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海外用WiFiルーターの無人レンタルサービス「WiFiBOX」、成田、羽田、関空で4月1日から提供開始
2022年3月31日 13:30
海外渡航時のWi-Fiルーターや携帯電話のレンタル事業などを行うテレコムスクエアは、新たなWi-Fiルーターレンタルサービス「WiFiBOX」を、2022年4月1日午前9時から開始する。
1日300円からの低価格で世界各地の通信環境に常時接続できるのに加えて、予約、受取、返却の全てのステップを無人で完了できるのが特徴。テレコムスクエアの田村正泰氏(取締役=2022年4月からCEOに就任)は、「世界初となる海外Wi-Fiルーターの自動レンタルサービス。言い換えれば、Wi-Fiルーターレンタルの自動販売機ともいえる。Withコロナ時代に求められる完全非接触で利用でき、今後のWi-Fiレンタルサービスの新しい常識を創造するものになる」と位置づけた。
予約手続きは2分で完了、完全無人の貸出・返却ステップ
まずは、成田空港、羽田空港、関西空港の合計8カ所のカウンターにWiFiBOXを設置。順次、福岡空港、新千歳空港、セントレア空港、高松空港にも設置し、年内には30カ所への設置を目指す。
さらに、企業や自治体のニーズにも対応するかたちで空港以外の場所にもWiFiBOXを設置し、2023年には100カ所への設置を計画している。海外旅行客だけでなく、インバウンド旅行客や、国内での一時的な通信環境を求める利用者などにも提供していく考えだ。
WiFiBOXは、48台のWi-Fiルーターを格納できるタワー型ボックスと、12台を収納するデスクトップ型ボックスを用意し、空港などに設置。これまではカウンターなどで、申し込みや受け渡し作業を行っていたWi-Fiルーターのレンタルを、全て無人で行うことができるサービスだ。
利用者は、ウェブサイトから希望の日付とプランを選択し、モバイル上で決済する。当日でも予約が可能であり、約2分で予約の操作は完了できるという。
スマホなどに届いた受け取り案内メールを開き、Wi-Fiルーターが入ったボックスのQRコードを読み取り、スロットからWi-Fiルーターを引き出せばレンタルがスタートする。使い終わったら近くのボックスのスロットに差し込んで返却すればいい。
「空港では、フライト時間が集中する傾向があるため、カウンターでの申し込みや受け渡し時に混雑したり、列に並ばなくてはならないといった課題があった。コロナ禍で対面を避けたいというニーズも高まっている。WiFiBOXによって待ち時間がなく、Wi-Fiルーターを入手できる」と、田村氏はレンタルシステムの利点を語った。
また、衛生管理や保守などに関しては、「利用者が受け取るWi-Fiルーターは、スタッフが抜き取り、消毒を行い、充電が完了したものを貸し出す。返却されたのが、そのまま貸し出されることはない。また、故障したWi-Fiルーターは抜き出せないようになっている。さらに、成田空港で借りたものを、関西空港で返却するといったことも可能だ。WiFiBOXにはデジタルサイネージを搭載しており、サービスの紹介や各種コンテンツの配信が可能になっている」などとした。
最大通信速度150Mbpsで5台まで接続、モバイルバッテリー機能も持つ
Wi-Fiルーターは、最大通信速度が下り150Mbps、上り50Mbpsで、最大接続台数は5台。142×72×17mmと小型化を図っており、重量は186g。また、モバイルバッテリーとしての機能も搭載しており、バッテリー容量は5000mAhとなっている。
「Wi-Fiルーター単体で約12時間の通信が可能であり、モバイルバッテリーとしての利用時は、あえて急速充電を許さない仕様とし、電池残量が10%を切ると、バッテリー機能は自動的にオフになり、本来のWi-Fiとしての機能を優先させる設計としている」という。
Androidスマホ向けのUSB Type-CおよびmicroUSBの充電ケーブル、iPhone用のLightning充電ケーブル、本体充電用のUSBケーブルを搭載している。
約130の国と地域で利用可能、料金は3プラン
約130の国と地域で利用が可能であり、通信量は1日あたり500MB、1GB、無制限の3つのプランから選ぶことができる。
「約130の国と地域で無制限プランに対応しており、これは業界最多となる。従来のレンタルサービスでは無制限プランの申し込み率は2019年には約20%だったものが、2021年には約50%に増加している。無制限プランを望む利用者が増加しており、そうしたニーズに対応した」という。
