IPTVサービス高度化技術、BSデジタル放送のIP再送信技術を展示


 NTT研究所の取り組みを関係者向けに紹介する「NTT R&Dフォーラム2010」が東京都武蔵野市にあるNTT武蔵野研究開発センタで、24日まで開催されている。

 IPTVサービス高度化技術に関する展示では、IP再送信方式でBSデジタル放送を視聴可能にする技術が紹介されている。

 デジタル放送のIP再送信としては、NTTぷららとアイキャストが運営するフレッツ向けの映像配信サービス「ひかりTV」で、地上デジタル放送のIP再送信サービスを開始済み。対象は、NGNサービス「フレッツ 光ネクスト」を利用するユーザーで、現在は北海道や東京都、大阪府、福岡県などでIP再送信サービスが提供されている。

 BSデジタル放送は、地上デジタル放送と比較して伝送帯域が50%程度大きく、ネットワークの負荷が大きい。今回展示された技術では、番組視聴中に並行して受信する必要のない、MPEG-2 TS中に多重化された他チャンネルの番組映像や番組情報などを、別のMPEG-2 TSに分割してマルチキャスト送信する技術によって、伝送帯域の低減を図った。これにより、地上デジタル放送と同程度の伝送帯域に抑えることが可能になり、IP再送信によるBSデジタル放送の視聴も実現できるとしている。


デモで利用されたSTBの外観は「ひかりTV」のものと同等技術概要

 放送局ごとのMPEG-2 TSに多重化された番組情報に関しては、他局の番組情報を削除するとともに、全局分の情報を番組情報専用TSに再多重化。その上で、別のマルチキャストストリームとして送信する技術を使用することで、番組情報の重複配信を回避・効率化しているという。

 また、BSデジタル放送には地上デジタル放送とは異なり、有料チャンネルもラインナップされている。これに関しては、IP再送信用の限定受信方式に沿って作成したユーザー個別のナビゲーション情報を、放送規格に準拠しながら適切に多重送信する技術によって、IP再送信でも通常のBSデジタル放送受信時と同様の有料サービス向けナビゲーションが可能になるという。説明員によれば、BSデジタル放送のIP再送信の具体的な実用化時期は不明だが、技術的な検証としてはほぼ完了しているという。

 このほか、IPTVサービス高度化技術に関する展示では、IPTV事業者のセンターサーバーを介して、PCや携帯電話を使って番組のリモート録画が行なえる機能を紹介。外出先からのリモート録画予約機能は、一部メーカーのHDDレコーダーですでに搭載されているが、本展示ではセンターサーバーで録画予約した番組情報などを蓄積して、ユーザーに合ったお勧め番組をメールマガジンなどを通じてレコメンデーションする機能を持たせた。また、録画予約情報の紹介では、お父さんやお母さん、子どもなど、誰が予約したかを確認できるアイコン表示にも対応していた。


メールマガジンに記載された番組情報のリンク先にアクセスしたところここから録画予約をすると、センターサーバーを介してSTB側に予約手続きが終了する画面上では誰が予約したかをアイコンで確認できる

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(村松 健至)

2010/2/23 16:27