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世界初、民事訴訟事件手続きのIT化で、争点整理に「Microsoft Teams」採用

知財高裁と13の地裁で運用開始へ

民事訴訟事件の争点整理における「Microsoft Teams」の活用イメージ(日本マイクロソフトの発表資料より)

 最高裁判所が推進する民事訴訟手続きのIT化において、「Office 365」のコラボレーションツール「Microsoft Teams」が採用されたことを、日本マイクロソフト株式会社が9日、発表した。

 2月より、知財高裁と、東京・大阪・名古屋・広島・福岡・仙台・札幌・高松の各地裁の本庁、さらに5月より、横浜・さいたま・千葉・京都・神戸の各地裁の本庁で運用を開始する。なお、東京・大阪の地裁では、民事訴訟事件を取り扱う部のうち一部に限定して運用を開始する予定だが、その他の庁では、民事訴訟事件を取り扱う全ての部で運用を開始する予定だ。

 日本マイクロソフトによると、民事訴訟事件の争点整理にTeamsが活用されるのは世界で初めて。争点整理にTeamsを活用することで、「裁判の関係者は、場所にとらわれることなく、Teams上で資料を同時に閲覧し、表情なども確認しながら争点を確認、議論できるようになる」としている。

 具体的なTeamsの活用例としては、日本マイクロソフトは以下のような項目を挙げている。

  • 裁判所に出頭していない当事者の顔の表情を見ながら争点整理をすることができる
  • Teamsのウェブ会議機能を利用し、訴訟関係者が1カ所に集まることなく、弁護士事務所等からも争点整理に参加できる
  • Teamsの資料共有や同時編集の機能を利用し、裁判所が作成した「争点整理案」の骨子に双方が主張を書き込んで1つの書類を完成させる
  • 争点を整理するための資料や、契約書などの関連資料をTeamsの画面共有を利用して、関係者全員が同じ場所にいるかのように、文書を確認し、争点を確認・議論・協議できる

 また、Teamsを活用することで期待される効果としては、以下のような項目を挙げている。

  • Teamsを利用したウェブ会議を利用することで、移動時間を考慮せずに争点整理手続のための期日が設定でき、結果的に裁判期間の短縮につながる
  • 争点整理手続きのために裁判の関係者が遠方に出張する必要がなくなり、当事者や弁護士の時間、および弁護士の出張や移動時間にかかる費用を節約できる
  • 平成30年に全国の地裁に提訴された民事訴訟(約13万9000件)のうち、4割以上にあたる約6万件で争点整理が実施されていることから、Teamsの利用を契機に争点整理のプラクティスを見直すことで争点整理をより充実したものにすること

 日本マイクロソフトによると、従来より、民事訴訟手続きの争点整理手続きでは、当事者が遠隔地に居住しているなどの理由がある場合は電話会議やテレビ会議システムも利用することができたが、電話会議では当事者や裁判官が互いに表情などを見ることができず、テレビ会議システムを利用する場合も裁判所間でしか接続できないため、訴訟が係属する裁判所に出頭できない当事者も最寄りの裁判所までは出頭しなければならなかったという。また、電話会議やテレビ会議では、裁判官と両当事者が同じ書面や図面の同じ箇所を見ながら協議することも難しかったため、テレビ会議システムなどは、活発に利用されてはいなかったと指摘している。