ニュース

シマンテック、Android/iOS向けVPNアプリ「ノートンWi-Fiプライバシー」を提供

 株式会社シマンテックは13日、Android/iOS向けのVPNアプリ「ノートンWiFiプライバシー」の提供開始に合わせ、いわゆる“フリーWi-Fi”の危険性についての記者説明会を行った。

 ノートンWiFiプライバシーの料金は年額29.99ドルで、データ通信量の制限はない。国内では現在、Android版が3280円、iOSが年額3600円となる。Androidは7日間、iOSは30日間以内に解約すれば、無償で試用できる。

初回接続時には注意の画面が表示される
右下の電源ボタンのようなアイコンでVPN接続の有効/無効を切り替えられる
フリーWi-Fiスポットへの接続時に自動的にVPN接続を行うようにも設定できる

 VPN接続時は通知領域に「VPN」と表示される。アプリの設定では、接続先地域を14カ国から選択できるため、国内でのみ提供されているサービスを国外から利用したり、国外でないと利用できないサービスを国内から利用することも可能となる。また、位置情報や個人情報に応じた内容を表示する広告トラッカーをブロックする機能も備える。

 通信にVPNを使用していなくても、SSL化されているウェブサイトであれば、ブラウザーで閲覧している際に通信が暗号化されるため安全と言える。しかし、シマンテックでは、「ノートンモバイルセキュリティ」の機能である「モバイルインサイト」でSSL通信に関するサンプリングテストを行ったところ、約8割のアプリがSSL対応をしていないという。

 ノートンWiFiプライバシーは、主にWi-Fi接続時の利用が想定されているが、携帯電話キャリアのネットワーク接続時にも利用が可能。また、Bluetoothテザリングなどを用いてPCを接続した場合にも無効化されないとのことだ。

VPN接続時の地域は14カ国から選択できる
広告トラッカーをブロックする機能も備える
Androidでは、VPN接続時に鍵型のアイコンを画面左上に表示される

 IPAが行った公衆無線LANに関する調査では、フリーWi-Fiを使っている国内ユーザーは28.7%に上り、2014年調査の8.8%から大幅に増加している。また、総務省の調査では、観光先に限れば、日本人の78.5%が利用しているという。

 しかし、その安全性について理解しているのは、わずかだ。シマンテックの古谷尋氏(ノートン事業統括本部マーケティング部)のは、フリーWi-Fiの危険性として、「第三者に情報を盗み見られる」「なりすまし」「悪意のアクセスポイント」の3つを挙げた。例えば、フリーWi-Fiのアクセスポイント名は公開されていることから、同じSSIDを設定しておくことでユーザーに接続させ、データを盗み取り、入手した情報をもとにユーザーになりすましてサービスにログインしたり、情報を悪用したりといった手口が一般的だ。

株式会社シマンテックの古谷尋氏(ノートン事業統括本部マーケティング部)

 記者説明会では、カフェや空港、公共交通機関の駅などで無料で使えるフリーWi-Fiスポットの利用について、1カ国あたり1000人強を対象に9カ国で実施したオンライン調査「ノートンWi-Fiリスクレポート」の内容も解説された。

 調査によれば、フリーWi-Fiを使ったことがある人は国内ユーザーの75%。接続端末はスマートフォンが72%と多い。また、全体の28%のユーザーが、フリーWi-Fiで個人メールを使って情報をやりとりした経験があるという。SNSも23%のユーザーが利用しており、フリーWi-Fi接続時に個人情報をやりとりしているのが現状だという。

 また、国内ユーザーの37%が、フリーWi-Fiは安全だと信じているという。一方、安全でないと回答しているのは63%。これらの数値は、世界平均と比べると、まだ安全志向が高いと言える結果ではある。

 しかし、国内ユーザーのうち、フリーWi-Fiスポットが安全かどうかを区別できるのは9%、区別できないとしているのは55%となっている。これらの数値は世界平均と比べて前者は低く、後者は高い。つまり、安全とは言えない結果となっている。

 また、フリーWi-Fiスポットに接続する際に情報を保護する方法についても、SSL通信の利用が21%、VPN接続が20%と、まだまだ理解が広まっていないのが現状だ。空港やホテルなどの公共機関の提供するWi-Fiスポットを使えば安全と考えているユーザーや、Wi-Fiアクセスポイントにパスワードを使用して接続すれば安全と考えるユーザーもいたそうだ。

 VPN自体の認知度についても55%が知らないと回答しており、古谷氏は「調査がオンラインを用いたものであることを考えると、日本人の大半はVPNがどういったものかすら理解していない」との見方を示した。

 VPNを使っているユーザーは、日本がカナダと並んで14%と最低。利用しない理由としては、使用方法が分からない(36%)、購入先や導入先がわからない(22%)といったもののほか、不便(15%)、不要(17%)、高価(16%)といった声もある。

 フリーWi-Fiを安全に使う対策として、第三者に知られては困る情報のやりとりをしないこと、知らないアクセスポイントには接続しないこと、HTTPSかどうかを確認の上で接続して通信を傍受されないようにするほか、VPNを使用することが重要とした。

 説明会では、会場をカフェに見立てて、iPhoneでフリーWi-Fiスポットに接続するデモも行われ、フリーWi-Fiの危険性を喚起した。

デモを担当したSymantecのニック・サヴィデス氏(太平洋地域担当サイバーセキュリティ戦略マネージャー)
Wi-Fiスポットに接続したiPhoneがウェブブラウジングしたログを表示している様子
iPhoneでHTMLメールを表示したときに通信が暗号化されていても、リンク先の画像をダウンロードする通信は暗号化されていない。これを傍受して別端末で表示している
iPhoneでHTMLメールを表示している様子
iPhoneで「Bing.com」を表示する際の通信に割り込み、ほかのウェブサイトを表示させている様子
iPhoneでノートンWi-Fiプライバシーを利用してVPN接続すると、画面右上に「VPN」の文字が表示される