インタビュー

「Windows 7パソコン」はどう買い替える? 最新「仕事パソコンの選び方」を聞いてみた

働き方改革の影響やSSD化の進行も…… ~ビジネスPC最新事情~

 2019年も年が明けたが、間もなく訪れるのが「Windows 7サポート終了の1年前」である1月14日。

 Windows 7は傑作OSだっただけにまだ利用中のPCも多いと思うが、さすがにサポート終了ともなると、セキュリティ上の問題なども出てくる。PCそのものの経年劣化も考えると、このタイミングでの新調を考えている人も多いだろう。

 しかし、PC業界の進歩は速い。「今、PCを買うとしたら、どうやって選ぶのが最適なのか?」で悩む人も多いだろう。

 そこで今回、BTOパソコンの老舗メーカー、マウスコンピューターに「最近のPCの買い方」について聞いてみた。お話をお伺いしたのは、同社の法人向けブランド「Mouse Pro」の担当である金子 覚氏と、杉本 勝氏、千葉 ゆき江氏の3名だ。

PCは長く使う前提、だから「予算内でどれだけ良いスペックのPCが買えるか」が大事「ノートPC化」「SSD化」の流れも進む

マウスコンピューターコーポレート営業部 部長の金子 覚氏

――まずはMouse Proブランドについて説明していただけますでしょうか

[金子氏]マウスコンピューターは「BTOで好きなスペックのPCを購入できるブランド」としてご認識いただいていると思うのですが、「Mouse Pro」ブランドは、特に「ビジネス向け」ということで、「新しいものを次々と投入していく」のではなく、「信頼性のあるもの」「実績のあるもの」をメインメニューをご用意させていただき、保証についても最大5年と長くさせていただいております。

 その一方でお客様のニーズについてもフォローしており、2011年の設立以来、例えば「サーバはないの?」「ワークステーションはないの?」「Xeon搭載PCは?」といった声をもとに、モデル数を増やし、現在は様々な製品ラインナップをご用意するに至りました。

 企業規模で言うのであれば、大企業よりも中小SOHOといったお客様が多く、最近は文教向けにも進出しています。具体的には、専門学校や大学の理工学部、そして今年発売したタブレット製品を中心に、小学校などにも支持をいただいています。また、スペックで言うのであれば、CPUコア数やグラフィックスを重視される方には特に強い支持をいただいている、と思っていますね。

 また、マウスコンピューター全体でのサービスなのですが、24時間365日の電話サポートと、万が一の故障時、96時間以内の修理完了する体制については、「MousePro」のお客様にも大変好評をいただいています。

――それでは、本題に移らせていただきますが、まず、最近はどのようなPCが売れているのでしょうか?

マウスコンピューターコーポレート営業部 エキスパートの杉本 勝氏
マウスコンピューター ビジネスパートナー営業部 エキスパートの千葉 ゆき江氏

[杉本氏]まず、Windows 7からの買い替えのご相談が増えてきています。

 そうした例ではデスクトップPCからノートPCという大きな流れがありまして、これは「働き方改革」という理由からも加速しています。要するにノートPCならば、社内でも自由な場所で仕事ができますし、ポリシーによっては外出先や自宅での勤務もできるというわけです。こうした視点ではディスプレイのサイズがまず重要で、据え置きで使うのであれば15.6型、外に持ち出すということであれば13.3型をご提案することが多いですね。

 ちなみに、5年前の当社の法人向け出荷は7:3でデスクトップPCが多かったのですが、今は月によっては4:6でノートPCが多いといった具合です。

[杉本氏]もう一つは、SSD化の流れですね。

5~6年前くらいにご購入されたPCですと、HDD搭載モデルが多いと思うのですが、今はSSDの価格がお買い求めやすくなってきましたので、こちらをご検討されるお客様が増えています。これは、クラウドのサービスが充実してきたことも一因です。メールなどをクラウド化すると、クライアントPCにデータを残さなくてもよくなりますので、今まで500GBクラスのHDDだったところを256GBクラスのSSDに置き換えても容量が足りる状況になってきた、ということが増えていますね。

「10万円」が一つのポイントなのだという。写真は13インチのMousePro NB3の例。

[千葉氏]また、売れ方としては法人ならではの価格帯で決まる面も多いですね。具体的には「10万円」とか「20万円」とか、お客様が製品をご検討される時は、社内で申請して通りやすい金額というのがポイントになります。

Mouse Proですと、「Core i5」、「8GBのメインメモリ」、「256GBクラスのSSD」といったスペックが人気で、実に7割ぐらいのお客様がご検討いただいているのですが、これが今、ちょうど10万円ぐらいの価格帯なりますね。一方、20万円という予算枠は主に研究機関や大学などで、Core i7やビデオカードを積んだ製品をご検討いただいています。

――「ビジネス向け」と考えると、Core i5は性能的にはかなり高いほうですよね?

