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渋谷駅前に230mの開放式展望台! 渋谷の再開発、最新情報を東急グループが説明

 東京急行電鉄と東急不動産は東急グループが推進している渋谷駅周辺の再開発プロジェクトについて、その進捗についての説明会を開催した。

渋谷スクランブルスクエア 東棟
渋谷フクラス

 同説明会の第1部は、今年開業予定の「渋谷スクランブルスクエア第I期(東棟)」「渋谷フクラス」「渋谷駅周辺のエリアマネジメント」「渋谷二丁目17地区」などをテーマに、各プロジェクトの現況などが説明された。

 同説明会の第2部では「渋谷のまちづくりの経緯とまちの変化について」と題し、渋谷の再開発について広く説明された。順番は前後するが、まず第2部をベースに、渋谷再開発の全体概要を簡単にご紹介する。

 渋谷駅周辺は戦前から鉄道各社がさまざまなタイミングで開発したこともあり、かなり複雑化していて、さまざまな課題を抱えている。大雑把に言うと、それらの課題を解決するべく上位計画として「渋谷駅中心地区まちづくり指針2010」が策定され、それを元にさまざまな再開発プロジェクトが立ち上がった。

渋谷が抱える課題。谷という地形やJRと川、国道246号による東西南北の分断、各事業者が長期にわたり別々に開発したことなどにより、駅周辺は複雑化し、ゾーン間の移動が困難になっている
渋谷区が策定した指針。ヒカリエはこの指針の前に、副都心線や東横線地下化と並行して建設されている
上位計画と東急グループの開発。古くから渋谷の街作りをしてきた東急ならではの取り組みでもある

 東急グループが携わる再開発計画をピックアップすると、2012年4月に東側駅前に開業した「渋谷ヒカリエ」、2017年4月に駅の北東少し離れたところに開業した複合施設「渋谷キャスト」、2018年9月開業の複合施設「渋谷ストリーム」とホテルやカフェ、保育園の入る「渋谷ブリッジ」、2019年3月竣工に道玄坂の上に竣工したオフィスビル「渋谷ソラスタ」がある。さらに2019年10月には「渋谷フクラス」の竣工、2019年11月に「渋谷スクランブルスクエア 東棟」の開業を控えている(この2つの詳細は後述)。その後は2023年に駅南西部に「渋谷駅桜丘口地区」が竣工し、2027年までに「渋谷スクランブルスクエア」の東棟と中央棟が竣工を予定している。

渋谷駅周辺の再開発計画(東急電鉄のホームページより)

 以上は東急グループが携わっている再開発プロジェクトで、このほかにも渋谷パルコの建て替え、ドンキホーテ旧渋谷店周辺の再開発、渋谷区新庁舎の建設、宮下公園の再開発、JR渋谷駅の埼京線ホーム移動、地下鉄銀座線ホーム移動、駅周辺の地下や跨道橋の再整備などなど、渋谷の街並みに影響のあるようなさまざまな再開発プロジェクトが進行している。

 今回の説明会では東急グループが携わるプロジェクトのうち、最近動きのあったプロジェクトについて説明が行なわれた

渋谷で最も高い展望台(230m)もオープンする「渋谷スクランブルスクエア 東棟」

駅前に建設中の渋谷スクランブルスクエア 東棟。やや左奥が渋谷ストリームで、左上に見切れているのが渋谷ヒカリエ

 「渋谷スクランブルスクエア第I期(東棟)」は現在、渋谷駅東側に建設中の、地上46階・高さ約230mの超高層ビルだ。渋谷ヒカリエの向かい側にそびえ立つ、現在の渋谷でもっとも高い建造物である。こちらは2019年11月1日に開業予定で、工事はもう最終段階にある。すでにヒカリエからスクランブルスクエアをつなぐ跨道橋や地下鉄改札からJR中央改札の高さまでを上下につなぐ「アーバンコア」は稼働している。

 スクランブルスクエアの東棟は、中層から高層までがオフィスフロアとなり、低層は商業施設、最上階には展望施設「SHIBUYA SKY」が入る。ちなみにオフィスフロアにはサイバーエージェントやミクシィ、エクスコムグローバルなどが入居する予定だ(いずれも渋谷近隣からの移転もしくは増床)。オフィスシェアリングのWeWorkもスクランブルスクエア内にコワーキングスペースを開業する。

スクランブルスクエア最上階と屋上に作られる展望施設SHIBUYA SKY

 今回の説明会では、最上階の展望施設、SHIBUYA SKY支配人の新屋潤氏が同展望施設の概要を説明した。

 SHIBUYA SKYは有料制の展望台だ。一般料金はWeb前売りで1800円、当日券が2000円となる。目玉となるのは地上からの高さ約230mとなる屋上階。屋上階にはその下の階から開放階段で上る形式とすることで、屋上建屋が最小限となっていて、全方位が見渡せるようになっている。

