インタビュー
えっ、昔は電話回線だったの!? スマホが便利に使えるのはインターネットのおかげ
そして未来はどうなる――モバイルの進化について「Internet Week 2025」で語り合おう
2025年11月10日 06:55
インターネット技術を語るイベント「Internet Week 2025」において11月27日、「電話からデータへ、そして未来へ:モバイルネットワークとインターネットの歩みと挑戦」と題した講演プログラムが予定されている。携帯キャリアの研究開発やアカデミアにおける最新の取り組みを紹介し、次世代のモバイルネットワークアーキテクチャの方向性を共有するという。同プログラムの企画を担当した、Internet Week 2025プログラム委員会副委員長の石原匠さん(WIDEプロジェクト)に話を伺った
- 11月27日(木)10:00~11:30
電話からデータへ、そして未来へ:モバイルネットワークとインターネットの歩みと挑戦
「モバイル」と「インターネット」は別々のもの?
――このプログラムを企画した背景や狙いを教えてください。
モバイルネットワークは回線交換から始まり、信頼性を第一に進化してきました。一方で、インターネットはパケット交換のベストエフォート型で急速に広がってきました。この2つの歴史はしばらく交わらずに進化してきたようにも見えますが、今やモバイルはIPベースに移行し、インターネットと不可分の関係になっています。
現在進行している5G SAや、次の6G構想では、通信インフラとインターネットの境界はさらに曖昧になります。こうした時代の変化の中で、モバイルとインターネットそれぞれの文脈を持つ技術者が、過去・現在・未来を見通しながら相互理解を深める場を作りたいという思いから、本プログラムを企画しました。
――講演者を選ぶ際に、どのような点を重視されましたか?
各キャリアにおける研究開発の最前線に携わる方々と、モバイルネットワークを技術的に俯瞰するアカデミアの方を中心にお招きしました。特に、5G以降のアーキテクチャやネットワークの将来像を構想している立場でありながら、それを実装・実現に向けて動かしている方々です。単なる夢や理想論ではなく、実務レベルでの課題や挑戦、研究としての視座を持ち寄ることで、多角的かつリアルな議論ができることを重視しました。
――プログラムの中で、特に注目してほしいポイント・見どころは?
本プログラムの見どころは「歴史から未来へ」というストーリー性です。回線交換から始まったモバイル通信が、いかにしてインターネットと融合し、今後どのような姿へと変化していくのかを、各登壇者がそれぞれの立場で語ります。特に、6Gや将来インフラにおけるネットワーク構成、制御のあり方は、従来の「モバイル」や「インターネット」の枠にとどまらない問いを投げ掛けてくれるはずです。技術者に限らず、社会インフラとしての通信に関心がある方にも注目していただきたい内容です。
――Internet Weekの今年のテーマ「挑戦×経験×世代 ~フルスタックで“不確実”の先へ」にはどのようにリンクしていますか?
「フルスタック」という言葉が象徴するように、通信インフラは物理層からサービス層までが一体となって変化しています。本プログラムでは、プロトコル設計、ネットワーク制御、トラフィック設計、社会インフラ化といった多層的な話題が登場し、まさにフルスタックな視点で次世代通信を語ります。
また、キャリアの中で技術継承や世代交代が進む中で、若手研究者とベテランが同じ未来を語る構成も、本テーマに重なります。「経験」に基づいたリアルな視点と、「挑戦」への志向を世代を超えて共有できるプログラムです。
――このプログラムは、どんな方に特にお勧めですか?
モバイルネットワークや6Gの研究開発に携わる方はもちろん、インターネットの設計や運用に関わる方にもぜひ聞いていただきたいです。これまでモバイルとインターネットを別々に見てきた方こそ、新たな視点が得られると思います。
また、将来の通信インフラに関心のある学生や若手技術者にとっても、過去の文脈を知り、これからの方向性を見定める良い機会になるはずです。専門用語が多い領域ではありますが、ストーリー性を重視しており、“詳しくない方”でも楽しめる構成になっています。
――このプログラムを通じて、どんな変化や対話が生まれるといいと思いますか?
「モバイルの未来はインターネットの未来でもある」という認識が広がることを期待しています。技術の融合が進む中で、これまで別の領域として動いてきたエンジニア同士が、それぞれの視点を持ち寄りながら、次の社会インフラを一緒に考える――そんな対話のきっかけになればうれしいです。
また、登壇者同士、そして聴講者とのあいだで、研究・実装・運用のギャップを埋める対話が生まれることで、今後の協働やアイデアの種が育っていく場になることを願っています。
――最後に、参加を検討している方へのメッセージをお願いします。
通信の未来は、一部の専門家だけで語られるものではありません。誰もが使うインフラだからこそ、多くの視点から語られるべきだと私たちは考えています。モバイルやインターネットの技術史を振り返りつつ、6Gという次の地平線を一緒に見に行きましょう。
専門性の有無に関わらず、通信や社会インフラに関心がある方は大歓迎です。ぜひ気軽に足を運んで、未来を一緒に描いてください。
――ありがとうございました。
「Internet Week」は、一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が主催する、インターネットの技術や最新動向を語るイベント。29回目となる今年は「挑戦×経験×世代 ~フルスタックで“不確実”の先へ」をテーマに開催される。
11月18日~20日が「オンラインWeek」としてオンライン配信、11月25日~27日が「カンファレンスWeek」としてKFC Hall & Rooms(東京都墨田区横網1-6-1)でのリアル開催となっており、基本料金1万6500円で全てのプログラムに参加可能(懇親会を除く)。参加申し込みは、同イベントの公式サイトで受け付けている。
なお、30歳以下の学生は基本料金が無料。また、今年初めてInternet Weekに参加する人を対象に、オンラインWeekの全プログラムとカンファレンスWeekの1つのプログラムに参加できる、4950円のお試し料金も設定されている。
INTERNET Watchでこれまで掲載したInternet Week関連記事のバックナンバー(2009年以降)は、下記ページにまとめている。



