イベントレポート

CEATEC 2021 ONLINE

電波を拡散するフィルムに計測機器、自動運転向け車載用モジュールまで、5G関連の見どころを紹介

 10月19日~22日に完全オンラインで開催中の「CEATEC 2021 ONLINE」。今年も多くの企業・団体がブースを出展しているが、この記事ではスマートシティ・スーパーシティ構想などとも密接に関わる、5G関連の施策を取り上げている展示ブースをピックアップして紹介する。

 本記事では「各ブースの詳細」をお伝えするのではなく、「特に注目できるブースを紹介する」視点でまとめている。気になるブースがあったなら、実際のブースで確認してもらうのがいいだろう。ほかにもテレワーク・働き方改革関連の見どころカーボンニュートラル関連の見どころをまとめているので、関連記事を参照いただきたい。

 2020年に商用サービスが始まったばかりの5Gだが、現在では各地域への基地局の設置が本格的に進みつつある。そうした状況もあって、各企業の展示ブースでは基地局向けのソリューションが特に多く見られた印象だ。加えて、製造現場へのローカル5Gシステムや車載用のモジュールといった、今後の活用が期待されるソリューションも目立っている。

住友ベークライト

回折現象を利用して屋内での電波受信強度を高める「高周波拡散フィルム」

 住友ベークライト株式会社のブースでは、5G通信を支えるマテリアル関連のソリューションを複数展示している。例えば5G向けに開発中の「高周波拡散フィルム」は、ミリ波の回折現象を利用して屋内での電波受信強度を高める素材だ。窓材や壁材などに貼り付けることで直進性が強いミリ波を拡散させ、屋内でもより安定した通信を可能にするとしている。

アンリツ株式会社

ローカル5Gのエリア実測・基地局性能試験サービスなどを展開

 アンリツ株式会社のブースでは複数の5G関連の展示を実施。ベンダー向けの機能試験などをサポートするテストプラットフォーム「MT8000A Single Box Solution」や、ローカル5G導入・運用時のシミュレーション解析やエリア実測・基地局性能試験サービスなど、5G導入にあたっての課題解決をサポートするソリューションを展開している。

アルプスアルパイン

車載用5G NRモジュール「UMNZ1シリーズ」

 車載向けデバイスなどを扱うアルプスアルパイン株式会社のブースでは、自動運転車などでの活用が期待される車載用5G NRモジュールの展示を実施している。「UMNZ1シリーズ」は、日本企業として初のセルラーV2X機能を搭載した車載用5G NRモジュール。今年3月からベンダー向けにサンプル出荷を開始しており、次世代通信ソリューションの社会実装を推進するとしている。

NEDO

ポスト5Gに向けた仮想化ネットワークの研究開発を楽天モバイルと共同実施するNEDO

 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のブースでは、楽天モバイル株式会社と共同で実施しているポスト5Gネットワークシステムの研究開発に関する展示を実施。楽天モバイルがすでに運用している完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワークの技術を応用することで、汎用ハードウェアを活用し、低コストでのポスト5G通信システムの導入が可能になるとしている。

Accuver

5G NR向けスモールセル

 Accuver株式会社のブースでは、5G NR対応のスモールセルなど、基地局関連のソリューションを展示。電波の直進性が高い周波数帯ではスモールセルによる補完が重要となることから、電波の届きにくい地下街やビル内などに導入することで、屋内でも安定して快適な通信環境を提供できるとしている。

京セラ

 京セラ株式会社のブースでは、同社が提供する製造現場向けのローカル5Gシステムに関する展示を実施している。4.7GHz帯への対応による高速通信環境を活用し、高精細画像を使ったリアルタイムでの現場モニタリングやAI画像診断、遠隔サポートといったスマートファクトリー化を実現。課題解決とニューノーマルな働き方に貢献するとしている。

OKI

 沖電気工業株式会社のブースでは、高速なローカル5G通信とAIエッジを活用した「ローカル5G×AIエッジ」ソリューションへの取り組みに関する展示を実施。現在は検証段階ではあるが、たとえば製造現場向けには「ローカル5G+外観異常判定システム」といったサービスを検討しており、生産性の向上や作業員の負担の減少、省人化といった改善が期待できるとしている。

村田製作所

 株式会社村田製作所のブースでは、同社の5G基地局向けソリューションを展示している。使用電力の効率化や削減、ネットワークの自由度向上といった基地局の課題に対し、液晶ポリマーを用いた樹脂多層基板(メトロサーク)、ミリ波帯RFアンテナモジュール、DC-DCコンバーターモジュール「MonoBK」といったソリューションを提示。基地局の小型化やユースケースに応じた柔軟な構築に貢献するとしている。

フジクラ

 株式会社フジクラのブースでは、60GHz帯のミリ波通信モジュールに関する展示を行っている。5G向けの新周波数帯を含む57~71GHz通信に対応しており、0.55/1.1/2.2GHzのチャネル帯域幅の切り替えが可能、64QAMの高次変調サポートといった機能を実装。500mを超える長距離や移動中の車両とでもギガビット級の通信を可能にしたとしている。