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「渋谷ダンジョン」がさらなる立体構造を獲得、高架ルートも増える
渋谷駅周辺の大規模再開発、いつ・どこが・どう変わるのか<3>
2019年10月25日 07:00
渋谷駅周辺の再開発では、ビルや駅といった施設の建て替え・改良工事だけでなく、歩道橋や地下通路など、歩行者動線も整備される。
渋谷駅というと、新宿駅や東京駅ほどではないが、地下通路は複数階層からなる構造で、「ダンジョン」とも形容される分かりにくさを持っている。再開発ではこの地下通路も変わるのだが、その一方で高架ルートも新設・整備されるのもポイントとなっている。
こう書くと、「渋谷ダンジョン」がさらに分かりにくくなってしまう、と思われてしまうかもしれないが、計画図などをざっと見たところ、むしろ現在は遠回りを余儀なくされるルートが改善されるので、分かりやすくなる部分も多そうだ。本記事では渋谷駅周辺の地下・地上・高架の歩行者ルートが再開発でどう変わるか、その概要を解説する。
国道246号を南北に横断するルートが大幅に改善
もともと渋谷駅周辺は南北に渋谷川の暗渠、明治通り、JR(渋谷駅以北は高架だが以南は地上)などが走っていて、地下・地上・高架それぞれで東西の移動ルートを制限している。さらに渋谷駅のすぐ南側には東西に国道246号が通っていて、こちらは南北の移動を阻害している。
こうした制限だらけの歩行者動線を改善するために、再開発では新しいルートを作ったり、既存のルートを改善したりすることになっている。
分かりやすい例は、先行して完成している渋谷駅の南東、明治通りと国道246号の交差点だ。ここには以前から歩道橋があったが、これがデッキと言えるくらい広いものに付け替えられ、渋谷ストリームと渋谷スクランブルスクエアの2階と直接接続した。
さらに以前は国道246号南側に地下鉄出入り口はなかったが、これも同交差点の南西・南東の両方に新設されている。東急東横線の地下化工事が行なわれる際、国道246号より南まで、明治通りの地下が掘られたため、このあたりの地下は大きく開発されることになったようだ。この地下には400台規模の地下駐輪場も新設されている。
渋谷駅の南西部も、同様に歩道橋の付け替えと地下通路の新設が行われる。ここは国道246号の南側において「渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業」が進んでいるのだが、現状は国道246号を横断するアクセスが悪いので、これの改善を目的としている。ここに新しく作られる歩道橋は、現在、完成間近の渋谷フクラス2階に接続するほか、将来的には新しくなるJR渋谷駅や井の頭線改札まで、地上2階の高さでつながるなど、東側同様にデッキと言えるほど広大なものとなるようだ。
こうした高架・地下両面の開発により、地下鉄やJRから上下の移動を最小限にしつつ、国道246号を越えられるようになった。これは南北往来が困難で、国道246号以南があまり賑わっていなかった渋谷駅周辺にとって、画期的なことでもある。
複数新設される高架デッキと地下通路を結ぶ垂直動線「アーバン・コア」
JR渋谷駅(と山手線や埼京線)を東西にまたぐルート、これも地上・高架ともに複数計画されている。特に複数新設されるJRを上から越えるルートは、かなり大きい変化となりそうなのだが、これらの完成はJR渋谷駅の改善工事や渋谷スクランブルスクエア第II期(中央棟・西棟)の時期になりそうだ。一方、東西を横断する地下ルートに関しては、いまのところ現状の半蔵門線ホーム直上の地下通路を大きく変更・追加するような計画はないようだ。
高架・地上・地下と多層において動線が整備される一方で、垂直方向の動線も整備される。分かりやすい例は渋谷ヒカリエのエントランス部だ。こちらは地下3階の副都心線東横線改札から地上4階まで、吹き抜けにエスカレーターとエレベーターを配置した垂直動線が作られている。再開発ではこうした構造の垂直動線を「アーバン・コア」と呼称し、渋谷駅周辺の各所に設置する計画を立てている。
ほかのアーバン・コアとしては、渋谷ストリーム前と渋谷スクランブルスクエア第I期(東棟)の2カ所が運用を開始していて、地下・地上・高架デッキを結んでいる。また、もう20年くらい運用しているが、渋谷マークシティの渋谷駅側にあるエスカレーターも、地上と駅(2階)、マークシティ(3階)の3層を結ぶアーバン・コアと位置付けられる。今後は渋谷フクラス前や渋谷スクランブルスクエア第II期(中央棟・西棟)などにもアーバン・コアが計画されている。
渋谷駅周辺の歩行者ルートの改良では、これまで遠回りが必要だったルートや大変だった垂直方向のルートが改善されることが見込まれる。しかし当分は駅前の再開発が続いていて、そのせいでルートが制限されたり、あるいは頻繁に変更されることも予想される。渋谷で待ち合わせがある人は、なるべく余裕を持って移動することをオススメしたい。