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英文特許の自動翻訳サービス、セキュアなクラウドサービスとして提供

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、株式会社みらい翻訳、日本特許翻訳株式会社(NPAT)、一般社団法人化学情報協会(JAICI)の4社が、高精度でセキュアな英文特許自動翻訳サービスを開発した。みらい翻訳とNPATでは、米国特許公報、欧州特許公報、国際出願公報の英日自動翻訳サービスを4月から提供する。

 英文特許自動翻訳サービスでは、NICTが開発した高精度な英日特許自動翻訳エンジンに対し、NPATが開発した「MT Plus技術」によって特許特有の文体を解析し、翻訳精度と読みやすさを向上させる前処理と後処理を行うことで、訳抜けや、構成要素間の記述の前後、請求項における主題への構成要素の記述の混入を解消している。

 NICTでは、従来のNICT英日特許自動翻訳エンジンのアルゴリズムを改良するとともに、従来比10倍超となる3.5億文の日英特許対訳データを構築し、自動翻訳エンジンの精度を大幅に向上したという。

 さらに、MT Plus技術とJAICIの化合物表記翻訳システムを連携することで、主に医薬・化学分野での文献や物質検索、特許調査などに必須となる化合物表記の厳密な翻訳を可能にした。

 また、米国特許商標庁や欧州特許庁などの外国公報XMLに準拠することで、表や数式、図を含む外国公報全体を正確に翻訳できるとのこと。

 サービスの提供には、みらい翻訳がサポートする翻訳サーバーを用いる。会員から送信された特許公報番号の翻訳結果のダウンロードリンクをメールで提供し、サーバーはフロア全体が自社データセンターとなっているデータセンターに設置し、企業の重要機密情報である特許調査・特許出願に関する情報を対象とするセキュアなクラウドサービスとしての提供を行う。

 サービス提供の背景には、海外で増加している特許の侵害・訴訟リスクに対し、外国の特許文献の検索や内容把握が不可欠となっている現状がある。このため、海外の特許文献に対する自動翻訳ニーズが高まっているが、専門用語の訳語を正確に選択する必要がある上、翻訳対象の特許原文が漏えいしないように保護することも求められるという。

 なお、みらい翻訳では、翻訳機能の一部が試用できる「お試し翻訳」に特許向け翻訳エンジンを追加している。250文字までの文章を対象とした日本語、英語、中国語の相互翻訳が可能。