イベントレポート
Synology 2022 AND BEYOND
Synology初のWi-Fi 6ルーター「RT6600ax」、最大6600Mbpsでトライバンド
監視カメラソリューション「Surveillance Station 9.0」とNVR新モデル「DVA1622」も発表
2021年12月7日 13:52
Synologyは12月3日、オンラインイベント「Synology 2022 AND BEYOND」を公開し、今後発売を予定しているNASやネットワーク製品の新製品、新サービスなどを発表した。
Wi-Fi 6対応ルーター「RT6600ax」
発表された新製品の中で注目なのが、Synology初のWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)対応のWi-Fiルーター「RT6600ax」だ。
5GHz帯×2、2.4GHz帯×1のトライバンド仕様で最大通信速度は合計6600Mbpsとなり、メッシュWi-Fiもサポート。5GHz帯の2バンドのうち1つは4×4ストリーム、最大4804Mbpsの高速通信に対応し、RT6600axを2台利用してメッシュWi-Fiを構築する場合の高速なバックホールとしても活用できる。
日本国内では電波法の問題でまだ利用できないWi-Fi 6Eもサポートしており、5.9GHz帯のアンライセンスドバンドも利用可能だ。
有線LANは、新たにWANまたはLANポートとして利用可能な2.5GBASE-T対応ポートを装備している。
そして、既発売の同社製Wi-Fiルーター「RT2600」や「MR2200ac」も採用しているルーター専用OSの最新版である「SRM 1.3」では、ネットワーク分離機能を強化。新たに最大5つのSSIDを設定できるようになり、ホームユーザーやゲスト、IoTデバイスなどに個別のSSIDを設定しネットワークを分離できるようになる。また、SSID間での通信を遮断するなどの制御も簡単に行える。
Android/iOS向けの「DS Router」アプリも強化され、ルーターのセットアップはもちろん、高度な管理機能も設定できるようになる。
RT6600axおよびSRM 1.3は、2022年上半期にリリース予定だ。
「Surveillance Station 9.0」と、NVR新モデル「DVA1622」
監視カメラソリューションの次期バージョン「Surveillance Station 9.0」では、UIを一新するとともに、データ保護の強化や性能の向上を実現。対応カメラの追加や、複数のレコーディングサーバーの一元管理が簡素化されている。
また、従来まで異なるアプリを利用する必要があったライブビューと録画再生を、「Monitor Center」アプリに一元化。アプリを切り替える必要がなくなり、利便性が大きく向上するという。
セキュリティ機能も強化される。録画映像の暗号化や、HTTPSまたはSRTPでカメラと接続して映像を傍受不能にする機能により、管理者以外のライブビューや録画データの視聴を防止。
また、ローカルストレージとクラウドサービス「Synology C2」へ同時に録画するデュアル録画機能の追加で、録画データの損失も防げるようになるという。
そして、Surveillance Station 9.0の登場に合わせ、NVR(Network Video Recorder)の新製品「DVA1622」が発売される。最大16台のカメラを接続でき、顔認識や車のナンバープレート認識など最大2つの分析タスクを利用可能。また4K HDMI出力も備えている。
このDVA1622では、出荷時からSurveillance Station 9.0が搭載される。DVA1622は、2022年第1四半期にリリース予定。
DSM 7.1やSynology C2の新機能
2021年に公開したNAS専用OSの最新バージョン「DSM 7.0」。DSM 7.0の特徴や機能については、清水理史氏のこちらの記事で詳しく紹介しているが、Synology 2022 AND BEYONDではDSM 7.0の次期バージョン「DSM 7.1」で追加される機能が紹介された。
DSM 7.1では、ユーザーからの要望が多かった分野の改善に重点を置いているという。
まず、クラウドベースのシステム監視ソリューション「Active Insight」では、オフィスなどで利用している全てのNASについてシステムアップデート情報を確認したり、一括アップデートすることが可能となる。また、NASに対する不審な操作を検知し管理者に通知する機能も提供され、情報漏えいリスクを低減。このほか、Hyper Backupタスクの監視機能も追加される。
また、SMB経由での分散ファイルシステム(DFS)や、SMBマルチチャネルなどのサポートが追加される。これにより、ファイル転送のパフォーマンスが向上するという。
バックアップ機能では、DSMのベアメタルバックアップを新たにサポート。NASのシステムとデータを丸ごとバックアップでき、トラブル時でも高速な復旧が可能となる。
「Synology Drive」では、モバイルアプリを一新し、「Active Backup for Business」では新たなトラフィック管理機能を追加。また、Synology DriveでのmacOS対応と、Active BackupでのMacのベアメタルバックアップも可能になる。
続いて、クラウドサービス「Synology C2」では、「C2 Storage」のサービスとして提供されている「Hybrid Share」において、複数ユーザーが複数の拠点から同じファイルに同時アクセスする場合の問題を解決するため、異なるデバイス間でのファイルロックが可能となる。また、HTTP/3サポートや頻繁に使用するファイルのキャッシュ機能などを用意し、パフォーマンスも向上する。
パスワード管理機能の「C2 Password」では、年額4.99米ドルで利用できる新プラン「Plus」を追加。さらに最大6アカウントの間でパスワードを共有できるようになる。
このほか、「C2 Backup」でのmacOSのサポート、データ転送機能「C2 Transfer」での共有ポリシーなどを設定できる転送ポリシー機能の提供なども追加される。
合わせて、Synology C2の利用者やデータアクセス量の増大に対応するため、従来設置されていたフランクフルトとシアトルに加え、台湾にも新たなデータセンターを増設。また、Amazon S3互換のクラウドストレージ「C2 Object Storage」を2022年中にリリースする予定だという。
【お詫びと訂正 12/8 14:51】
記事初出時、OSのバージョンに関する記述に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
誤:SRM 3.1
正:SRM 1.3