インタビュー

「容量7割減で画質そのまま」 ページスピード向上を実現する「SmartJPEG」とは?

株式会社ウェブテクノロジ代表取締役の小高 輝真氏
株式会社ウェブテクノロジでSmartJPEGのマーケティングを担当する若狭 譲氏

 ウェブサイトの表示スピードを速くすることは、サイト利用ユーザーの満足度向上のために有用だ。しかし、表示に何秒もかかる「重たい」ウェブサイトが多いのも事実。「ギガが減る」などとも言われるようになったが、数MBもある画像素材をそのまま利用しているウェブサイトも散見される。

 「画質を落としたくない」という目的がある場合や複数担当者でサイト更新をしていて運用ルールが徹底されてない場合など、要因はさまざまだろうが、これらの問題を一挙に解決してくれるソリューションがある。

 画質への影響を最小限に保ち、あるいは画質を向上させた上でファイルサイズを最小にする、という画像最適化ソリューション「SmartJPEG」がそれ。提供しているのは、ゲーム開発向けの画像最適化ツール「OPTPiX」シリーズなどで著名な株式会社ウェブテクノロジだ。

 そこで今回、Webマーケティング支援で10年以上の実績があり、「MIERUCA(ミエルカ)」を提供する株式会社Faber Companyの月岡克博が、ウェブテクノロジの代表取締役・小高 輝真氏とSmartJPEGのマーケティングを担当する若狭 譲氏に、同ソリューションの詳細についてインタビューした。

表示に3秒以上かかると40%以上のユーザーが離脱する?

 2018年が始まって間もなく、Googleから「スピードアップデート」に関する発表があった。2018年7月には、ページの読み込みスピードがモバイル検索のランキング要素になる。ユーザー体験を考えれば、これまでもこれからもウェブサイト運営において重要な視点であろう。

※もちろん、本アップデートは「(表示に数十秒かかるような)極端に遅いサイト」にのみ適用されると想定されるもので、ページスピードが速くなったからといってSEOに効果があったり、検索順位があがるものではないことに留意したい。

 スピードアップデート以外にも、GoogleはAMP(Accelerated Mobile Pages)やPWA(Progressive Web App)などの取り組みを推進しており、「より速く表示される」ことがユーザーに求められていることが分かるだろう。

 「ページ表示に3秒以上かかると40%以上のユーザーが離脱する」とも言われる。ページ表示スピードを改善するためには、ページ容量をなるべく軽くすることが不可欠だ。

 今回は、ウェブサイトで使用される「画像」に着目したい。ウェブテクノロジのSmartJPEGは、画質を落とさずに重い画像の容量を軽くすることで、サイト内ユーザー体験において重要なページスピードの改善も実現してくれるツールだ。

「容量7割減でも画質はそのまま」を実現する「SmartJPEG」とは

――SmartJPEGのリリース経緯について教えてください。

小高氏:
 当社は、ここ20年ほどはゲーム業界における画像最適化ツールを提供してきました。その経験からPNGやGIFを256色以下に圧縮する技術に長けていましたが、画像処理全般の知見を活かせば、ウェブでよく利用されるJPEGにも応用することができるのでは、ということで研究をスタートしたのが始まりです。

――「SmartJPEG」にはどのような機能があるのですか。

小高氏:
 「画像内容を自動で判定し、画質を落とさず適切な圧縮率でJPEG圧縮する」のが、大きな特徴の1つです。「花火」の画像のように圧縮しすぎると見た目が悪くなってしまうものは、圧縮率を低くします。一方、「朝焼け」の画像のように圧縮しても劣化が目立たないものは、圧縮率を上げるという判断を自動でやってくれるんですね。

 もう1つの特徴は、メイクアップ機能です。画像の明るさや彩度などを調整して、画像を綺麗に表現し、シズル感をアップするなどの加工を行います。

――見た目に問題のない画質まで自動で圧縮率を調整して、「シズル感」を出す加工までしてくれるのは便利ですね。実際に導入するとなると大変なのでしょうか。

小高氏:
 自社サーバーやCMSに組み込むために、情報システム部門との連携は必要になります。組み込み先のシステムや環境によって工数は変わりますが、複雑なシステムでなければ1人日程度で導入できます。あとはいつも通りの画像アップ作業の中で、画像を自動で最適化してくれるのです。将来的にはHTML内の“img src=”部分を書き換えるだけで実装できる機能も開発中なので、ウェブ担当者さんにももっと使いやすくなるはずです。

――画像を圧縮するだけなら無料ウェブサービスなどもありますが、それらのサービスと比較してSmartJPEGが優れているポイントはどこでしょうか?

