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日本の「電子インボイス」標準仕様は、国際規格「Peppol」準拠で策定~業務ソフトベンダーらの団体が発表

 業務ソフトベンダーなどで構成する電子インボイス推進協議会(EIPA)は14日、電子インボイスの日本標準仕様について、国際規格「Peppol(ペポル)」に準拠して策定することを決定したと発表した。同日、EIPA代表幹事を務める弥生株式会社の岡本浩一郎代表取締役社長らが平井卓也デジタル改革担当大臣を訪問し、日本における電子インボイスの普及に向けた提言を行ったほか、政府からの協力を要請した。

 EIPAは今年7月、弥生やインフォマート、SAPジャパン、TKC、マネーフォワード、ミロク情報サービスなど10社が発起人となって設立。現在、75の企業・団体・個人が会員に名を連ねており、オブザーバーとして行政機関も交えながら、日本における電子インボイスの標準仕様について協議を進めている。

「電子インボイス推進協議会」のウェブページ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会のサイト内)

 EIPAによると、日本で2023年10月に予定されている「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」の開始に向け、中小・小規模事業者から大企業に至るまで幅広く、容易に、かつ低コストで利用でき、加えてグローバルな取引にも対応できる仕組みとするため、国際規格であるPeppolに準拠することを決定したという。電子インボイスの日本標準仕様は、Peppolに準拠した上で、日本の法令や商慣習などに対応する。

 Peppol(Pan-European Public Procurement OnLine:汎欧州オンライン公的調達)は、電子インボイスなどの電子文書をネットワーク上で授受するための国際的な標準規格で、欧州各国やシンガポール、オーストラリアなどで採用されているという。OpenPeppolという団体が運営・管理しているが、同規格を採用する各国においては、行政機関に管理局(Peppol Authorities)が設立され、各国の商慣習に合った標準仕様を管理する。

 そのためEIPAでは、政府に対して、1)OpenPeppolとの交渉などについて政府が積極的な役割を担うこと、2)Peppolの枠組みの中で日本標準仕様に関わる適切な管理・運用体制を政府が構築すること、3)電子インボイスの普及・活用に向けて事業者が利用しやすい仕組みを設けること――などを要請している。

 EIPAでは今後、Peppolが定める標準規格について詳細な調査・分析を進めるとともに、日本標準仕様として必要な追加要件を整理。2021年6月末をめどに日本標準仕様の初版策定・公開を目指す。また、会員各社はEIPAと連携しながら対応製品の開発を進め、2023年10月のインボイス制度開始の1年前にあたる2022年秋には、電子インボイスに対応したソフトを事業者が使用できる状態になることを目指す。