テレワークグッズ・ミニレビュー

第125回

もしもリモートで電源オンしたPCが異常発熱したら? 心配なので自動で通知&強制電源オフする仕組みを作ってみた

PC内部にスマート温湿度計とWi-Fiカメラを設置した

 フリーライターという仕事柄、もともとノートPCを持ち歩くことはよくあったが、最近ではリモートデスクトップ機能を使って、自宅にあるPCをリモートで使うということをよくやっている。以前に執筆した記事「リモートでPCの電源ボタンやリセットボタンを操作したい!! リレーとスマートプラグで仕組みを作ってみた」では、リモートでPCを立ち上げるシステムを紹介したが、今回はさらに進め、リモートで使うPCの安心安全対策を強化してみた。

つけっぱなしの機器は怖いので、温度も様子もモニターする

 安心安全対策といってもセキュリティのことではない。異常発熱やその延長にある発火への対策だ。リモートでPCを使うということは、人のいないところに電源をつけっぱなしの機器があることでもある。

 先のリモートでのPC立ち上げについての記事で紹介した組み合わせでは、リモート操作で電源オンができるとともに、Windowsの操作でシャットダウンもできるため、電源を常時つけっぱなしということにはならない。

 しかし、人のいないところで電源を入れておくことは不安になることもある。たとえばOSが不安定になったとき、異常な処理が続けばPCが高温になるときもある。仮にそうなったとしてもPC内部にはファンが備わっていて状態に応じて高速回転するし、異常な温度になれば保護機能もある。それでも、異常があればすぐに知っておきたい気持ちは変わらない。

 そこで、考えたのはPC内部にセンサーを付けておき、異常があったら通知が来る体制を整えること。センサーとして考えたのは、温度センサーはもちろんのこと、内部を映すカメラも同時に備えてみた。そして、異常時に電源を強制カットできるようスマートプラグを経由してPCの電源を供給するが、スマートプラグも電力監視機能を持ったものとして、消費電力についても監視できるようにした。

今回使ったTP-LinkのIoT機器類。Wi-Fiカメラ Tapo C120(左上)、スマートハブ Tapo H100(右上)、スマートプラグ Tapo P110M(左下)、スマート温湿度計 Tapo T310(右下)

 そこで、用意したのは以下のアイテムで、いずれも連携動作のためのTP-Linkで揃えている。

  • スマートハブ「Tapo H100」
  • スマート温湿度計「Tapo T310」
  • スマートプラグ「Tapo P110M」
  • Wi-Fiカメラ「Tapo C120」

 この組み合わせができるスマートホーム機器が国内で揃っているのは筆者の調べる限り、TP-LinkとSwitchBotの2社。カメラの検知からスマートプラグの動作へと連携させたいので、カメラとプラグを同一のアプリ内で連携できるようにするしかない。

 TP-Linkを選んだ理由は、ラインアップが豊富で、必要なものを揃えようとするとTP-Linkのほうが低コストなのとカメラバリエーションが多いということもある。

 最近は統一規格のMatterで会社を超えて連携が取れるものもあり、今回の組み合わせでもスマートプラグがMatter対応になっている。しかし、いろいろな面で分かりやすく、確実に構築するのなら同じアプリで連携設定できるほうをオススメしておきたい。

カメラとスマート温湿度計をPC内部に設置

 カメラとスマート温湿度計の設置は、PC内部のすき間に置くだけだ。デスクトップPCでミニタワーボディならばスペースは十分。スマート温湿度計 Tapo T310は内部に固定しておき、使ったカメラのTapo C120は台座がマグネットになっているので、スチール製のPCケースならば磁力で固定できる。

 そして、ケースのすき間から電源ケーブルなどを外に出せば完成だ。

スマート温湿度計でPC内部の温度を計測、Wi-Fiカメラで内部の様子を監視する。後方にはリモートで電源をオンするためのリレー基板が写っている

 PCは省電力型として組み、グラフィックもまだ内蔵グラフィックだけで使っているため、実際に使っているうえで高温になることもない。側面にも通気の穴があいているので結局のところ室温を少し上回る程度だ。

