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二次元キャラがナビゲート、IoTとプログラミングを学習できる中高生向け授業、IBMと企業教育研究会が実施

 日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)と特定非営利活動法人企業教育研究会は14日、IoTを題材とした中高生向けの授業プログラムを開発したと発表した。各50分×2回の授業で構成され、IBMのクラウドプラットフォーム「Bluemix」を利用したアプリ開発や、IoTを活用したサービスのアイデア出しを行う内容。

 IBMと企業教育研究会は、2014年11月にビッグデータを題材にした統計授業「数学が分かると未来が見える?!」を手がけており、これまで15校以上の中学校向けに授業を提供している。今回は第2弾として、高校生まで対象学年を広げたプログラミング授業を実施する。

 授業の進行役としてPC画面上で動作する仮想キャラクター「アイコ」を採用した。アイコを採用した理由として、エンターテインメントの重要性を挙げる。アイコは授業の進行だけでなく、黒板消しに入れた加速度センサーの動きや、マイクを使った音声入力に反応を返すようになっており、生徒の興味を引きつける役割を持つ。このように、キャラクターを介してIoTの基本的な概念やクラウド経由の情報処理などの技術について体験的に学べるようにしている。

IoTの基本的概念やクラウド経由による情報処理など、目には見えず、実感しずらい技術について学ぶ
設計図の指示に基づいてアプリ開発、動作確認を行う

 IoTの基礎について学んだ後は、センサーに備えられている検知機能(温度、揺れ、傾き、光、圧力、ボタン)とBluemix上のIoT開発環境「Node-RED」を用いてアプリ開発を行う。アプリは画面上の各タグ同士をつなぎ合わせることで簡単にプログラミングができるようになっている。これにより、例えば「表面の温度が一定を超えるものに近づくとメールを送信する」といったプログラムを組むことができる。

記者発表会では実際に授業の導入部分のデモを披露。「アイコ」がナビゲート役として授業を進行していく
キャラクターの制作や声の収録に関しては、企業教育研究会のメンバーが担当
加速度センサーを黒板消しに入れた状態。黒板消しを振ると「アイコ」が手を振り返してくれた
「Node-RED」の動作画面。タグ同士をつなぎ合わせてプログラミングを組んでいく

 授業の後半では、どのような“モノ”をIoT化し、どのようなサービスにつなげるか、班ごとに考えて発表する。そこで得られたアイデアを日本IBMの講師が講評し、同社の事例をもとに解説する流れとなる。

 アプリ開発、アイデア出しは生徒ごとに得意・不得意が出てくるが、この授業プログラムでは、それぞれが得意とする分野でコラボレーションすることに意義を見出す。また、ITを使ったサービスの実現が簡単になっていることに気付かせることも目的になっているようだ。

 7月に都内の高校生40名を対象に実施した授業の評価は概ね好評で、アプリ開発の心理的な敷居が下がったという意見が見られたという。また、キャラクターを採用することにより、授業への関心も高まっていることが見受けられたそうだ。

 企業教育研究会理事長の藤川大祐氏は、「プログラミング思考を小学生の段階から身に付けることも必要だが、今あるいは近未来を学べるようなプログラムをスポット的に実施する必要もあると思う。今後も自社の機動力を活かし、企業の協力をもらい、新たな授業プログラムを作ることが必要ではないかと考えている」と述べ、学校が単独では行いにくい内容の授業プログラムを引き続き制作していくことをアピールした。

授業を実施した学校でのアンケート結果。簡単にアプリ開発ができることに驚いた生徒もいるようだ
演習で使われるシート
特定非営利活動法人企業教育研究会理事長の藤川大祐氏