小高氏:
 まずCDNサービスに付随するツールがありますが、CDNサービス利用が前提になってしまいます。オープンソースでJPEGの圧縮率を高めるプログラムもいくつかありますが、画像内容を見て自動で圧縮率を判定できるものは見当たりません。SmartJPEGのほうが圧縮率は圧倒的に高くなります。何よりきちんとしたサポートがないのも実装担当者からすると不安でしょう。その点、SmartJPEGは日本製で、サポート体制も整っていますので、細かいカスタマイズやチューニングなどの手厚いフォローが可能です。

若狭氏:
 SmartJPEGのメリットを3つ挙げるとすると、1)画像クオリティを落とさず圧縮できる、2)自動で圧縮率を判定、3)色味の調整などの細かなチューニングとサポート、になると考えています。これによって、運用担当者の手間をかけずにウェブサイトの転送量を大きく削減し、表示スピードの高速化に寄与します。

――どういった導入事例があるのでしょうか。

若狭氏:
 月間1億PVを超えるネットメディアでは、トップページの転送量を60%削減し、表示スピードが大きく改善しました。また、作業効率の面でも効果を実感いただいています。以前は各編集者が記事の画像容量を気にしてアップしなければならなかったので、担当によっては大容量画像をアップしてしまうこともあったそうです。しかしSmartJPEG導入後は、画像アップの際に自動処理してくれるので、そのようなケアレスミスもなくなったと聞いています。

――記事の多いネットメディアなどでは大きく効果を発揮しそうですね。そのほかに活用が進みそうな業種業態などありますでしょうか。

若狭氏:
 不動産ポータルサイトやECサイトなど、画像を大量に使用するサイトでは効果が高いと考えています。また、ユーザーが画像を投稿するサイト(CGM/UGM)でも威力を発揮します。例えば、オークションサイトでは「画像メイクアップ機能」が効果的です。ユーザー投稿写真の画像を圧縮しつつクオリティを上げることで、クリック率やコンバージョン率にも寄与できると考えており、現在、お客さまと検証もしているところです。

 また、通信インフラが貧弱なアジア圏に向けた「越境EC」を検討されている企業にも活用いただけるのではないかと思います。アジア諸国から日本のウェブサイトは(重たくて)表示されにくいという話も聞きますので、軽いサイトであることは今後重要になるのではないでしょうか。

<実証実験>画像圧縮でこれだけ変わる!ページスピード比較

――では、実際にSmartJPEGで画像圧縮を行うとどれくらいスピードが変わるのかを教えてください。

若狭氏:
 こちらはテストサイトですが、SmartJPEGで画像処理の前後で表示スピードを比較したものです。

「SmartJPEG」で圧縮する前のサイト(左)と圧縮後のサイト(右)

――こうして比較してみるとだいぶ表示速度が違いますね。

若狭氏:
 はい。こちらのデータはDocomo回線のiPhoneという環境で、ページ表示までの秒数を計測した結果です。表示5秒以上かかることがあったサイト(緑)ですが、SmartJPEGで最適化すると90%以上が表示3秒以内(青)に表示されるよう高速化されました。

Catchpointによる計測結果

――なるほど、かなり表示スピードが速くなっていますね。ユーザーにとって使いやすいサイトになりそうです。

サイト運営担当者にとって強い「味方」に

 気軽に情報にアクセスできるスマートフォンが主要デバイスとなった現在、ユーザーに好まれるサイトになるためには「表示スピードの高速化」は外せない施策になる。さまざまな業務を兼任することも多いサイト運営担当者にとって、画像容量や画質を最適化することにまで気を配ることは、工数の観点からも容易ではない。ウェブテクノロジのSmartJPEGはそんな担当者にとって、強い味方になりそうだ。

 まだ表示スピードを計測したことがないのであれば、Googleがスピードチェックツールを無料で公開しているので、自身の管理するウェブサイトをぜひチェックしてみてほしい。極端にスコアが低く出てしまったら、「表示スピード高速化」を2018年に取り組み、ユーザー体験向上の第一歩を踏み出してはいかがだろうか。最後に小高氏と若狭氏は「画像最適化の観点から、クライアントサイトのUX向上を支援できれば」というメッセージで、今回のインタビューを締めくくった。

【お詫びと訂正 2月16日 19:00】
記事初出時、「ページスピードの改善は、必ずSEO評価の改善につながる」という印象を与える部分がありましたが、これは記事の意図するものではないため、表現を複数修正いたしました。正しい意図は、「ページスピードの改善は、検索ユーザーの体験向上を通じてサイト全体のパフォーマンスを向上させる施策の1つであって、必ずしもSEO評価の改善につながるとはいえない」といった内容となります。お詫びして訂正させていただきます。(編集部)