急遽テレワーク導入!の顛末記

「iPhoneをUSBメモリー代わりに使いたい!! アプリ『Documents』を試してみた」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(130)

iPhoneーPC間でファイルをコピーするための3つの方法

iPhoneやPCのディレクトリを表示して、ファイルのコピーができる

 先日は外出先でのファイルの受け渡しに「近距離共有」機能やUSBメモリーを利用したが、PCが機能に対応していなかったり、USBメモリーを持っていない時もあるだろう。そんな時にはiPhoneを利用するという手もありそうだ。

……この記事を書いている時点で、東京都でまん延防止等重点措置が解除されてから326日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回は「Documents」というアプリを使って、3つの手段でiPhone-PC間でファイルをやり取りしてみた。

【今回のハイライト】
ケーブル+iTunesで
LANネットワーク経由で
共有フォルダ経由でコピー!

2月6日(月):ファイルをiTunes経由でiPhoneにコピー

 今日は自宅でテレワーク。午後から外出の予定があるので、作業中のファイルをUSBメモリーにコピーしようとしたところで、ふと思いついた。仕事用のファイルはiPhoneに入れた方が、Face ID認証がある分だけセキュリティ強度がアップするし、いちいちUSBメモリーを持ち歩く手間も減らせるのではないだろうか?

 iPhoneをUSBメモリー代わりに利用するための方法はいろいろあるが、中でもよく使っているのがiTunesの「ファイル共有」機能だ。iPhoneアプリの中にはPC間でファイルを相互にコピーできるものがあり、iTunes上でドラッグ&ドロップするだけと簡単に操作できる。

 今回は日ごろから利用している「Documents」というアプリを使うことにした。iTunesを起動したPCに、iPhoneをLightning - USBケーブルで接続。あとは、iTunesのツールバーにあるアイコンからiPhoneを開き、「ファイル共有」から「Documents」を選択。「Documentsの書類」欄にファイルをドラッグ&ドロップすればコピーは完了だ。iPhoneからPCにファイルを書き戻すときも、同じようにドラッグ&ドロップ操作をするだけでよい。

「Documentsの書類」欄にドラッグ&ドロップすると、ファイルをiPhoneにコピーできる

 Lightning端子の転送速度はUSB2.0相当と言われているので、USB2.0対応のUSBメモリーと同じ感覚で利用することができるだろう。ただ、iTunesの設定によっては、PCにiPhoneを接続するといきなりバックアップが始まってしまうので、そこに時間を取られることもありそうだ。

2月7日(火):iPhoneに残ったファイルの削除も忘れずに

 昨日は1GBのファイルをiPhoneとPCの間でやり取りしたわけだが、この操作は基本的にコピーになるため、ファイルをPCに移した後もiPhoneにファイルがまだ残っている。無駄に容量を使うのももったいないので、削除しておいた方が良いだろう。

 iTunesのファイル共有機能を経由して「Documentsの書類」にコピーしたファイルは、「Documents」アプリの「マイファイル」画面にある、「iTunesのファイル」フォルダに保存される。このファイルは「Documents」アプリのドキュメントビューアー機能や、他のアプリを利用して開くことが可能だ。

 なお、この画面からはファイルの削除もできるが、削除したファイルは「最近削除した項目」というフォルダに30日間保存される。これはWindowsでいうところの「ごみ箱」のようなもので、すぐにでもiPhoneのストレージ容量を空けたい場合には、ここから完全に削除しておくとよいだろう。

「マイファイル」にある「iTunesのファイル」フォルダにコピーしたファイルが保存される。「最近削除した項目」フォルダもここにある
画面右上の「…」をタップして、メニューから「選択」を選択。削除するファイルを指定して、画面下の「削除」ボタンをタップする

2月8日(水):独自機能「Wi-Fi Transfer」を試してみた

 先日はiTunesとケーブルを利用したが、「Documents」アプリではPCからファイルをコピーするにあたって、アプリ独自の方法が用意されている。それが、「Wi-Fi Transfer」だ。

 「Wi-Fi Transfer」とは、その名前の通りにWi-Fiネットワークを利用して、iPhone-PC間でファイルを送受信するための機能。iPhoneとPCが同じネットワーク上にある必要があるが、ケーブルを必要としないので便利なシーンもありそうだ。

「マイファイル」画面で右下にある「+」ボタンをタップ。表示されたメニューで、「取り込み元」にある「コンピュータ」をタップする
PCと接続するための4桁のコードが表示される
PCのブラウザで「https://docstransfer.com/」にアクセスし、先ほど表示された4桁のコードを入力する
iPhoneのディレクトリが表示された。右上の「ファイルをアップロード」からiPhoneにファイルをコピーできるほか、選択したファイルをPCにダウンロードできる

 なお、「Wi-Fi Transfer」のブラウザ画面では、iPhoneに保存された写真などの各ファイルをサムネイルで確認。選択したファイルだけをPCにコピーすることもできる。これならPCのモニターやマウスなどが使えるので、iPhone上でコピーするファイルを選ぶより、スムーズに操作ができるだろう。

iPhoneに保存された写真などをサムネイル表示。必要なファイルだけ選択してPCにコピーできる

2月9日(木):PCの共有フォルダを利用する第3のコピー方法

 以前、iPhoneから簡易NASへの接続に「Documents」アプリを使ったことがあったが、実はこれと同じ方法でiPhoneからWindowsの共有フォルダにアクセスできる。PCの電源さえ入れれば、あとはiPhoneから勝手にフォルダ内のファイルを閲覧・コピーすることが可能! ……ここまで色々なやり方でiPhoneをUSBメモリー代わりに使ってきたが、この方法が1番スマートかもしれない。

「マイファイル」画面の右下にある「+」ボタンをタップ。表示されたメニューから、「接続先の追加」→「Windows SMB」と操作する
URL欄にPCのIPアドレスを「smb://」に続けて入力。ログイン欄とパスワード欄には、それぞれWindowsのログインアカウント情報を入力する
「マイファイル」画面に先ほどつけた「題名」のアイコンが追加されるので、これをタップ
PCの共有フォルダが表示された。ファイルを選択してダウンロードしたり、「+」ボタンからファイルをアップロードしたりできる

 ただ、この方法を利用するには、PCとiPhoneが同じLANのネットワーク上にある必要がある。さらに、iPhoneから接続するPCをIPアドレスで指定するため、PCのIPアドレスを固定しておく必要もあるだろう。

 なお、IPアドレスの固定方法については、Wake On LAN(WoL)の回で紹介しているので、ぜひ参考にしてもらいたい。

 アプリ「Documents」の機能を見直したことで、3種類の方法でiPhoneをUSBメモリー代わりに使えるようになった。LAN環境のない場面ではケーブルを使う、固定IPが設定されていない場面では「Wi-Fi Transfer」を利用するなど、状況に合わせてこれらの機能を利用していきたい。

とある中小企業に勤める会社員、飛田氏による体当たりレポート「急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記」。バックナンバーもぜひお楽しみください。

飛田九十九