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「ランドセルが最も損傷が少ない」、タブレットを守るカバンとしての安全性をアピール。日本鞄協会 ランドセル工業会

 一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会は7月21日、カバンを落下させたときの内容物の損傷を、ランドセル、ナイロンリュック、ポリエステルリュックで比較した試験で「ランドセルが最も損傷が少ない」との結果を発表した。学校でのタブレット利用が普及する中で、各種のカバンがどれだけ内容物を保護できるかを調査したもの。

 落下試験では、これら3種類のカバンの中にタブレットを含む3㎏の内容物を入れ、120cmの高さから落下箇所を角面としてコンクリート面へ自由落下させ、内容物に亀裂や損傷がないかを確認。これを、1種あたり3回ずつ実施した。なお、内容物の状態は、筆箱の中の鉛筆の芯や製品、タブレットの状態を指すとしている。

 その結果、唯一タブレットに破損がなかったのはランドセルだったという。ナイロンリュックとポリエステルリュックでは、3回目の落下の後にタブレット表面に損傷が確認された。

ランドセルの落下試験結果
ナイロンリュックの落下試験結果
ポリエステルリュックの落下試験結果

 あわせて、カバンの形状による子どもの体への負担についての検証結果も公開している。対象はランドセル、ナイロンリュック、および2種類の箱型リュックで、背中と肩における体圧分布を測定した。

検証対象のカバン4種

 その結果、ナイロンリュックは背中に接地していないため重量が背中に分散せず、肩に圧力が掛かりやすいことが判明。箱型リュックは肩の前方部分に圧力が掛かり、人体の構造上、不快に感じやすいことが分かったとしている。

 それに対し、ランドセルは圧分散に優れており、肩ベルトが腰付近の下底部で固定されているため子どもにとって負担が少なく、歩くときも不快感が少ないとしている。

背中の体圧分布
肩の体圧分布

 ランドセル工業会 東京支部長の武田信隆氏は、さまざまな素材や形状のカバンが登場している中、「今回の検証データも示している通り、子どもの安全性また体への負担の両面からみて、現在のランドセルが最適であると考えている」とコメント。現在のランドセルは非常に軽量化されており、教科書やタブレットの重さをいかに技術によって軽減するかの議論が進んでいるとした。

 加えて、子どもたちの安全で快適な学校生活をサポートするために、日々試行錯誤を繰り返しているとし、「既成概念にとらわれることなく、日々の研究を続け、子どもにとって最適な学生鞄を追い求めていきたい」とも述べている。