一人暮らしのネット環境Q&A
家に来た友達に「Wi-Fiを貸す」のはダメ? 安全に貸す方法はある?
2023年6月21日 06:00
家に来た友達にWi-Fiを貸す(自宅のWi-Fiルーターに接続させる)ことは、安易に行うとリスクもある行為だと言えます。多くのWi-Fiルーターでは、自宅のネットワークにはアクセスさせずにインターネット接続だけを提供する「ゲストWi-Fi」機能があるので、これを利用しましょう。
「ゲストWi-Fi」に接続してもらえば、問題なし
友達と自宅で一緒に遊ぶため、または快適に作業をするために「Wi-Fiを貸したい」という場面があるでしょう。そのようなとき、安易に自宅のWi-FiのSSID(Wi-Fi名/アクセスポイント名)とパスワードを教えて接続させるのは、避けるべきです。
自宅のWi-Fiに接続させることで、友達にも自宅のネットワーク(LAN)が利用可能になります。すると、同じネットワークに接続しているプリンターやNASのような機器があれば、それらにアクセスして利用可能になります。また、設定によっては、PCのハードディスクなどにも簡単にアクセスできてしまいます。機器をいたずらされたり、貴重なデータを盗まれたりといった可能性が考えられます。
そのような、悪意のある行為をする友達に接続させることは論外ですが、そうでなくても、接続した機器がマルウェアに感染していたりすると、自宅のネットワークを介してほかの機器に感染するなどのトラブルも起こり得ます。信頼できる相手のものでも、自分が責任を持って管理しているわけではない機器を自宅のWi-Fiに接続させることは、できるだけ避けた方がいいでしょう。
とはいえ、「Wi-Fiを貸したい」というケースの大半は、Wi-Fi接続でインターネットを使わせてあげたいだけで、自宅のネットワークへのアクセスは必要ないはずです。そのような場合、多くのWi-Fiルーターに搭載されている「ゲストWi-Fi」機能(実際の機能名は製品によってさまざまです)が役立ちます。
ゲストWi-Fi機能では、自宅のネットワークには接続させず、インターネット接続だけを提供するための、ゲスト専用のSSIDとパスワードを設定できます。無用なトラブルを避けて友達に「Wi-Fiを貸す」には、この機能を利用するのがおすすめです。自宅のWi-Fiルーターに該当する機能があるか、確認してみましょう。
ゲストWi-Fiを設定するには
大抵の製品では、ゲストWi-Fi機能は初期設定のままだと有効化されておらず、設定画面で有効化する必要があります。
例えば、auやUQモバイルが提供しているホームルーター「Speed Wi-Fi HOME 5G L12」では、本体のラベルにゲストWi-FiのSSIDとパスワード(暗号化キー)が記載されていますが、実際にゲストWi-Fi(機能名は「ゲストSSID」)を利用するには、設定画面で有効化しなければなりません。
なお、実際に利用するときには、下図のようなラベルに記載されている初期パスワードのままでは使わず、別のものに変更しておきましょう。偶然ラベルを見た誰かが自分の知らない間にログインできてしまう、という状態は好ましくありません。
以下は、バッファローのWi-Fiルーター「WSR-5400AX6S」での設定例です。設定画面のメインメニューからゲストWi-Fiの設定が可能です(機能名は「ゲストポート」)。ただし、ゲストWi-Fiを有効化しただけでは、パスワードが設定されない状態になってしまうので、注意しましょう。「暗号化モード」を選択したうえで、パスワードを設定する必要があります。
ゲストWi-Fiのパスワードが広まらないように注意を
特に自宅で仕事をしている場合、仕事で使う機器やデータを守るためにも、家に来た友達などにはゲストWi-Fiを提供するようにした方がいいでしょう。また(本連載は「一人暮らし」環境がテーマですが)、自宅で親が仕事をしていて、子どもの友達が遊びに来てゲーム機を接続するような状況では、子どもにもその友達にもゲスト回線を使わせるようにした方が、安全を保ちやすいでしょう。
インターネットサービスプロバイダー(ISP)の利用規約ではネット上で不正利用をすることを禁止しているほか、一部では契約者以外の第三者に接続サービスを利用させたり、不特定多数が接続サービスを利用可能な状態にしたりすることを禁止しているところもあります。
友達に一次的にWi-Fiを貸すことが、ただちに規約違反と判断されるとはちょっと思えませんが、「教えた友達を通じて、なぜか多数がゲストWi-Fiのパスワードを知っている」のような状態にはならないよう、注意する必要があります。具体的には、先述のようにラベルに記載されたりしている初期パスワードは変更し、信用できる友達にだけパスワードを教えるようにし、できれば定期的にゲストWi-FiのSSIDとパスワードを変更するなど、万一に備えておくといいでしょう。