1日あたり500MBのプランでは、米国本土、ハワイ、韓国、タイが最安値となり、300円で利用でき、1GBプランでは550円、無制限プランでは770円となっている。同社が従来から提供しているレンタルサービスでは、500MBが1050円、1GBが1250円、無制限が1850円であったのに比べると半額以下の設定となっている。
「WiFiBOXは、在庫管理や物流センターが不要になり、従来型のWi-Fiレンタルよりもオペレーションコストが約20%削減できる。その分をお客様に還元し、より大容量のプランを選んでもらえるようにした」という。
さらに、「Wi-Fiルーターは、レンタルする際には、セットが入ったポーチを渡すが、すでにカバンがパンパンで入らないという人もいる。さらに、国や地域によって最適なルーターが異なるため、複数の場所を移動する人は操作性が異なるルーターを持たなくてはならない場合もあった。1種類のルーターで、さまざまな国と地域の回線に対応できるようになり、従来の課題も解決できる」と述べた。
Power BankとVirtual SIMの組み合わせで、世界中で安心の通信環境を実現
WiFiBOXのサービスを実現したのは、充電を行うPowerBankと、モバイル通信技術のVirtual SIMの組み合わせである。この仕組みを使って商用化したサービスは世界初だという。
BOXのQRコードをスマホで読み取ると、申込内容がクラウド上のVirtual SIMサーバーに送信され、申込内容を確認し、BOX経由でWi-Fiルーターに情報が書き込まれ、スロットから取り出して、利用が可能になる。BOXのQRコードを読み込んでから取り出すまでは、わずか数秒であり、待ち時間がなくルーターを入手できる。
Virtual SIMは、米SIMOの技術を活用。これにより、世界のあらゆるところで、必要なときに、同社のクラウドを通じて最適な通信事業者の4G/5Gのモバイルデータ通信ネットワークにアクセスできる。
テレコムスクエアでは、事業化に向けて数億円の投資を行っており、政府の事業再構築補助金も利用。今後もサービスの進化を続けるという。
同社では、WiFiBOX を中心に、2024年に100万人の利用を目指す。その見通しについて田村氏は、「2024年に年間1000万人の海外渡航者を想定し、そのうち10%となる100万人の獲得を目指す」と述べた。
また、コロナ後の利用見通しについては、「コロナ前の2019年には約2000万人の海外渡航者がおり、4人に1人となる約500万人がWi-Fiルーターをレンタルしていた。その時点で当社では約100万人の利用者があった。通信環境を持たない人は約2割程度あったが、ビデオ通話や動画視聴の広がりによって、コロナ後の海外渡航では、現地での通信利用が高まると見ている。また、グループで1台所有するといったレンタル方法から、1人1台の利用になることも見込まれる。年間渡航者が1500万人になれば150万人、2000万人になれば200万人の利用を目指したい」と述べた。
6月30日まで半額キャンペーンを実施、4月30日までは変換プラグなどの特典も
WiFiBOXサービス開始にあわせて、6月30日までの期間、初めてWiFiBOXを利用するユーザーに50%オフクーポンを提供。また、4月30日までは、空港カウンターで、マルチ変換プラグおよびUSB充電器をプレゼントする。さらに、VISAカード会員向けにレンタル料を最大15%オフする優待サービスも実施する。
「海外渡航はまだ制限されているが、どうしても海外に行かなくてはならないという人たちをサポートしたい。また、日本の通信環境にも対応しているため、海外から訪れた人の利用のほか、入院時に利用できるように病院の売店にWiFiBOXを設置したり、リモートワークを行う際に、セキュリティの観点からフリーWi-Fiにつなぎたくないという場合にも利用できる」と、田村氏は語った。
また、さらに災害時において、通信環境とバッテリーを1台で提供できるサービスとしての利用も想定しているとし、「スマホのお供として欠かせない『小さなトラベルパートナー』としての役割を目指したい。これにより、『旅本来の楽しさに集中できる環境をつくる』という当社のコンセプトを実現したい」などとした。
一方、テレコムスクエア代表取締役の吉竹雄次氏は、「30年前に携帯電話レンタル事業をスタートし、安心して旅の目的を達成できる通信環境を提供してきた。WiFiBOXは、海外で発生したトラブルに対応するためのノウハウ、旅行業界のニーズを取り入れてきた企業文化、利用者や旅行会社、クレジットカード会社などとの信頼関係をもとに提供することができるサービスである」と述べた。