[金子氏]そうですね。法人用途はPCのライフサイクルも長く、「長く利用するからには予算内でいいものを」という買い方をされることが多いようです。10万円という予算で製品を比較検討されますと、他社ではCPUがCore i3だったり、メモリが4GBだったり、SSDではなくHDDだったりといったこともありますが、Mouse ProでしたらCore i5、8GB、256GBというスペックがご予算内でご提供できます。

 我々の大きな強みはここですね。Celeron搭載などの「低スペック・低価格PC」や「少しでも軽く・薄く」といった製品は、メインな部分ではないのですが、後者については、15.6型の狭額縁液晶に、得意のビデオカードを搭載した「m-Book R500」など、ラインナップの強化を図っているところです。

――OSはやはりWindows 10でしょうか。

[金子氏]そうですね。弊社では、Windows 7は逆に早めに終息させています。タイムtoマーケットという会社の方針もありますが、Windows 7がインストールできるのはもはや製品としては古いSkylake(2015年リリース)までですし。

デスクトップPCも省スペース化へ光学ドライブ付きも少数派、VESAマウント付きも…………

デスクトップPCは小型PCのニーズが増えているという。写真はMousePro Mシリーズ
VESAマウントにも対応

――デスクトップPCについてはいかがでしょうか。

[杉本氏]そうですね。Mouse Proは今でもデスクトップPCのラインナップが充実しているのですが、主に事務用では、スリムモデルが大半を占めるようになりました。

これは、「光学ドライブ不要」というお客様が増えた結果なのですが、さらに進んで「デスクのスペースをより有効に活用したい」という方も増えています。

そうした方には、ディスプレイの裏に設置できるVESAアダプタ対応の製品をご提案しています。

――従来型のミニタワー、ミドルタワーはいかがでしょうか。

[杉本氏]実は、販売台数的には変わりありません。お話をお伺いすると「ビデオカードを搭載できる」「3.5インチHDDを利用できる」のが大きいようで、CG・映像系のお客様が、HDDで直接やり取りするような事例などもお伺いしますね。そうした場合、簡単に開けられて簡単に取りはずしができるタワー型を選ぶことも多いです。

――5~6年前のPCからの買い換えを検討されるお客様に対し、どのようなコミュニケーションをされますか。

[千葉氏]PCをどのような用途で使うのか、どう使うのかというのはよくお聞きするように心がけています。古くなったから換えるというだけではなくて、生産性を上げるというところもお客様は考えていらっしゃいますので、そこをしっかりヒアリングしてきたいと思っています。

ハードウェアでは、デスクトップPCからノートPCに切り換えるということがあるのですが、そうなると事務所でお使いのディスプレイの入力端子もここ5~6年で変わってきています。いざ買ってつながらないということがないようにヒアリングを行っています。そしてストレージもどこに保存するのか、クライアントPCに置くのかクラウドやネットワークストレージに置くのかでも必要な容量が変わってきます。

――ここ最近の流れ、新しいPCの使われ方などでお気づきになった点などはありますか。

[千葉氏]建築系などVRをビジネスで使われている方も増え、「高性能なビデオカードを搭載している必要がある」といった要望をいただきます。その上でデモンストレーションとしてクライアントに出向くような場合、ノートPCがよいという点でDAIVやG-Tuneの製品が選ばれています。3Dプリンタのために高性能ビデオカードと大容量メモリをお求めの方もいましたね。新しく登場した技術に対応するPCを求めるご相談は多くいただいています。直近ではディープラーニングも。

[金子氏]そのほかですとネットワークでは10Gイーサネット、SIMスロット(LTE)搭載モデル、インターフェースですとThunderbolt 3が欲しいという方も増えました。映像系では昨年なら4k60pでしたが今年は8kのご相談も。セキュリティではWindows Helloや……暗号化はTPMがCPUに内蔵されたことで昔ほど聞かれなくなりましたが、BitLockerに対応できますよねと確認されることはよくあります。あとはバッテリー。10時間を希望されることが多くなってきました。

「ギリギリまで待つ」より「余裕をもって購入」が吉?

――最後にWindows 7のサポート終了に伴い買い換えを検討されている方へのメッセージをいただけますか。

[杉本氏] 来年は、本格的に駆け込み需要が出てくると思うのですが、余裕をもってスケジュールを立てていただくことが重要になると思います。

 PCの部品である、CPUやメモリ、NANDといった部品はその時の状況で価格が大きく変動してしまうので、本当に「駆け込み」になってしまうと、買いたい時に買いたい価格で買えるのかという点で、苦労されてしまうかもしれません。「壊れてから買う」「ギリギリまで待っていれば安くなるかも」という風にするよりも、余裕をもって買える時に購入されたほうがよいと思います。

[金子氏] もちろん、弊社としても、お客様のご都合のいい時にご都合のいい構成が組めるよう、部品の在庫などには気を使っております。また、弊社として目指している「街の仕立て屋さん」になれるよう、お客様のニーズに合わせたご提案をその時々にあわせてできたらいいな、とも思っております。また、弊社では、ビジネス向けの「Mouse Pro」だけでなく、クリエイター向けのDAIVやゲーム向けのG-Tune、そして幅広い一般向けのマウスブランドと様々な製品があります。

 「Mouse Pro」を含め、お客様のニーズにあわせた製品をご提案できるよう営業活動を行っていますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。

――ありがとうございました。