 これまでの渋谷駅周辺で最も高かったのはヒカリエの高さ約182mなので、SHIBUYA SKYからは視界を遮るものがほとんどない、広い東京の眺望が見渡せる。ほぼ真下にスクランブル交差点を見下ろすことができる「SKY EDGE」や寝そべることのできるハンモックも設置され、夜間は18台のサーチライトによる演出も行なわれる。屋上のすぐ下の階層も展望フロアとなっていて、バーラウンジも設置される。

 SHIBUYA SKYは11月1日、スクランブルスクエア東棟の開業と同時にオープンするが、11月の入場チケットはすべてWeb予約に限定されるという。予約は9月1日の午前10時から開始予定なので、いち早く渋谷の眺望を楽しみたい人は、同予約サイトでF5キーを連打する準備をしておこう。

SKY EDGE。想像するだけでタマヒュンな風景が広がっていそうだ
CLOUD HAMMOCK。天気の良い日は奪い合いになりそう

観光・交通拠点としての機能を持つ「渋谷フクラス」

建設中の渋谷フクラス。

 「渋谷フクラス」は渋谷駅西側のバス乗り場前に建設中の商業施設だ。こちらは地上18階・高さ103mと渋谷駅周辺の再開発プロジェクトの中では小ぶりだが、かつて同じ場所にあった東急プラザ渋谷(地上9階)よりはだいぶ大きくなる。渋谷フクラスは2019年10月に竣工予定で、すでに工事は最終段階に入っている。

 旧東急プラザ 渋谷は全フロアが商業施設だったが、渋谷フクラスは8階までの低層が新しい東急プラザとなり、8階より上はオフィス、さらに17階と18階が商業施設となる。オフィスフロアにはGMOインターネットが入居することがすでに決まっているという。ちなみにGMOインターネットは現在、渋谷フクラスの目の前のセルリアンタワーに入っているので、わりと近距離のお引っ越しとも言える。

 このほかにも渋谷フクラスの17階には、東急不動産の会員制シェアオフィス、「ビジネスエアポート」が2019年12月に開業する。ビジネスエアポートは東京各地に新規オープンが続いていて、渋谷フクラスは5月の渋谷ソラスタ、9月の東京日本橋に続く、10拠点目となる。

 渋谷フクラスのビジネスエアポートは、見晴らしの良い最上層に位置し、専用の屋外テラスも設置されるとのことで、駅前という交通利便性だけでなく、開放感も特徴的なシェアオフィスになるようだ。シャワーブースも設置されるとのことで、移動が多いビジネスパーソンにも最適となっている。

渋谷フクラスのフロア構成
ビジネスエアポート渋谷フクラス

 さらに渋谷フクラスの地上階には、空港リムジンバスも停車するバスターミナルが新設される。渋谷駅の高速バスや空港リムジンバスというと、現在はセルリアンタワーやエクセルホテル(渋谷マークシティ)に停車している。マークシティは渋谷駅直結のビルではあるが、ややわかりにくい場所にあり、駅前から見ると地上5階と高いため(バスは道玄坂の上から入ってくる)、大きな荷物を持っていると移動しにくい場所でもある。それが駅前、JR渋谷駅の南口すぐのところにバスターミナルができることで、空港へのアクセスが改善されると見込まれている。

 こうした空港アクセスの改善に合わせ、バスターミナルの目の前には、渋谷の観光支援施設「shibuya-san」が開業する。こちらは主に海外からの旅行者をターゲットとした施設で、さまざまな国籍の外国人スタッフが応対し、外国人目線による渋谷の魅力を発信していくという。また、夜間観光の支援として、夜23時まで営業し、アルコールドリンクの提供も行なうという。

 なお、渋谷フクラスに開業する新しい東急プラザ渋谷に入居するテナントは9月11日に発表されるという。東急プラザ渋谷は12月開業予定となっている。

渋谷フクラスの地上階の平面図。観光支援施設とバスターミナルが作られる
観光支援施設の名称とロゴ。shibuya-sanのsanは、日本語の敬称であるところの「さん」だ

公民連携で渋谷駅周辺の街作りを進めるエリアマネジメント

 「エリアマネジメント」とは、特定のエリアを単位とし、民間主体で街作りや地域のマネジメントを行なうという取り組みだ。

 渋谷駅周辺では、駅前の5街区とそれを接続する公共空間を対象としている。道路管理者の国や東京都、渋谷区と民間事業者が連携し、渋谷駅前エリアマネジメント協議会と一般社団法人 渋谷駅前エリアマネジメントが協働でルール作りや街作り事業を行なっている。

