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「紙の請求書のない世界」に向けて賛同企業&個人署名を募集

ROBOT PAYMENTが「日本の経理をもっと自由に」プロジェクト立ち上げ

株式会社ROBOT PAYMENT代表取締役社長の清久健也氏

 企業向けの請求管理サービスを手掛ける株式会社ROBOT PAYMENTが2日、「日本の経理をもっと自由に」プロジェクトの発足を発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題をきっかけに、経理業務の効率化・電子化の気運を高めるのが狙い。すでに50社がプロジェクトに賛同しているが、これを100社体制へと拡大させ、さらには1万人規模の個人署名を経済産業省へ提出すべく、活動していく。

「経理の在り方」を根本から見直す

 プロジェクトの発起人のROBOT PAYMENTは2000年創業。請求書発行、売り掛け管理、入金消し込みなど一連の経理業務をクラウド上で行える製品「請求管理ロボ」の開発を手掛けている。

 経理業務は経営上どうしても欠かせない重要作業でありがなら、効率面では課題が多い。業務の約8割を定型的な作業が占め、加えて月末・月初に作業が集中してしまいがちという。

 2日に行われたプロジェクトの発表会では、ROBOT PAYMENT代表取締役社長の清久健也氏が登壇。こうした経理の課題を賛同企業とともに考え、「経理の新しい働き方」を“共創”していきたいと述べた。

 「経理業務を効率化し、企業にとって本当に重要なコア業務へ集中するためにどうしたらいいかと考え、開発したのが『請求管理ロボ』。サービスを提供する中で、経理はいわゆる“月末の壁”や紙文化、ハンコ文化が根強く、課題だと常に感じていたが、コロナ問題がそれが一気に可視化された。」(清久氏)

 振り返れば、リーマンショックや東日本大震災を経てもなお、経理業務が変わったとは言いがたい。一方で、今年10月には電子帳簿保存法の改正も控えており、今こそ経理の在り方を考えるべきだと清久氏は訴える。

新型コロナ問題をきっかけに、これまでの経理の問題が一気に顕在化した

コロナで「働き方」は変わったが、「経理」は変わっていない?!

 コロナ渦での働き方を巡っては、飲料大手のサントリーが“脱ハンコ”を宣言したり、日立製作所は週2~3日程度の在宅勤務を可能とする体制への移行を進めるなど、試行錯誤が続けられている。

 しかし、これだけの変化があっても経理部門への波及効果はいまだ小さいという。4月の緊急事態宣言を受けて多くの企業がテレワークを始めたが、経理担当者に限っては約7割(69.1%)がテレワークを実施できなかったという。

緊急事態宣言下でも、テレワークができずに出社を余儀なくされた経理担当者は多かった

 その一因とみられるのが、紙の請求書だ。請求内容を紙に打ち出し、処理にハンコを押し、さらには郵送の手間も絡む。また、一般論として、日本企業は営業部門など直接収益を稼ぎ出す部門への投資は比較的行うものの、経理など間接部門へのIT化には消極的とされる。

 ROBOT PAYMENTでは今年6月、経理担当者1000人を対象にアンケート調査を実施した。紙の請求書を電子化すべきどうかを聞いたところ、実に88.3%が電子化に賛成していた。一方、勤務先に請求書の電子化を願い出ても、約3分の2の回答者が「電子化は進まなかった」としている。

 この回答結果から、清久氏は「経理の意見が(上層部に)届いていない。言わば“声なき声”が埋もれてしまっている。そして、こうした声はコロナ問題発生前からあり、緊急事態宣言のタイミングで明らかになっただけだ」と、現状を憂う。

経理の“声なき声”を届けるために活動開始

 清久氏は、この“声なき声”を社会へ届けるための活動が必要だと説明。外部企業を巻き込ん展開することにしたという。

 その第1弾として、まずは紙の請求書の電子化に注力する。折しも10月1日には電子帳簿保存法が改正。文書保存の要件が緩和され、ペーパーレス化は進めやすくなる。ただそれでも、請求業務は書類の送り手・受け手が存在し、そのどちらもが電子化を行わなければ、本当の意味での効率化には至らない。

 そこでプロジェクトでは、現在34.2%(推定125万社)とされる請求書電子化サービスの導入率を50%(同183万社)へ引き上げることを目標とする。

請求書電子化サービスの利用率50%突破を目指す

 より具体的なアクションとしては、まずプロジェクト賛同企業の募集を広く行う。すでにフィンテック企業を中心に50社が参加を表明済みで、ROBOT PAYMENTと同様の請求書電子化サービスを手掛ける株式会社インフォマート、“スキマバイト”アプリを展開する株式会社タイミー、会計ソフトのfreee株式会社、給与即日払いサービスの株式会社ペイミーなどが名を連ねている。これを拡大し、100社体制を目指す。

 また、「Change.org」を通じた個人署名も実施。こちらは1万件の賛同獲得を目指し、最終的には経済産業省へと提出する計画だ。

 プロジェクトのウェブサイトでは、識者インタビューなどの公開も予定している。なお、プロジェクト賛同企業には、「請求管理ロボ」の導入に伴うコンサルティング費用の無償化も実施する。

具体的に実施を予定しているアクション
会見では、賛同企業の関係者がZoomで参加。代表して4人があいさつした