イベントレポート
Zoomtopia Japan Session
Zoomに「バーチャル資料共有」「同時通訳」などの新機能、“在宅勤務疲れ”防止のガイドラインも紹介
2020年11月12日 07:00
Zoomの年次国際カンファレンス「Zoomtopia 2020」の日本版「Zoomtopia Japan Session」が10月中旬にオンラインで開催され、国際版Zoomtopiaでの発表の紹介や、日本独自のセッションが行われた。
本記事では、日本独自のセッションの中から、ZVC Japan株式会社によるセッションの模様をレポートする。
Zoomが選ばれた理由は「フリーミアム」。トラフィック急増に耐えたアーキテクチャー
セッション「Zoomが選ばれる理由 学校でも職場でもネットワーキングの場でも」では、ZVC Japan株式会社のシニアアカウントエグゼクティブである澁谷洋猛氏が、Zoomの特色と、Zoomの新機能についてアピールした。
Zoomが飛躍的に利用されるようになったきっかけは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大だ。澁谷氏は、「では『誰が?』影響を受けているのか」として、「企業も学校も家族も、区別なく全てのコミュニケーションが影響を受けているのではないかと思う」と語った。
その中でZoomが特に選ばれた理由として、澁谷氏は「Zoomはフリーミアムサービスを提供するビデオ会議サービス」であることを挙げた。
そして、Zoomがフリーミアムを提供して急増したトラフィックに耐えられた理由として、Zoomのバックエンドおよびアプリケーションのアーキテクチャーを紹介した。
Zoomのデータセンターは世界中にあり、それを専用線で結んだ分散型アーキテクチャーとなっている。日本では、東京エリアと大阪エリアにある。そして、トラフィックは自動的に負荷分散されるほか、2020年には管理者がコンプライアンスなどの理由からデータセンターを選択することもできるようになった。
また、映像や音声といったデータ量の通信で、ルーティングをデータセンターではなくアプリケーション側で処理するため、スケーラブルなアーキテクチャーになっていると解説した。
そのほか、600以上の外部アプリとの連携や、有料ライセンスだけでなく無料ライセンスも一元管理できる機能なども澁谷氏は特徴として挙げた。
新機能「バーチャル資料共有」「同時通訳」「基本設定&ビデオフィルタ」とは?
続いて、Zoom最新機能として、「バーチャル資料共有」「同時通訳」「基本設定&ビデオフィルタ」の3つを、デモを交えて澁谷氏は紹介した。
「バーチャル資料共有」は、ローカルの資料を背景として背景に投影する機能だ。また、「同時通訳」は基調講演でも使われた、オリジナル音声と同時通訳の音声を切り換えられる機能で、オリジナル音声がうっすら聞こえるところも澁谷氏は特徴として説明した。
「基本設定&ビデオフィルタ」では、設定によって肌補正や明るさ自動調整ができるところをデモ。さらに、ビデオフィルタによって背景に効果を加えたり、顔に髭を付け加えたりするところをデモした。
4万5千人規模でZoomを導入した大手製造企業、その取り組みを「ADKARプロセス」に当てはめると……
セッション「Successful Deployment / 成功するZoomの導入プロセス&リモートワークの展開 ~組織でのZoom導入におけるカスタマーサクセス~」では、企業がZoomを導入するだけではなく、社内のやり方を変えてZoomを定着させるための支援体制について解説した。ZVC JapanのCustomer Success Manager Leadである大久保真里氏とアカウントエグゼクティブの平田真一氏が話した。
まず大久保氏が、組織のやり方を変えるチェンジマネジメントについて語った。「サービス導入を決めたところから新たな旅が始まることを意識してほしい」と氏は語り、一般に変革で成功率が30%以下、その変化が長期的に維持されるのが16%というデータを紹介。「プランニングをすることで最高の旅につながる」と述べた。
大久保氏は、やり方を変えるには個人のマインドセットも変える必要があるとして、チェンジマネジメントで使われるモデル「ADKARプロセス」を紹介した。認知(Awareness:なぜ変化させるかを認識)、欲求(Desire:チームを巻き込んでモメンタムを作る)、知識(Knowledge:トレーニングや情報)、能力(Ability:知識を行動に移す)、定着(Reinforcement:変革を持続させる)の頭文字をとったものだ。
ここで平田氏が実例として、ある大手製造企業が4万5000人規模でZoomを導入した事例を紹介し、そのための取り組みをADKARモデルに当てはめた。
まず「認知」としては、もともと働き方改革が重要という意識があったところに、COVID-19感染拡大によるリモートワークが必要となったという。
「欲求」としては、4万5000人いると社内にはネガティブな声も発生するため、まず希望者5000人に体験してもらい、圧倒的な支持を得たことを足場にして拡大し、4月には3万人に増やすといった段階を踏んだという。
「知識」としては、新規参加者に管理者からWelcomeメールを出して社内の情報リソースにナビゲートした。また、社内利用者向けトレーニングをZoomが提供して延べ5500人に実施。トレーニング内容も会社特有の使い方を考慮してカスタマイズした。さらにその内容を録画して後で社内から見られるようにしたほか、Q&Aの内容がそのまま社内FAQになったため、管理者への質問も減ったという。
「能力」としては、より便利に使うにはどうするかを支援。複数画面やウェビナーなどの便利な機能を紹介するとともに、マイクやヘッドセットなどのハードウェアの情報を社内に展開したという。
「定着」としては、新機能について社内に周知するとともに、社内からのリクエストも収集し、それをもとに導入から5カ月後に改めてトレーニングを実施したという。
“在宅勤務疲れ”防ぐためのZoom社内のガイドラインとは?Zoomお勧め機能も紹介
次に大久保氏が“在宅勤務疲れ”を防ぐためのZoom社内のガイドラインを紹介した。
「感受性」としては、中断が入ったり周りが少し騒がしかったときにも本人が悪いと思わせない配慮や、子どもやペットが入ってきても歓迎することなどが挙げられた。
また、「柔軟に働こう」としてはワークライフバランスが、「つながりを感じよう」ではバーチャルイベントで社内の交流を深めることが、「思いやり」ではチームメイトに対しても自分に対しても思いやりと心身の健康に気を配ることが、「休息を取る」では仕事から離れる時間を確保することが、「境界を作る」では時間やパーソナルエリアを区切ることが語られた。
続いて大久保氏は、リモートワークでのZoomお勧め機能を紹介した。
まず、ビデオをオンにしてみることや、チャットでミーティングに呼び出してみること、ミーティングからほかの人を呼び出してみることが挙げられた。
また、クラウド録画によって議事録の代わりにすることが紹介され、録画の編集で、再生速度の変更や再生範囲のカット、 ビューの切り替えといった機能が使えることが説明された。
最後に大久保氏は、「みなさんも新しいことができる勇気が出るといい」として、話を終えた。