渋谷のエリア前の地面との対象地域
エリアマネジメントの役割

 この街作りの一つとして、渋谷駅の地下が整備される。具体的には東口地下広場が設置され、地下からの出口の番号呼称が変更される。

渋谷駅前の基盤整理。完成済み、建設中、計画中含めてかなり多岐にわたる

 東口地下広場は、地下鉄半蔵門線の宮益坂中央改札の南西側、いまは地上への階段がある場所の周辺部に広がっている(現在は壁でのままで広場は見えない)。この改札は地下2階に相当する深さだが、この付近には地下1階の深さに渋谷川(穏田川)の暗渠が流れているため、その暗渠の下をくぐるような形で、広場が作られている。この広場は渋谷区街区土地区画整理事業によって整備されるもので、2019年11月1日より供用を開始する。

渋谷東口地下広場。これはヒカリエ側からJR渋谷駅を眺めた透過図で、右下が半蔵門線宮益坂中央改札。現在は何もない左上にルートが新設される
東口地下広場のイメージ。渋谷川の暗渠があるので、天井が途中で低くなっている

 この広場を通ると、宮益坂中央改札から渋谷スクランブルスクエアの地下1階入り口やJRハチ公口への最短ルートとなる新設B7出口経由に行くことができる。いずれも現状のルートに比べると遠回りや無駄な上下が減るルートとなる。

 また、この広場には観光案内の役割も担うカフェ「UPLIGHT CAFE」がオープンするほか、都営バス定期券販売所兼案内所、多機能トイレ、パウダールームを備えた公衆トイレ、コインロッカー、フリーWi-Fiなども提供される予定となっている。

東口地下広場について
地下広場のUPLIGHT CAFE

地下鉄出入り口の番号が11月から変更に

 工事中でルートがわかりにくくなっている部分は一部改善されるが、それでも渋谷駅の地下は、東京駅や新宿駅ほど複雑・広大ではないにしろ、ダンジョンと例えられるほど複雑化している。そこで、渋谷駅地下における出口番号を改称し、案内誘導サインの改善も行なわれる。

 具体的には渋谷駅はセンター街やハチ公口のある北西部を「A」ゾーンとし、時計回りに北東部を「B」、南東部を「C」、南西部を「D」とゾーン分けをして、出入り口番号を「B7」などのような名称とする。さらに各鉄道・ビル事業者と行政が連携し、案内誘導サインを統一するべくガイドラインも策定する。

地下出入り口番号の変更は11月から。ゾーン分けが覚えるポイントとなる
案内誘導サインの改善

ヒカリエの裏を再開発、新たに始まった「渋谷二丁目17地区」再開発プロジェクト

渋谷二丁目17地区の位置。正直、この周辺に住んでいる・働いている人以外にとっては何もない地域である

 説明会では同日、都から再開発組合の設立認可を受けたばかりの、渋谷二丁目17地区市街地再開発事業についても説明が行なわれた。これはヒカリエの裏側、青山通りに面した1ブロックをまるごと再開発し、大型ビルを建設するというプロジェクトで、2024年度の開業を目指している。

 この一角、中小規模なオフィスばかりでかなり地味なのだが、渋谷駅からヒカリエ内を経由し、渋谷クロスタワーやその周辺地域、さらには青山通りへの動線にもなっている場所だ。その動線を想定し、ヒカリエは表側から裏側に抜けるための広い通路があるのだが、この通路を抜けた先はかなり地味な裏通りで、東側のクロスタワーに抜ける動線も整備されていない。

 渋谷二丁目17地区のプロジェクトは、この動線改善も大きな目的としている。具体的には、ビル内を通り抜けられる通路を作る。さらにヒカリエ3階から同プロジェクトのビル2階に入る跨道橋も用意し、そのまま上下移動なしに青山通りを渡ってクロスタワーに抜けるルートも予定している。

現在、クロスタワーに向かう動線。迂回する上に上下移動が激しい
周囲の道路は裏道っぽい裏道で、とにかく地味

 このほかにも同ブロック内にいくつかの屋外広場、回遊性を高める屋内広場を設置し、裏通り感の強い地味な裏通りを、賑わいのあるエリアにすることも目指す。

施設の概要。地上23階なので、そこそこ大きなビルとなるだが、30階超のヒカリエやクロスタワーには及ばない高さ

 その一方、同ブロックには、低層は商業施設、中層高層はオフィスフロアとなるビルを建設。基準フロアで約1325平方mと、広いオフィスフロアを用意することで、渋谷のオフィス需要に応えていくという。