ニュース
渋谷駅が乗り換えしやすく、ホーム移設などの改良工事で
渋谷駅周辺の大規模再開発、いつ・どこが・どう変わるのか<2>
2019年10月24日 07:00
渋谷駅周辺は現在、大規模な再開発計画が複数箇所で進行中だが、渋谷駅自体も大きく変わろうとしている。新しい鉄道が乗り入れるとかではないが、ホーム移動などにより、駅の乗り換えアクセスなどが改善される。
渋谷駅は多数の鉄道が乗り入れていて、乗り換え利用者も多い都内でも有数のターミナル駅だ。渋谷に用事がないという人も、通勤通学で乗り換えをする、という人は少なくないことと思う。そうした乗り換えだけの人にとっても、駅の改良工事は大きく影響する。本記事ではそうした渋谷駅自体の改良について解説したい。
渋谷駅はJRと銀座線のホーム移動でさらに使いやすく
渋谷駅はJRは山手線と埼京線、湘南新宿ライン、成田エクスプレス、私鉄は京王井の頭線と東急田園都市線、東急東横線、地下鉄は銀座線と半蔵門線、副都心線と、多数の鉄道が乗り入れている。
鉄道駅としての渋谷駅も、再開発で大きく変化しつつある。まず今世紀に入ってからは、2008年に地下鉄副都心線が開業し、2013年には東急東横線が副都心線乗り入れになるかたちで地下化した。これだけでも渋谷駅はかなり変わったのだが、さらに駅の利便性、特に乗り換えアクセスを改善するべく、現在、地下鉄銀座線とJR各線のホーム移設工事が進められている。
銀座線は地下鉄だが、渋谷駅の手前、宮益坂の途中から線路が地上に出ていて、渋谷駅のホームはJR渋谷駅の直上(地上3階)にあり、乗降が別ホームの対面式になっていることもあって、アクセスにややクセがある。
そこで現在行われている改良工事では、ホームを明治通り直上まで青山方向(東)に移動しつつ、広い島式ホームにする。島式ホームの西側は階段なしに地上3階の通路に通じていて、ほかの鉄道への乗り換えアクセスが格段に向上する。さらにホームが広くなることで混雑が緩和され、将来的にはホームドアも作られるという。この新しいホームは2020年1月より供用開始予定だ。
JR渋谷駅には現在、山手線の内回りと外回りそれぞれの単式ホーム、さらに埼京線・湘南新宿ライン・成田エクスプレス兼用のホーム、合計3つのホームがある。再開発ではまず埼京線のホームを北に移動させて、その後、山手線の2つのホームを島式ホーム1つに統合する。
埼京線のホームは現在、山手線ホームから見ると恵比寿方向(南)にかなり離れた位置にある。このホーム、中央改札と新南口改札からしか直接行けず、移動には数分かかるなど、アクセスが極端に悪い。このアクセスの悪さを改善するのが、ホーム移設の狙いだ。埼京線の新ホームは2020年に運用開始の予定となっている。
山手線ホームの改良工事は、埼京線のホーム移動、直上にある銀座線のホーム移動などのあとに行われる。工事は山手線を運休させず、少しずつ行なわれる上に、JR渋谷駅直上にある廃止予定の埼京線ホームへの連絡通路や銀座線渋谷駅などの撤去も行わないといけないので、山手線ホーム移転はかなり時間がかかると予想される。
また、埼京線ホーム移動により、新南口改札はなくなる。このほかにもJR東日本による改良工事に関するプレスリリースのイメージ図を見ると、各改札口に大きな変更が加わるようだ。ただし、JR渋谷駅のハチ公口・中央口・南口は2027年竣工予定の渋谷スクランブルスクエア第II期(中央棟)の一部なので、JR渋谷駅全体の改良工事の完了は、まだまだ先になると思われる。
空港アクセスの要、リムジンバスと成田エクスプレスの利便性向上
駅前のバスロータリーは東西ともに整備され、さらに渋谷駅西側の地下にはタクシープールが新設される。また、空港リムジンバスの発着ターミナルも、これまでは「地上5階にある渋谷マークシティ(渋谷エクセルホテル東急)のバス乗り場」という、渋谷に詳しくないと分からないような場所にあったのだが、これが駅前の渋谷フクラス内にも作られる。前述の成田エクスプレス兼用ホームの移設も合わせ、渋谷駅の空港アクセスは一気に改善されるわけだ。
ハチ公前のスクランブル交差点から南に向かう道路も、バスロータリーやタクシープールの整備に合わせて若干変更される。この道、国道246号で途切れて南側には桜丘地区の裏道しかなかったのだが、国道246号以南の道も「補助第18号線」として整備されることも予定されている。この道がどのくらい使いやすくなるか未知数だが、現状でもほっそい裏道が恵比寿方面に抜ける貴重なルートとして使われていたりするので、この整備はタクシーなどに影響を及ぼしそうな変更でもある。