 カメラの映像は、内部のマザーボードのCPUまわりを映している。ファンが回転していることが確認できるほか、あってはならないが、内部で発火や発煙があっても分かりそうだ。そして、レアなケースになりそうだが、PCのケースを開けて内部のストレージが盗み出されるような事態になったり、いたずらを仕掛ける人が近づいたりした場合でも、カメラの映像に動きがあればアプリに通知するように設定できる。

温度の推移、PC自体が省電力構成のため、どちらかという室温に左右されるが、つけっぱなしでも正常な温度が上がらない
内部の様子はいつでもカメラで確認でき、内部の動作音も拾うことができる

連携設定はアプリから行う。TP-Linkでは「オートメーション」

 今回設置した機器間では、何かの動きをトリガーとして検知、そのうえでほかのデバイスを動作させることができる。トリガーになるのは温度計のほか、カメラ映像もトリガーにすることができる。

今回の4アイテムをアプリに登録
連携動作を「オートメーション」として登録、まず45℃でハブからアラーム音、カメラの異常でアプリに通知、60℃以上で電源の強制カットとアプリ通知、という設定をした

 トリガーを受けての動作も、電源を強制カットするほか、スマートハブ Tapo H100にはスピーカーがあるため、警告音をそこから発することもできる。今回は使っていないがリモコンの赤外線を創出できるハブもあるので、赤外線で操作できる機器を連動させることも可能だ。

こちらがオートメーションの設定

 そのうえで60℃まで上がった場合はPCの電源を強制カットするようにし、あわせてTP-LinkのTapoアプリを入れたスマートフォンに通知がいくようにした。

 実際、そこそこの通気性のあるPCケースを使ってエントリースペックのPCを組めば、内部温度が60℃まで上がることはまずない。閾値の60℃が適切かどうかは今後検証し、確実にトラブルが起きているときに、どこまで温度が上がったら電源強制カットすべきなのかは判断したい。

 さらに、カメラに動きがあった場合にも通知がいくようにした。カメラの映像を見るとCPUクーラーが回っている様子が分かるが、幸いにしてクーラーが回ってるところは映像に変化がありと判断していない。カメラの検知については十分な検証ができてないため、カメラをトリガーに強制電源オフという設定はしていない。

手前のスマートプラグが前回の電源スイッチをオンするためのもの。後方のスマートプラグは今回のPCを強制電源オフするためのもの

 実はスマートプラグの消費電力からアラート出すことも検討していたのだが、残念ながらTapo P110Mにはその機能はなかった。消費電力をあくまで視覚的に確認するだけ。そこをトリガーとした動作はできないようだ。

スマートハブの画面。今回のアイテムではスマート温湿度計はハブなしでは動作しない
スマートプラグの画面。消費電力などが確認できる。PC動作中は誤ってオフにしないように注意しなければならない

これでつけっぱなしのPCも安心か?

 リモートで電源のオン・オフだけでなく、異常まで検知することが可能になった我がリモートPC。これで、外出時に外部から操作するためにPCを使っていても安心度が増した。

スマートハブはWi-Fiを使わない機器とWi-Fiの橋渡し役。さらにハブから警告音を鳴らすこともできる

 今回の応用として、ほかのスマートホーム機器を組み合わせると、もっといろいろなことができそうだ。TP-Linkのラインアップで言えば、人感センサーを組み合わせることでPCに人やペットが近づいたことを通知できるし、開閉センサーでPC部屋への入室を検知することもできる。水濡れセンサーは水冷PCと組み合わせれば冷却水漏れの検知もできそうだ。

 なお、IoT機器によるリモート操作は、リモート操作したことで危険がないようには十分注意してほしい。今回のような組み合わせでは操作にともなって問題は発生しないと思うが、例えば電源オンで発熱が大きい機器をリモート操作することは安全上からも推奨されていない。制御によって問題がない組み合わせは心がけておきたい。

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