vProの匠

【匠の部屋】[NEC編]メーカー別、 AMTの設定/MEBxの入り方。vPro EssentialsとEnterpriseの違いとは?

NEC VersaProシリーズでEnterprise搭載の「PC-VKH48DZGC」とEssentials搭載の「PC-VKT44XZFC」で検証

vProの匠こと、牧真一郎氏。同氏の「匠」っぷりは、連載のこれまでの回を参考にしてほしい

 テレワークの普及とともに、企業での利用が増えている「インテル vPro プラットフォーム」。インテル vPro プラットフォームを搭載したクライアントPCは、システム管理者がGUIやコマンドを使って遠隔管理することができる。

 ただ、クライアントPCを遠隔管理するには、以前にも紹介したようにAMTのプロビジョニング(初期設定)が必要になる。その操作方法はメーカーごとに異なるので、詳しい手順をそれぞれ紹介していきたい。

NEC VersaProの2機種を使って検証をおこなった

 今回は第12世代インテル Core プロセッサー(いわゆるAlder Lake世代)を搭載したNECの法人向けPC VersaProシリーズから、2モデルをピックアップ。

 1製品がフル仕様のvProであるvPro Enterpriseを搭載したもので、もう1製品は今年発表されたスモールビジネス向けの下位仕様であるvPro Essentialsを搭載したものだ。

 vProのすべてを知り尽くした“匠”こと牧真一郎氏 に、両者の違いを含め、操作方法を教えていただいた。

 なお、これまで数多くのvPro搭載PCをプロビジョニングしてきた匠によると、「同じメーカーでも機種や世代によって操作手順やできることが変わってくる」とのこと。今回の手順は一例であり、お手持ちの機種によってはできることが異なる可能性があることをご了承いただきたい。今回の検証機は、vPro Enterprise搭載機が「PC-VKH48DZGC」(以下、VKH48/D-C)、vPro Essentials搭載機が「PC-VKT44XZFC」(以下、VKT44/X-C)だ。

 なお、本連載では「匠に聞いてみたい」質問を随時募集中。vProに関する疑問・質問などがあれば、記事末尾のフォームからぜひ投稿してほしい。また、既に投稿いただいた質問は、順次回答していくので、お待ちいただければ幸いだ。

【追記】今期のvPro導入困りごとアンケートの受け付けは終了しました。

フル機能の「Enterprise」と下位の「Essentials」、両者の違いは?

  さて、今回検証する2製品だが、一目で分かる違いはCPUだ。vPro Enterprise搭載の「VKH48/D-C」はインテル Core i7-1270P プロセッサー、vPro Essentials搭載の「VKT44/X-C」がインテル Core i5-1235U プロセッサーとなっている。

 “vProの匠”こと牧真一郎氏によると、インテル vPro Essentialsは、第12世代CoreのPCから利用可能になった下位プラットフォームで、一部機能のみのサポートとなった代わりに、必要なハードウェア要件が緩和。従来ではvPro非対応とされたCoreプロセッサーでも一部搭載可能になったものという(ただしCore i5以上は必要)。そして、従来のインテル vPro プラットフォームは、Essentialsと区別のため、「インテル vPro Enterprise プラットフォーム」と呼ばれるようになっている。

 なお、vProは、プロセッサー、チップセット、ネットワークデバイス、ファームウェアの全てが連携するプラットフォームであるため、プロセッサーが緩和されても、それ以外のデバイスが「vPro対応」である必要があり、また、「プロセッサーが“Enterprise対応プロセッサー”でない場合は、一部セキュリティ関連の機能などが使えません」(牧氏)とのこと。

第12世代のインテル Core i5 プロセッサーのうち、インテル vPro プラットフォームに対応しているUシリーズの比較表。vPro Enterprise対応でないCPUの場合、メモリの暗号化などがサポートされていない

vPro EssentialsはAMTではなく「ISM」を搭載

 管理機能での大きな違いは、インテル vPro Enterprise プラットフォームが搭載するインテル AMT(アクティブ・マネジメント・テクノロジー)をインテル vPro Essentials プラットフォームは搭載しておらず、代わりに、インテル AMTの下位機能である「ISM(インテル スタンダード・マネージャビリティー)」を搭載すること。

 インテル vPro Essentials プラットフォームでは、このISMを使うことで、インテル EMA(エンドポイント・マネジメント・アシスタント)によるリモート管理ができ、もちろんリモートでの電源ON/OFFも可能。ただし、ISMはリモートKVMやブートディスクの遠隔マウント機能をサポートしていないため、BIOSパスワードのリモート入力や、UEFI設定画面の遠隔操作、OSのリモートインストールといった操作はできなくなっている。

