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落とし物を検知するフリーWi-Fiを世の中に拡大、「MAMORIO Spot Wi-Fi」提供開始
酔って置き忘れた財布が居酒屋にあることなど把握可能に
2019年1月30日 19:00
Fi(ファイ)株式会社は、落とし物や忘れ物を検知する機能を備えた無線LAN(Wi-Fi)アクセスポイント「MAMORIO Spot Wi-Fi」を提供開始した。店舗などに設置することで、来店者向けのフリーWi-Fiサービスを運用できると同時に、MAMORIO株式会社が販売する紛失防止IoTデバイス「MAMORIO」を検知するスポットとしても機能する仕組みだ。
紛失防止IoTデバイス「MAMORIO」とは?
MAMORIOは、iBeaconに準拠した重さ2.4~3.4gの小型タグ(シールタイプもある)。例えば財布の中に入れておけば、財布を置いたまま外出しようとした際に、手元から離れたことをスマートフォンに通知してくれる。さらに、どこかで落としてしまった場合には、MAMORIOのタグから発信される電波をキャッチして、その場所を特定できるようにするサービスも提供している。単体のタグのほか、これを組み込んだ手袋や自動車のキーなどもある。
また、紛失防止用途だけでなく、同じく仕組みを認知症の人のための外出支援ツール「Me-MAMORIO」としたサービスもあるほか、子どもの見守り、ペットの迷子対策、自転車の盗難対策など、さまざまな社会課題の解決にも活用できるとしている。
ただし、MAMORIOの通信はBLE(Bluetooth Low Energy)4.0方式のため、常に電波を発信しながら電池が8カ月~1年程度持続する一方で、電波の到達距離は最大で30~60メートルにとどまる。そのため、MAMORIOからの電波をキャッチするための“アンテナ”が街中に多く存在しないと機能しないという面がある。
ユーザーみんなで探す“クラウドトラッキング”の手法
このアンテナを増やすための仕組みが、MAMORIOの各ユーザーが持ち歩いているスマートフォンをアンテナとして機能させる“クラウドトラッキング”というやり方だ。ユーザーがインストールするMAMORIO公式アプリや、MAMORIO SDKが組み込まれた一部アプリには、MAMORIOのアンテナとなる機能が搭載されている。すなわち、ユーザーの誰かが落としたタグの近くに、たまたま別のユーザーのスマートフォンが接近すれば、タグからの電波をキャッチしてその位置情報サーバーに送信するようになっているのだ。
MAMORIOによると、タグは国内ですでに数十万個の出荷実績があるという。今後さらにユーザーが増えれば、街中を行き交うMAMORIOユーザーのスマートフォン=MAMORIOのアンテナも増えるというわけだ。
駅の遺失物センターも「MAMORIO」対応が進む
MAMORIOのアンテナは、クラウドトラッキングによるものだけではない。効率的にタグを検知できる場所として、落とし物・忘れ物が集まる遺失物センターなどに専用アンテナ「MAMORIO Spot」を設置する取り組みも進められてる。現在、鉄道18社・174路線、バス5社・463系統、商業施設13社・29カ所に設置済みだという。MAMORIOタグが付いた落とし物が届くと、自動的に持ち主に情報が送信されるようになっており、落とし物の早期発見につながる。
このMAMORIO Spotの設置場所のバリエーションを増やし、落とし物の位置情報を確実に把握できるようにすることを狙った製品が、今回、Fiが提供を開始したMAMORIO Spot Wi-Fiだ。
落とし物を検知してあげれば、お店にもメリットが?
Fiでは、クラウド制御が可能なWi-Fiアクセスポイント「wiffy(ウィフィー)」などのソリューションを提供している。wiffyのWi-FiアクセスポイントにMAMORIO Spotの機能を組み込んだのが、MAMORIO Spot Wi-Fiだ。利用料金は月額1980円(税別)で、このほかに機器費用(初期設置費用含む)が必要だ。最低利用期間は12カ月。
コンビニエンスストアでは、年間数十万点もの落とし物が届けられるという。また、アルコール類を提供する飲食店などでも忘れ物が頻繁に発生しており、こうした店舗においてMAMORIO Spotを設置するメリットがあると、MAMORIOでは説明している。来店者へのサービスの付加価値向上が図れるほか、地域の見守りサービスなどに協力することもできるため、地域社会への貢献も謳うことが可能だとしている。
MAMORIO Spot Wi-Fiは、インバウンドなどでニーズが高まっている高品質なフリーWi-Fiを来店者に提供すると同時に、店舗側にもメリットのあるMAMORIO Spotを、専用アンテナの設置コスト不要で導入できる製品となる。Fiでは、年間5000台、2020年中に1万台を設置目標としている。