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山口英氏が「インターネットの殿堂」入り、サイバーセキュリティ研究の先駆者

 サイバーセキュリティ研究の先駆者で、一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)初代代表理事なども務めた山口英氏が「インターネットの殿堂」入りした。

山口英氏(2005年5月、NISCの情報セキュリティ補佐官時代に行われた「RSA Conference 2005 Japan」基調講演で)

 インターネットの殿堂(Internet Hall of Fame)は、インターネットの発展と進歩に多大な貢献をした人物を表彰する賞として、Internet Society(ISOC)が2012年より主催しているもの。これまでに103人が殿堂入りしている。今回、ISOCが9月27日付で新たに、山口氏、Adiel Akplogan氏、Kimberly Claffy氏、Douglas Comer氏、Elise Gerich氏、Larry Irving氏、Dan Lynch氏、Jean Armour Polly氏、José Soriano氏、Michael Stanton氏、Klaas Wierenga氏の11人の殿堂入りを発表した。

 山口氏は、1986年に大阪大学基礎工学部情報工学科を卒業。1992年に奈良先端大の情報科学センター助手となり、2000年より情報科学研究科インターネット工学研究室の教授に。日本のインターネット基盤の確立・発展に貢献し、特にセキュリティ分野で指導的役割を担った。

 1996年には、「コンピュータ緊急対応センター(JPCERT/CC)」の設立に関わり、運営委員会委員長に。2003年、名称が変更されて中間法人として設立登記された「JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)」で初代の代表理事に就いた。2004年から2010年まで内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)の初代情報セキュリティ補佐官、2011年から2013年までFIRST(Forum of Incident Response and Security Teams)の理事を務めたほか、一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)では2002年から2016年までの14年間、理事に就いている。2016年5月、逝去。

 JPCERT/CCによると、殿堂入りは、山口氏のサイバーセキュリティに関する研究と教育、世界中のCSIRTが加盟する団体FIRSTへの貢献、アフリカやアジアにおけるCSIRT間連携の強化、WIDEプロジェクトやAI3(Asian Internet Interconnection Initiatives)においての主導的な役割が評価されたものだとしている。

 JPCERT/CC代表理事の菊池浩明氏は、山口氏の殿堂入り発表を受け、以下のようなコメントを発表している。

 「この度の山口英氏のインターネットの殿堂入りという大変な栄誉を心よりうれしく思っております。国際関係の複雑化によりサイバーセキュリティをとりまく状況は日々厳しさを増しています。山口氏が残してくださった、JPCERT/CCという組織への世界中からの信頼を糧に、これからも職員一同、研鑽に努めて参ります。」

 日本からの殿堂入りは、2012年の高橋徹氏、2013年の石田晴久氏、村井純氏、2014年の平原正樹氏、2017年の後藤滋樹氏に続いて6人目。