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三鷹市がZoom・Slackと「デジタルコミュニケーション推進に関する協定」を締結

市民に寄り添った行政サービスをデジタルが支える

 東京都三鷹市と、Slack(セールスフォース・ドッドコム)およびZoom(ZVC JAPAN)は、デジタルコミュニケーションの推進に関する協定を結び、2021年11月11日に調印式を行った。自治体を含めた三者による連携協定は全国初となる。

三鷹市が先駆け、デジタルを活用した市民参加を推進

 三鷹市とSlack、Zoomが相互に連携して、市民とのコミュニケーションのデジタル化や新たなオンライン行政サービスの提供を行うことで、三鷹市内のコミュニケーションの活性化や、防災や子育て、福祉、教育、観光などの行政課題の解決、利便性の高い市役所の実現を目指すという。

 具体的には、「市民参加と協働のまちづくりの推進に関すること」「地域コミュニティの創生に関すること」「職員の働き方改革の推進に関すること」「オンラインを活用した市民相談に関すること」の4点で連携していくことになる。

 三鷹市は、2020年から「みらいを創る三鷹デジタル社会ビジョン」を掲げ、デジタル技術の活用により、便利で、安全、安心な生活環境の実現や、地域社会の活性化を推進している。今回の協定は、この取り組みを強化することを目的に、SlackとZoomの2社が、コミュニケーション領域から、三鷹市のデジタル化を支援することになる。

 すでに、市民ボランティアで構成される「市民参加と協働のまちづくり」において、SlackとZoomの活用を開始しており、Slackによるコミュニティには、開設後約3カ月で約160人が参加。今後、適用領域を拡大することになる。

三鷹市の河村孝市長

 三鷹市の河村孝市長は、「三鷹市は、基本計画の見直しの時期に入っている。それに向けて、『市民参加でまちづくり協議会』を設置したところ、400人以上の応募があり、驚いている。だが、私は市民の5%にあたる1万人の市民参加を目指したい」と、今後のさらなる活用拡大に意欲を見せた。

 また、SlackとZoomに対し「そして、これからの行政は、日々、市民が参加する組織形態になっていくと考えている。もっとフラットな組織になっていくだろう。また、コロナ禍で市民参加の形も変わり、そこにデジタルを活用し、ハイブリッド化することも必要である。今後、5年、10年を考えると、これからは自治体が劇的に変化をしていくことになる。SlackとZoomとの連携で、未来を見ることができるだろう。市政全般に関わり、指導をしてもらいたい。三鷹市が大きく変わっていくきっかけにしたい」と期待を述べた。

「市民に寄り添った行政サービス」をサポート

ZVC JAPANの佐賀文宣社長

 ZVC JAPANの佐賀文宣社長は、Zoomの活用について次のように語った。「Zoomは、離れていても相手の顔を見ながら、ストレスなくビデオコミュニケーションができる安全なサービスを提供している。日本では2018年から事業をスタートしている。ウェブ会議での利用に留まらず、教育、医療、福祉などの分野での利用が拡大しており、組織のなかだけのコミュニケーションではなく、学校や行政が、市民にサービスを提供するといった用途での利用が急激に増えている。日本では60.2%のシェアを獲得している」。

 行政における活用に関しては、「三鷹市のように、市民との対話を重視する自治体においては、Zoomを利用してもらうことで、より市民に寄り添った行政サービスが展開してもらえる。これまでにもZoom単独では、自治体との連携を行っており、これらの知見を生かしていきたい」と抱負をを述べた。また、「この1年半でZoomの活用が大きく変化し、私たちも日々勉強しているところである。三鷹市の職員はビデオ会議やチャットも活用しており、すでにデジタル人材がいる。用途には垣根を作らず、どこで、どんな利用ができるのかを考え、一緒にチャレンジしていきたい」とコメントした。

セールスフォース・ドットコム Slack 日本韓国リージョン事業統括 常務執行役員 カントリーマネージャーの佐々木聖治氏

 セールスフォース・ドットコム Slack 日本韓国リージョン事業統括 常務執行役員 カントリーマネージャーの佐々木聖治氏は、「日本は、北米に続いて第2位のユーザー数を持ち、中央省庁や自治体でもSlackを活用するケースが増加している。ビジネスライフをよりシンプルに、より快適に、より有意義にしたいというミッションのもとで取り組みをしているところだ」と、意欲を見せた。

 また、Slackを生かしたコミュニティ作りについて語り、「現在、デジタルHQを打ち出したる提案を加速しており、社員同士がつながるだけでなく、お客様やパートナーなどとのコミュニティ形成でも活用され、システムやアプリがつながり、業務が快適に、スムーズに、スピーディーに行われることを支援している。今回の協定では、市民が持つ多様な思いやアイデアを集めて、未来のまちづくりをしていくことに、Slackを活用してもらい、そこにお手伝いができる。まちの声に傾聴していく、対話をしていくことを通じて、共感を生み出すための支援を果たしたい。新たなコミュニティの創生に向けて、全力でサポートする」と述べた。

 佐々木氏は次のようにも述べ、広範囲のDXへSlackが果たす役割について語った。「SlackをDXの入口とし、行政サービスのデジタル化につなげるなど、できることからやっていくことが大切である。オープンでフラットなコミュニケーションを実現すること、中央官庁や産業分野、学生などの外部との連携の強化による共創、高いセキュリティ性をもとにした間違いのないコミュニケーションの実現をサポートしていく」。

 Slackに関して、デジタル庁では、11月10日に、政府職員と自治体職員との対話の場である「デジタル改革共創プラットフォーム」の運用を開始すると発表。農林水産省が先行して実証、運用を行っていたSlackを、同プラットフォームに活用することを明らかにしている。

 佐々木氏は、「デジタル庁と自治体との橋渡しとしての役割も担っていきたい。今後はLGWANへの対応も図っていく」としている。