 ちなみに牧氏によると、ISMは「プロセッサーがインテル Core 2 Duo、AMTのバージョンが5.0だった頃から、実は存在したもの」という。

 「チップセットやネットワークデバイスなどがvProに対応しているものの、CPUにインテル Core i3 プロセッサーやvPro非搭載のCoreプロセッサーが採用されているマシンで使用されている管理機能です。AMTのサブセットという扱いで、一部機能が使用できません。以前のモデルではWi-Fiが扱えなかったり、CIRA(Client Initiated Remote Access)などのリモートアクセスができなかったりと、AMTとの差が大きかったのですが、第12世代からはWi-FiやCIRAに対応したことで、インテルEMAの活用も含めた必要最小限の機能は備えたと思います」(牧氏)

 インテル EMAが使えるのはインテル vPro Essentials プラットフォームのメリットといえるだろう。

「VKT44/X-C」にあるロゴには「Essentials」の文字がデザインされていた
「VKH48/D-C」のロゴは従来どおりで、特に「Enterprise」という文字の記載はない

 では、これからプロビジョニングの手順を紹介していくが、インテル vPro Essentialsプラットフォーム搭載の「VKT44/X-C」と、インテル vPro Enterpriseプラットフォーム搭載の「VKH48/D-C」では、手順に大きな違いはなく、一部の画面表示が異なるのみだった。そこで今回は、「VKT44/X-C」の手順をベースに紹介しつつ、「VKH48/D-C」での違いを紹介していきたい。

※今回の検証は「NEC PC-VKH48DZGC」「NEC PC-VKT44XZFC」を利用して行いました。PCの機種や世代によって操作手順やできることなどが異なる場合があります。

【操作手順1】AMTを有効にする

  1. PCの電源を入れる。
  2. 「NEC」のロゴが表示されたら「F2」キーを押す。

    ロゴが表示されたら、すぐに「F2」キーを押す

  3. BIOSの画面が表示されたら、上のメニューから「Advanced」を選択。
  4. 表示されたメニューから「Intel(R)Standard Manageability」を選択。

    「Advanced」にある、「Intel(R)Standard Manageability」を開く

  5. 「ISM Features」が「Enabled」になっているのを確認する。
  6. 「F10」キーを入力して、設定を保存してBIOSを終了する。

    AMTが初期状態で有効になっているので、特に設定を変更する必要はない

 なお、インテル vPro Enterprise プラットフォームに対応したマシン(VKH48/D-C)の場合で検証したところ、BIOSのメニュー表記にある「Intel(R)Standard Manageability」が「Intel(R) AMT」に、「ISM Features」が「AMT Features」なっていた点が差分となる。

Enterpriseの「VKH48/D-C」の画面。メニュー名は変わっているが、メニュー構造は変わらないので、ほぼ同じ感覚で操作ができる

【操作手順2】インテル MEBx(ME BIOS Extention)を起動する

  1. PCの電源を入れる
  2. 「NEC」のロゴが表示されたら、「Ctrl」+「P」のショートカットキーを入力する。

    ショートカットキーを入力。この時、「Ctrl」キーを長押ししながら「P」キーを入力すると失敗するため、必ず両キーを同時入力すること

  3. インテル MEBxが起動する。インテル MEBxの操作手順は関連記事を参照。初回起動時はパスワードを設定する。

    「Enter Old Password」で「admin」を入力。続いて、新規のパスワードを設定する

【操作手順3】AMTをリセットし、初期状態に戻す

  1. PCの電源を入れる。
  2. 「NEC」のロゴが表示されたら「F2」キーを押す。

    AMTを無効にするために、BIOSを起動

  3. BIOSの画面が表示されたら、上のメニューから「Advanced」を選択。
  4. 表示されたメニューから「Intel(R)Standard Manageability」を選択。

    プロビジョニング時と同じように、「Intel(R)Standard Manageability」を開いて……

  5. 「Unconfigure ME」を「Enabled」に変更。

    今度は「Unconfigure ME」を設定する

  6. 「F10」キーを入力する。
  7. 「Exit Saving Changes」ボックスが表示されたら、「Yes」を選択する。

    設定を保存してBIOSを終了すると、AMTの設定が初期化される


匠への質問、募集中!

 ……さて、今回はNECのクライアントPCにおけるAMTのプロビジョニング方法や、vPro EssentialsとvPro Enterpriseの違いなどを教えてもらったが、vProは非常に多機能かつ奥深い。これまでの記事や活用事例を見て、「これはどうやるんだろう?」あるいは「できると思うのに、何故かうまくいかない」と思うことも多いと思う。

 当連載は、そうした疑問を随時、匠にお伺いし、みなさまの疑問解消に役立てていきたい。疑問点がもしあれば、是非、以下のフォームから質問を送ってみてほしい。

【追記】今期のvPro導入困りごとアンケートの受け付けは終了しました。

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