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「白馬村でテレワークしたら延泊代金30%割引」といった先例も――長野県が“ワーケーション”誘致へ

今年度は「信州リゾートテレワーク」モデル地域が7市町村に拡大

 長野県は「信州リゾートテレワーク」公式サイトをリニューアルし、今年度のモデル地域となる7市町村の情報掲載などを開始した。また、7月18日には、一般社団法人テレワーク協会および和歌山県と共同で「ワーケーション全国フォーラム」を東京都内で開催し、ワーケーションを全国に展開していくための自治体間連合の設立に向けた宣言を行うことも発表した。

 「信州リゾートテレワーク」とは、長野県内のリゾート地やコワーキングスペースなどで仕事をしながら、バケーションも楽しむライフスタイルとして県が推進している取り組み。昨年度は茅野市、軽井沢町、白馬村をモデル地域として実施した。今年度は、この3市町村に加えて、佐久市、駒ケ根市、山ノ内町、信濃町の計7市町村をモデル地域として実施する。

 この事業では、首都圏など県外の企業が“ワーケーション”(ワーク+バケーションの造語)に活用できる施設の設備や、その受け入れ体制を各自治体が整備するのを県の予算でサポート。各自治体がそれぞれ取り組みを展開し、つながりのある企業や団体を通じて、県外の企業のワーケーション誘致を図る。

 昨年度は、例えば、企業内のプロジェクトチームがコワーキングスペースで仕事・会議を行う一方で、そのあとに観光したり地域ならではのアクティビティを体験し、夜はペンションなどに宿泊するといったリゾートテレワークの体験イベントなどが行われた。普段のオフィスとは異なる環境でリフレッシュすることでモチベーションを高めたり、チームの結束を強くするといった効果が期待できるという。

 また、白馬村では、企業・部署単位ではなく、フリーランスや個人事業主、会社員個人が活用できる宿泊費の割引プランが、村内の一部の宿泊施設で用意された。これは、自費による個人旅行の際に、1泊をプラスして「ヤフー白馬ベース」でテレワークすることで、延泊分の宿泊費が30%割引になるというものだ。さらに、そのときのリゾートテレワークの体験レポートを作成し、自身のSNSなどで発信すれば1万円が支払われた。

 この割引プランが提供されたのは、スキー/スノーボードのシーズンでもある今年2月の1カ月間。通常の旅行であれば、最終日はスキー/スノーボードを半日だけ楽しんで帰途につくところが、この制度を活用すれば、最終日も丸一日滑れる上に、休日の交通機関の混雑や渋滞を避けて余裕を持って帰宅できるといったメリットがあるとしている。

 なお、今年度に各自治体が行う具体的な取り組みについては、順次、発表される見込み。信州リゾートテレワークの公式サイトでは、各自治体の公式サイトや代表的なテレワーク施設(信濃町の「信濃町ノマドワークセンター」、白馬村の「白馬ノルウェービレッジ」、茅野市の「ワークラボ八ヶ岳」など)や県内各地域にあるコワーキングスペースへのリンクを掲載するとともに、信州リゾートテレワークやワーケーションに関するイベントの告知も行っている。

 7月18日に大手町プレイス(東京都千代田区)で開催される「ワーケーション全国フォーラム」では、阿部守一長野県知事、仁坂吉伸和歌山県知事が「ワーケーション全国自治体協議会」の設立に向けた「ワーケーション・スタートアップ宣言」に署名する。現在、長野県内の16市町村と、全国の22の自治体が設立に賛同しているという。

 フォーラムではそのほか、協力自治体の取り組み事例の紹介や、ワーケーションを取り入れている日本航空などの企業による講演もある。フォーラムへの参加は事前登録制(無料)で、ウェブサイトで申し込みを受け付けている。ワーケーションに関心のある自治体・企業から約300人が出席する見込みだ。