と単なるディスプレイと考えると決して安くはない。しかし、場所を選ばず使える近未来のディスプレイ体験が先取りできると考えたら非常に魅力的だ。

 さらに、スマートフォンにBluetoothキーボードを接続して、Googleドキュメントなどのクラウドアプリを表示すれば、ノートPCを持ち歩くことなく大画面で仕事もできる。これからはディスプレイを持ち歩くことがなくなるのかもしれない。そう感じさせるデバイスだった。

INTERNET Watch編集部員やライター陣が、実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズをリレー形式で紹介していく「テレワークグッズ・ミニレビュー」。もし今テレワークに困りごとを抱えているなら、解決するグッズが見つかるかも!? バックナンバーもぜひお楽しみください。